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平成17年9月5日 大阪地裁 平成16(ワ)12860号
- 特許権侵害差止等請求事件 -

事件名
:ケース事件
キーワード
:無効、新規性、進歩性、記載不備、未完成発明、損害賠償
関連条文
:特許法29条1項、29条2項、36条4項1号、104条の3
主文
:原告の請求をいずれも棄却する。


1.事案の概要
原告は、ビデオ、DVD等のレンタルショップで使用する貸出用のケース等の製造販売を業とする株式会社である。被告は、ビデオ、CDショップ向け業務用設 備の販売等を業とする株式会社である。原告は、ケースに関する特許権を有している(特許第3394728号)。原告は、被告製品が特許請求の範囲請求項1 に係る発明の特許権を侵害しているとして、差止請求、損害賠償請求等を求めた事件である。


2.主な争点及び判決の要旨
以下の点が争点となった。(1)被告製品が、本件発明の技術的範囲に属するか否か。(2)本件発明に係る特許権について、無効理由が存在するか否か。(3)損害額はいくらになるか。
(2)の無効理由について、被告は、(ア)明細書の記載不備、(イ)発明が未完成である旨、(ロ)USP2,472,486に基づいて、本件発明の新規性が否定される旨、(ハ)その他の刊行物に基づいて、本件発明の進歩性が否定される旨を主張した。
それに対し、裁判所は、USP2,472,486に基づいて、本件発明には新規性が欠如している旨を判示した。裁判所は、USP2,472,486に記載 されているケースの構成要素を特定し、特定された構成要素と本件発明の構成要件とを対比し、本件発明はUSP2,472,486に記載された発明であると 判示し、本件発明の新規性を否定し、特許法29条1項3号に該当するものとして、特許無効審判により無効とされるべきものであると判示した。
それゆえ、裁判所は、その他の争点については、判断することなく、原告の請求は理由がないとして、請求を棄却した。


3.執筆者のコメント
本件において、裁判所は、104条の3を適用し、特許権者は権利行使できないと判示した。裁判所が、新規性の判断を積極的に行うことができたのも、本件発明がケースというように、比較的理解が容易な発明であったからであろう。
本件特許については、原告と被告との間で無効審判(2004-35047)がなされており、無効でないとの審決の後、知財高裁に提訴され、審決維持の判決がなされている。しかし、当該無効審判では、USP2,472,486が先行技術文献として提示されていなかった。
そのため、本件特許には、新たな無効審判がその後請求されている。当該新たな無効審判において、USP2,472,486が証拠として提出されているか否か分からない。特許権者側は、訂正請求しているようである。当該新たな無効審判の行方にも注目したい。


(執筆者 高山  嘉成 )


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