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平成17年12月1日 大阪地裁 平成16年(ワ)14438号
- 実用新案権侵害差止等請求事件 -

事件名
:テレビハンガー事件
キーワード
:実用新案権、実用新案登録の無効
関連条文
:実用新案法第30条、特許法104条の3、実用新案法第3条第1項第3号、同法第3条第2項
主文
:原告の請求をいずれも棄却する。


1.事案の概要
本件は、「テレビハンガー」に関する考案の実用新案権者である原告が、被告の製造販売するテレビハンガー及びビデオケースは同考案の技術的範囲に属すると主張して、被告に対し、被告装置の製造、輸入、販売の差止め等と損害賠償を求めた事案である。


2.争点及び判決の要旨
主な争点は、本件考案1(請求項1)、考案2(請求項2)は無効審判により新規性ないし進歩性の欠除を理由に無効とされるべきものか、である。
裁判所の判示事項は以下のとおりである。
本件考案1は、引用刊行物1及び2から当業者が想到することが容易であり、進歩性が否定されるべきである。本件考案2は、引用刊行物1及び2並びに周知技 術により当業者であれば、きわめて容易に想到することができたというべきである。本件考案1及び2は、実用新案法3条2項の規定により、登録を受けること ができないものであり、考案1及び2は同法37条1項2号の無効理由を有することになる。そうすると、特許法104条の3により、原告は、被告に対し本件 実用新案権に基づく権利を行使することができない。


3.執筆者のコメント
原告は、本件考案の進歩性に関して、明細書には記載のない作用効果を奏する旨主張したが、裁判所の採用するところとはならなかった。説得力がありかつ明細書の記載から自明な作用効果でなければ、裁判で通用することはないと思われる。
本判決は、平成17年4月1日施行(施行前に生じた事項にも適用される)の特許法第104条の3の適用例として、数多い判決の一つである。本件に関連して 無効審判、訂正請求がなされたか否かは不明である。仮に、訂正請求を行ったとしても、裁判所は、訂正後の考案が無効理由を包含していると認定すれば、訂正 請求の審理終了を待つことなく、第104条の3を適用するであろう(例えば、大阪地裁平成16年(ワ)第5380号参照)。


(執筆者 森下 武一 )


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