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不正競争防止法 : 全8件
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周知・著名な商品表示の保護について
Q.不正競争防止法では「周知」な商品表示や「著名」の商品表示が保護されるそうですが、「周知」「著名」とはどの程度まで知られている必要があるのでしょうか?
A.

 不正競争防止法には同一または類似の商品等表示を第三者が使用することによって、事業者の営業上の利益が損なわれることを防止するための規定として、商品等表示(商品についての表示に限らず、営業主体についての表示も対象として含まれます)の保護を目的とする「混同惹起行為」の防止が規定されています(同法2条1項1号)。「混同惹起行為」とは、周知な商品等表示との出所の混同が生じるような行為のことです。
 では、「周知」とは、どの程度まで知られている必要があるのでしょうか。裁判例などから、地域的範囲は、一地方(都道府県レベル)でよく、都道府県よりもさらに狭い地域であっても、その地域で広く知られている場合には、周知であると認められる場合があります。これは、周知な商品等表示を使用している事業者には、その地域において保護に値する業務上の信用が存在するからです。
 次に、需要者に関しては、その商品や営業の内容によって、周知性を認定する対象が異なる場合があります。例えば、スーパーマーケットで販売されているような商品についての表示では、一般的な消費者に周知かどうかが判断基準となります。これに対して、一般的な消費者にはそれほど知られていないものの、卸売段階で取引業者によく知られている商品等表示は周知であると判断される場合があります。また、消費者層が特定の年齢および性別に偏っているような商品について、その消費者層において広く知られていることで周知性を認定された裁判例もあります。

 また、「著名」な商品等表示の保護を目的とする「著名表示冒用行為」(同2号)があります。この場合の「著名」は、「周知」よりもさらに広範囲(全国的範囲)でその商品等表示が知られている必要があります。
 その一方で、「混同惹起行為」のように、混同を生じさせることは要件となっていません。これは、周知な範囲を超えてより広く知られている商品等表示には、「周知」な商品等表示よりもさらに大きな業務上の信用が備わっていると考えられ、この大きな業務上の信用を保護することを目的として規定されているからです。すなわち、全国的によく知られている商品等表示に類似する商品等表示を他人が使用している場合には、その著名な商品等表示が持つブランドイメージにその他人がただ乗りして不正な利益を得ることや、そのブランドイメージが弱められる(希釈化される)ことになりますが、混同が生じているかを判断するまでもなく、そうした他人の使用は不正競争行為として規制されることになります。

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品質誤認表示について
Q.品質を誤認させるような表示を商品に付すことは不正競争になるとのことですが、「高級」や「美味」などを付した商標を使用したときにこれらの表示が不正競争と判断されることがあるのでしょうか?
A.

 不正競争防止法は、他人の周知の商標を無断で使用して商品などの混同を生じさせる場合のように、特定の競業相手との関係での不正競争行為を禁止しているほか、商品の原産地や品質などにつき需用者に誤認を生じさせるような表示をする行為も禁じています。このような行為は需用者に不利益を生じさせるだけでなく、公正な競争を阻害するからです。
その商品には実際には使用していない原材料を「使用している」と表示している場合のように、それが虚偽表示であることを客観的に証明できる場合とは異なり、ご質問のような「高級」や「美味」などの表示が事実かどうかは主観的になってしまいます。
 また需要者としても、商品の宣伝販売などにおいてはある程度の美化が行われることを承知しており、「高級」と表示されていることのみをもって、特別な付加価値を持つ商品であるとは認識せず、多少は表示の内容を差し引いて判断するのが通例ですので、一般的優位性を主張するためによく使用される修飾語としての「高級」「美味」などの表示は、不正競争には該当しない場合が多いでしょう。
 もっとも、その商品の性質上で通常は使用しないような修飾語の場合はこの限りではありません。例えば、「掃除機」に「強力」という表示をするのは慣用であって不正競争とはいえないでしょうが、「時計」に「強力」という修飾語はあまり使いませんので、なんらかの特別なショック対策を講じている時計であるかのような誤認を生じる可能性があります。
 また、同じ会社の同種の製品に複数のグレードがある場合に、それら相互を混同させるような表示の場合は不正競争となる場合もあり得ます。例えば、「最高級」、「高級」、「お徳用」と表示した3種類の商品を販売しているが、実際には「最高級」と「高級」とは全く同じ品質であり、表示と価格だけ違うというような場合です。
 このように、「高級」、「美味」などの修飾語は原則的には不正競争ではないものの、それを使用している商品やサービスなどとの関係で何らかの誤認が生じるような特別の事情がある場合には不正競争とされることになります。

