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平成17年9月22日 大阪地裁 平成16(ワ)11096号
- 特許権侵害差止等請求事件 -

事件名
:チップソー研磨機事件
キーワード
:特許権、技術的範囲
関連条文
:特許法70条、100条、102条
主文
:原告の請求をいずれも棄却する。


1.事案の概要
本件は、「チップソー等の研磨機」に関する特許権を有している原告が、被告による製品の製造販売が特許権の侵害にあたると主張して、その製造販売の差止め等及び損害賠償を請求した事案である。
争点:被告の製品は、本件発明の構成要件を充足するか。


2.判示事項
本件明細書及びその添付図面の記載に照らして検討すると、本件発明において、「回動体」とは、少なくとも、固定された基点を軸として角度変位するものであることを要し、角度変位の際にその中心が移動するものは「回動体」にあたらないものと解するのが相当である。
被告の製品「側面視J型金具」は、ハンドルの左右往動回動によって角度変位するものの、その角度変位の中心が移動するものであり、また、これに関し当事者間に争いがない。
したがって、被告の製品が、本件発明における「回動体」を備えているとは認められず、本件発明の構成要件の一部についてこれを充足しているとは認められない。
よって、被告の製品が、本件発明の技術的範囲に属するものとは認められない。


3.執筆者のコメント
原告は、被告製品が、文言上、発明の範囲に属する旨の主張をしたと考えられる。しかしながら、「軸」の定義を明細書に記載せず、通常と異なる意味にすることはやや難があったと解せられる。
本技術分野の詳細を理解していないので推測の域を出ないが、「回動体を軸として」の部分は発明の本質的部分でなかったようにも思われ、原告は被告製品が均等の範囲に属する旨の主張をできたとも考えられる。
ただし、被告製品の「回動体」に対応する部分の構成の方が本発明の構成より簡素である印象を受け、何らかの事情で、原告は出願時から本発明の構成に限定していたとも考えられる。
また、発明に係る「作用」の項目が実施例レベルで詳しく記載されており、出願時に先行技術等を考慮して、限定的に記載していたのかもしれない。


(執筆者 栗山  祐忠 )


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