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ちざい げんき きんき 事例紹介 知的財産の活用で、元気な関西の企業/団体を紹介します
ムラタセイサク君®  特許:第4605227号ほか 商標登録:第4946292号
ムラタセイコちゃん®  特許:第4743347号 意匠登録:第5219271号ほか 商標登録:第1355036号
権利者:株式会社村田製作所 

技術革新の著しい
電子部品業界において、
知的財産権は村田製作所の
貴重な経営資源です。

京都府長岡京市に本社を置き、多岐に渡る電子部品の製造・販売を行う村田製作所。 セラミックコンデンサをはじめ、セラミックフィルタ、高周波部品、センサ部品など、いずれも世界市場で圧倒的なシェアを誇っています。 そんな村田製作所によって開発され、多方面から注目を集めているのが自転車型ロボット「ムラタセイサク君®」と一輪車型ロボット「ムラタセイコちゃん®」。 その開発の背景とともに、知的財産に対する取り組みなどについてお話をお伺いしました。

ロボットの開発背景

優れた技術と企業名をPRするためにロボットを開発

取材担当者
「ムラタセイサク君®」と「ムラタセイコちゃん®」は、私たちもテレビや雑誌などでよく見聞きします。 電子部品メーカーである御社が、このようなロボットを開発された背景をお聞かせいただけますか。
村田製作所
例えば、私どもはセラミックコンデンサにおいて世界トップのシェアを保持しています。 その中身は薄いセラミックシートを数百層も重ねたもので、いくつもの工程を経て小さな製品にしていきます。 この分野は競合メーカーとの競争が激しいため、生産設備も工程プロセスもブラックボックス化を図るために内製化を進めています。 しかし、そうなると、せっかくの高度な技術を外部にPRすることができないんですね。

取材担当者
設備や工程のブラックボックス化と技術面のPRは相反するものなので、悩ましいところですね。
村田製作所
そうなんです。ほかにも私どもの電子部品はスマートフォンやタブレットPCなど、 皆さんの身近なところで使われているんですけど、実際に見ることができないのでその存在に気付いてもらえません。
取材担当者
確かに、スマートフォンの本体を開けて、中を見る機会はないですね。
村田製作所
そこで私どもの技術の高さをわかりやすく皆さんにご紹介するために、 そして企業PRにも役立てるためにスタートしたのが、ロボット開発プロジェクトだったわけです。
取材担当者
ロボットには「男の子」と「女の子」がいますね。
村田製作所
2005年に開発・発表したのが「ムラタセイサク君®」です。 自転車型のロボットが倒れることなく、前にも後ろにも進み、S字平均台の上でも走行します。 また、私たちは“不倒停止”と呼んでいますが、自転車を止めても足を着くことなく立つことができます。 マジックスティックと呼んでいるコントローラ(写真の白い棒)や携帯電話の通信機能などを使って、 いろいろな操作をすることができます。
取材担当者
すごいですね。でも、どうして倒れないのですか。
村田製作所
倒れない秘密はジャイロセンサです。センサが車体の傾きなどを感じ取ると、胸部に設けた円盤が回転してバランスを保ちます。 この制御技術を自転車に応用しました。 “女の子バージョンは作らないの”という声もあったので、 2008年に女の子キャラクターの一輪車型ロボット「ムラタセイコちゃん®」を開発・発表しました。
弁理士の役割

知財戦略も含めて弁理士がコンサルティングを実施

取材担当者
セイサク君、セイコちゃんともに、いろいろな知的財産権によって守られていると思います。一例を教えていただけないでしょうか。
村田製作所
セイサク君もセイコちゃんも、標準文字として商標登録を行なっており、 また、転倒防止制御装置に関する発明として特許を取っています。

取材担当者
セイコちゃんは意匠登録もされているのですね。
村田製作所
そうなんです。セイコちゃんは当社の女性社員が中心となってデザインを考え出願に至りました。 また、全体の意匠だけでなく部分的な意匠も出願しました。
取材担当者
これらの知的財産に関する出願にあたり、弁理士はどのような役割を果たしましたか。
村田製作所
はじめに弁理士さんにセイサク君、セイコちゃんを見ていただき、製作目的、動き、中身の機構などについて詳しく説明いたしました。 その上で弁理士さんからは、他社特許対策も含めてどのようなかたちで知的財産権を出願すればいいのかをコンサルティングしていただき、 私どもとディスカッションを重ねたのちに、申請の手続きまでを請け負っていただきました。

取材担当者
御社の場合、社内に弁理士の資格を持った方がいらっしゃるとお伺いしています。 なぜ、外部の弁理士を活用されたのでしょうか。
村田製作所
社内にいる弁理士は、明細書を作りあげるという点で、まだ経験が浅いと感じます。 今回のようなケースでは出願までに至る難易度が高いですから、経験値の高い外部の弁理士にお任せしました。
取材担当者
では、社内に弁理士がいるメリットについては、どのようにお考えですか。
村田製作所
自分たちが開発したものは、しっかりと知的財産権として守っていきたいと思っています。 そのためには、社外の弁理士に何を伝えるかが重要になってきます。 社内の弁理士が経験を積み、しっかりとした要望を伝えることができれば、より強固な知的財産権を取得できると考えています。
知的財産権の効果

模倣品を防ぐために、知的財産権の確保が不可欠

取材担当者
知的財産権を得ることで、どのような効果がありましたか。
村田製作所
模倣品を防ぐという意味で、大きな効果があります。ロボット分野は模倣品が溢れていますので、そのターゲットにされては困りますから。
取材担当者
それは自転車に乗るロボットとして模倣されるということですか。
村田製作所
動くロボットとして模倣する人はいないと思っています。真似をしようにも、技術的に真似をできる人はいないでしょうから。 それよりも、キーホルダーなどのノベルティや玩具などにキャラクターとして使われるのではないかという懸念がありました。 そこでセイコちゃんについては、お人形さんのようなデザインも含めて、海外でも意匠登録を行っています。 ただ、先日インターネットにおいて、セイサク君が海外で売られているのを発見しました。
取材担当者
もちろん、それは本物ではないですよね。

村田製作所
もちろんです。セイサク君もセイコちゃんも販売は行っていないので、市場に出回ることはありません。 困ったことにロボットの写真は当社のものが使われていました。 こういうことが起こりますので、今後は事業、開発、知財が一体となって戦略をつくり、製品と会社を守っていかなければいけないと考えています。
取材担当者
社員の方々に知的財産について、教育なども行っておられるのですか。
村田製作所
入社1年目の社員、3年目の社員を対象に、知的財産に関する基礎教育を導入しています。 そのほかにも、管理職までの各階層において個別の教育を行っています。 技術革新の著しい電子部品業界に属する私どもにとって、知的財産権は仕事の成果であり、貴重な経営資源のひとつです。 今後も発明・開発に向けた取り組みをよりいっそう活性化させるとともに、事業活動に応じた適切な知的財産権の確保と、 他社による特許侵害防止を徹底的に進めていきたいと考えています。
取材担当者
国内・海外での企業活動において、今後も弁理士が御社のお役に立てればと思います。本日はありがとうございました。



株式会社 村田製作所
昭和19年、京都にて創業。以来、エレクトロニクス社会の進展とともに成長を遂げ、電子部品専業メーカーとして揺るぎない地位を確立。 現在はエレクトロニクスの中心的な分野にとどまらず、自動車や環境・エネルギー、ヘルスケアなどにも活躍領域を広げています。


2013年4月24日掲載