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商品のパッケージの模倣について
Q.我が社Aが以前から商品に使用しているパッケージと似ているものが、最近、他社Bの類似商品のパッケージに使われているようです。その使用を止めさせることはできないのでしょうか?
A.

 A社の商品のパッケージが形や色づかいなど見た目上の特徴があり、そのパッケージが使われている商品がA社のものであることが、消費者に知られている場合、その商品がA社によって製造・販売されていることを示す機能(出所表示機能)が、その商品のパッケージに備わっているといえます。このようなA社の商品に対し、B社がよく似たパッケージを使用して類似商品を販売していると、A社品を購入するつもりだった消費者が誤ってB社品を購入してしまう虞や、B社品の品質がA社品よりも劣っているような場合、購入したのがB社品であるにも関わらず、消費者が、A社品の品質が悪いという誤った認識を持つかもしれません。
 このような他社による紛らわしい商品パッケージの使用が、以下に示す行為に該当すれば、A社は不正競争防止法による保護を受けることができます。
 <混同惹起行為>
 A社品の商品パッケージが周知であって、B社品がA社品と出所の混同を生じさせるものであれば、「混同惹起行為」(不競法2条1項1号)に該当すると考えられます。
<著名表示冒用行為>
 A社品の商品パッケージが日本全国において広く知られていて、A社品のブランドイメージが大きい場合、B社の使用は、「著名表示冒用行為」(同2号)に該当する可能性も考えられます。

 <A社の対応>
B社の使用が、いずれかの不正競争行為に該当することが立証できれば、A社は、B社に対して使用の中止を求めることができ、それでもB社が使用を中止しない場合には、不正競争防止法に基づいて、A社は、B社の使用の差し止めを請求する(同法3条)訴えを、裁判所に提起することができます。また、B社の使用によってA社に損害が生じていれば、損害賠償を請求する(同法4条)ことも可能となります。
ただし、A社のパッケージが周知または著名となる以前から、B社の使用が不正の目的なく行われていた場合には、B社には、一定の保護を受けます。この場合は使用を止めさせることは出来ません。ただし、混同惹起行為に該当する場合には、A社はB社に対して、混同を防止するための表示を行うことを求めることができます。

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営業秘密について
Q.私Aが友人Bから聞いた情報を私Aのホームページに掲載して公開したところ、その情報はX社の営業機密であり、友人Bが不正に入手したものであったことが後にわかりました。私AがX社から訴えられることがあるのでしょうか?
A.

 あなた(Aさん)は、ホームページに掲載して公開した時点でその情報が営業秘密(「営業機密」と同じ)であり、不正に入手されたということを知らなかったわけですので、法律用語で言うところの「善意」(事情を知らないこと)に該当し、法律上の責任を問われることはありません。
 ただし、不正入手の事実を知った後には、あなたのホームページからその情報をすみやかに削除する方がよいでしょう。理由は次の通りです。
 不正競争防止法第2条第1項第9号では、「あなたAが営業秘密を不正取得した友人Bからその情報を得た時点では善意であっても、それが友人Bの不正取得によるものであるという事実をあなたAが知った後にあなたAがその情報を開示することは違法である」としています。ホームページの場合には継続的に公開状態とされるため、あなたAがホームページにその情報を掲載したままにしておくと営業秘密を知る第三者がどんどん増えてゆくことになり、それによってX社の被害が拡大する可能性があります。あなたAは既に「不正取得があったという事実」を知ってしまったのですからそのような被害の拡大を防止する責任があると言えます。
 情報はいったん開示されてしまえば、2回目に同じ情報を開示しても新たな内容を公開するわけではないため、1回目の開示だけが問題であるという考え方もありますが、実際には1回目の開示ですべての人がその情報を知ってしまうわけではなく、2回目以後の(ないしは継続的な)開示によってその情報を知る人が生じる可能性があります。このため、そのような継続的なホームページ掲載とX社の被害拡大との間に因果関係があると認められれば、あなたAは法的な責任を負う必要が生じることになります。
 なお、友人Bの行為は、その営業秘密を不正に取得して他人(あなたA)にそれを開示する行為ですので、不正競争防止法第2条第1項第4号によって違法とされます。

