■ネット上の著作権について(1)
我が社Aのホームページにおいて他社Bのホームページへのリンクを張っておいたところ、B社から「無断でリンクを張ることは著作権法違反だ」という抗議がありました。そのようなことがあるのでしょうか?

ホームページのURLはそのホームページのアドレス(存在場所の情報)にすぎず、そのホームページの内容を複写したり改変したりするものではないので、著作権の侵害ではありません。

ホームページの著作者はそのホームページの内容を公表するか否かを決定する権利(公表権)を持ちますが、いったんインターネット上にそのホームページを公開してしまえば、その時点でその公表権を消尽して(使い果たして)しまいますので、その後は誰でも自由にそれを閲覧することが可能であり、著作者はそれを制限できません。このため、他人がリンクを張ることも自由ということになるわけです。

ときどき「当ホームページにリンクを張る場合は事前に連絡ください」という表示を見かけますが、これは著作権の主張ではなく、ネットワーク上の礼儀についての「お願い」と見てよいでしょう。

ただし、「アドレスの案内」というリンクの本質を逸脱するような形式でのリンクについては法的な問題が生じる場合があります。たとえば下記のような態様です。

◆相手先のホームページの全部または一部を、自己のホームページの一部と組合せて表示させる形でのリンク。
フレーム分割などを用いるとこのようなことが可能ですが、これは、相手先のホームページを自己のホームページ内に組み込むことになりますので、複製権などの侵害となる可能性があります。

◆相手先のホームページの一部が自己のホームページの一部であるかのようにユーザ(閲覧者)に誤解させるような態様でのリンク。
ホームページのリンクには、自己Aのホームページの他の箇所に飛ぶ「内部リンク」と、他人Bのホームページに飛ぶ「外部リンク」とがありますが、これらは類似の機能ですので、ホームページを見ているユーザはこれらを意識しないで利用する場合があります。
このため、Aのホームページの中で、他人Bのホームページ(サイト)の一部Pに(外部リンクであることがわかりにくい態様で)リンクを張ると、あたかも当該部分Pも自己Aが提供しているホームページの一部であるがのことき誤解をユーザに生じさせることになり、相手方Bのホームページの著作権を侵害する可能性があります。

◆パスワードなどで保護されている他人のホームページへの不正リンク
特定の人(たとえば特定の団体の構成員)だけに公開しているホームページについては、パスワードなどを入力しないと閲覧できないようになっています。そのパスワードを何らかの手段で知った者が、リンクとともにそのパスワードを公開することは、「この範囲の人だけにホームページを閲覧させたい」という著作者の意思に反することになるため、著作権を侵害する行為となります。

◆不当な複写とともに行うリンク。
他人Bのホームページの内容を適正な引用の範囲を超えて自己Aのホームページ上に複写して公開することは、その出典を明記して当該他人Bのホームページへのリンクを設けておいても、著作権法違反となります。これは、リンクの部分が問題なのではなく、内容を複写していることによって生じる違法性ですが、リンクを設けておくことによってその違法性が消える(阻却される)わけではないということです。

◆その他、相手方のホームページの閲覧が、その相手方が意図しない態様で行われる可能性が高い態様でのリンクは著作権上の問題が生じる可能性があります。

なお、他人のホームページの内容を批判することは、その内容や態様によっては、名誉毀損や不正競争の問題が生じることもありますが、著作権法上の問題ではありません。

[弁理士 有田貴弘]
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