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平成17年5月16日 大阪地裁 平成16(ワ)5380号
- 特許権侵害差止等請求事件 -

事件名
:被服用ハンガー事件
キーワード
:特許権、損害賠償請求権の譲渡、特許の無効
関連条文
:特許法104条の3Ⅰ、同第29条Ⅰ③、同第29条Ⅱ
主文
:原告らの請求をいずれも棄却する。


1.事案の概要
本件は、「被服用ハンガー」に関する特許権を有している原告P1及び上記特許権の元特許権者P2から被告に対する損害賠償請求権を譲り受けたという原告会 社が、被告による製品の製造販売が上記特許権の侵害にあたると主張して、原告P1がその製造販売の差止め等及び損害賠償を、原告会社が損害賠償を、それぞ れ請求した事案である。なお、本件特許権の原権利者は訴外のP2であり、原告P1はP2から特許権の移転登録を受けた。原告会社はP2の損害賠償請求権を 譲渡された者である。被告は本件特許権について無効審判を請求し、原告P1は本件明細書の訂正請求をした。


2.主な争点及び判示事項
主な争点は、本件特許は無効審判により新規性ないし進歩性の欠除を理由に無効とされるべきものか、である。
裁判所の判示事項は以下のとおりである。
本件特許には、29条1項3号ないし2項の無効理由が存すると認められるところ、特許が特許無効審判により無効にされるべきものと認められるときは、特許 権者はその権利を行使することができないのであるから(特許法104条の3第1項)、本件特許の特許権者である原告P1において、本件特許権に基づく差止 め等や損害賠償を請求することが許されないのはもちろん、特許権者であったP2から本件特許権侵害による損害賠償請求権を譲り受けたと主張する原告会社に おいても、損害賠償を請求することは許されない。


3.執筆者のコメント
新設の104条の3第1項を適用した大阪地裁の判決である。104条の3の規定は平成17年4月1日施行(施行前に生じた事項にも適用される)なので、適 用例としては本判決が最も早いのではないか。また、被告は無効審判に対抗して訂正請求をした。裁判所は、本件発明について29条1項3号の無効理由が存す ると認定し、さらに訂正請求にも言及し、本件訂正請求が認められたとしても、訂正後の本件発明は29条2項の無効理由が存すると認定した。無効審判と訂正 請求がセットになったこの種の訴訟は今後多くなると予想される。


(執筆者 森下  武一 )


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