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Q.営業秘密を盗まれて公開されてしまうと、たとえ裁判で勝っても再び秘密状態に戻すことは物理的に不可能と思いますが、何らかの救済策はあるのでしょうか?
A.

 公開されてしまった営業秘密を「回収」することはできませんので、
(1)営業秘密の公開によって生じる不利益の拡大を防止すること、
(2)過去の被害を賠償させること(金銭賠償)、
による救済にとどまります。
 このうち(1)については、営業秘密の公開媒体がまだ流通しているときにはそれを回収して廃棄することや、営業秘密の使用によって製造した商品を廃棄させるなどの法的手段をとることになります。当然ながら、(営業秘密を不正取得した)人間の頭の中に記憶 された情報までは消去できません。
 原理的にはいったん公開されれば世界中にその情報は流布される可能性がありますが、現実には営業秘密を世間一般に対して公開するようなことはほとんどなく、営業秘密を不正に入手した者は、ごく限られた者にそれを公開(限定公開)する場合がほとんどです。このため、いったん公開された後でも情報のさらなる拡散を防止できることも多く、法的手続によって営業秘密を記録した媒体を廃棄させることにより、被害の 拡大を防ぐことも可能です。
 営業秘密が顧客名簿のような場合には、不正取得された情報であることを知ってその顧客名簿を利用した者(A)が得た利益を、営業秘密の本来の所有者(B)の損害額と推定する規定(不正競争防止法第5条第2項)などもありますが、Aがその顧客名簿を用いることによって商品を販売できたのか、それともA本来の正当な営業活動だけで商品を販売できたのかということを区別しなければなりません。
 不正競争防止法で規制されている行為のうち、営業秘密関係は「情報の流出」がその本質であるために「原状回復」が難しい部類に入ります。特に近年はデジタル技術が発達していますので、営業秘密が記録された媒体を物理的に動かさずに情報を複写することが可能となっており、その防衛がむ難しくなってきています。
その一方で、営業秘密関係の不正競争は、自社の情報防衛努力によって相手側の不正競争行為を防止できるという点で、商品形態の模倣等のような相手方による単独行為とは異なる特徴があり、「予防」こそが最大の対策ということになります。

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比較広告について
Q.いわゆる比較広告は不正競争には該当しないのですか?
A.

 自社の商品と他社の商品とにつき、スペックその他を比較した結果を示して自社の商品が優れていることを需用者に示すような広告を「比較広告」と呼びます。サービスの場合も同様です(以下同じ)。
 このような比較広告が適法とされるのは、(1)客観的に実証できる要素について、(2)正確な比較結果を、(3)公正な方法で(いわば紳士的な方法で)掲載する場合です。
このため、たとえば自動車の比較広告において「全長」「排気量」などは客観的数値として比較できますが、「乗り心地」などは客観的な数値で比較しない限り、「優」「良」…、「A」「B」…など主観が入りやすい形式で比較表示することは適当ではありません。
 また、他社製品の欠点については数値で比較表示すること自身は可能ですが、ことさらそれをあげつらうような文章を記載することは、信用毀損行為(不正競争防止法第2条第1項第14号)となります。
 なお、「比較広告」の制限は自社商品と他社商品との比較において生じるものであり、たとえば自動車評論家が自動車の「乗り心地」を主観的に「A」「B」…のように評価して自動車専門雑誌に掲載することは、「自社商品の宣伝」が目的ではありませんので、不正競争防止法違反とはなりません

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刑事裁判での営業秘密の秘匿
Q.自社の営業秘密を他人に侵害される被害を受けました。刑事事件の裁判で被害者として証拠を提出したり証人尋問を受けたりすることになりそうですが、それによって営業秘密が外部に公開されてしまうのではないかと心配です。
A.

平成27年度の不正競争防止法の改正で、営業秘密侵害罪は非親告罪となり、告訴がなくても控訴が可能となりました。公判手続等において営業秘密の漏えいが懸念されますが、その対策として営業秘密の秘匿決定や、公判期日外の証人尋問等において漏えい防止の措置が講じられています。
具体的には、営業秘密侵害罪に係る刑事訴訟手続で、証拠として提出する証拠に公開されると自社の事業活動に著しい支障を生じる営業秘密が含まれている場合、裁判所は当事者からの申出を受けて、営業秘密の内容を法廷で明らかにしない旨の「秘匿決定」をすることができます。
申出は、あらかじめ検察官にしなければなりません。秘匿決定の実効性を考えると、起訴後第一回公判期日までに行うのが望まれます。また、申出は営業秘密を構成する情報を具体的に挙げるとともに、秘匿決定される範囲が明確となるように説明することが望まれます。
営業秘密の漏えいが懸念されるのは、被告人等においても同様です。被告人等の保有する営業秘密についても、犯罪の証明や被告人の防御のため等の一定要件下で秘匿決定される場合があります。このように、営業秘密侵害罪の刑事訴訟では、被害者及び被告人双方の営業秘密保護に対する配慮がなされた上で、手続が進行されることとなります。
「秘匿決定」されれば、裁判所は、秘密情報が含まれる特定の事項に仮の名前を付けてその内容が明らかにならないようにしたり、一定の場合には証人尋問の際の尋問内容を制限したり、公開の公判期日以外の日に証人尋問又は被告人の供述を求める手続をしたりするなどの配慮がなされます。
営業秘密として保護されるためには、非公知性、有用性、秘密管理性が必要です。上述の営業秘密を構成する情報の特定を含め文書化して記述し、公証人の確定日付やタイムスタンプを取得しておく日常の努力が望まれます。

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アクセスコントロール等の回避装置に対する規制強化(2012/2新規)
Q.当店で販売している電子機器は様々機能を有しており、悪用すれば「不正アクセス」や「コピーガード破り」もできますが、決して不正な製品ではありません。他の機能も備えていれば「不正行為専用機」ではないので、販売しても問題はないですよね?
A.

上記販売行為は問題があると考えられます。平成23年度の不正競争防止法の改正で、アクセスコントロールやコピーガード等を回避する機能以外の機能を有する装置やソフトウェアであったとしても、実質的にそれらコピーガード等を回避するために用いられている場合についても規制対象となりました。従前はアクセスコントロール、コピーコントロールのような「技術的制限手段」を回避する機能「のみ」を有する装置等の提供行為が規制対象でした。しかし、「回避機能」以外の機能を備えた装置により、コンテンツ提供者の利益が害されていることから、これを禁ずる趣旨で不正競争行為として規定されました。
 上記規制は、「影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能にする用途に供するために行うものに限る」とされています。したがって、電子機器等の販売における広告宣伝の方法や内容、ユーザーの一般的な利用態様等を総合的に判断することとなります。すなわち、コピーガード等を回避できるとの旨を宣伝で強調したり、ユーザーのコミュニティや販売サイトにおける製品の評価でコピーガード回避の旨の良好な評価がなされていれば、規制の対象となるおそれが大きいと考えられます。
一方、コピーガード信号等を検知しない機器やこれを内蔵する機器(いわゆる無反応器)については、規制の対象とならないと考えられています。
電子機器の販売行為が不正競争行為に該当する場合には、営業上の利益を侵害された者等から販売行為の差し止めを受けたり、損害賠償を請求される場合があります。加えて、不正の利益を得る目的や、コピーコントロール等を施したコンテンツ提供者に損害を与える目的(いわゆる図利加害目的)がある場合は、刑事罰の対象となる場合があるので、注意が必要です。

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