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パテントセミナー2012 神戸パテントセミナー(午後の部)報告書

日  時 平成24年2月25日(土)13時30分~16時00分
場  所 神戸市産業振興センター
テーマ 均等論 
~「均等侵害が肯定され易くなった」というのは本当か?~
講  師 弁理士 五郎丸 正巳氏
受講生 70名
コメント  午後の部は、近畿支部副支部長である五郎丸先生による「均等論」の講義でした。この講義の前半では、初心者に均等論の考え方を習得してもらうためと、中上級者に均等論の復習をしてもらうために、「クレーム解釈の原則」と「均等論の概要」についての説明がありました。また、これらの説明に続いて、ボールスプライン事件以降の下級審の主な裁判例として、「生海苔の異物分離除去装置事件」についての解説がありました。
 続いて、講義の後半では、「均等論の論点」と「近時の均等論裁判例」についての講義がありました。五郎丸先生は、「均等論の論点」として、(1)「発明の本質的部分」の解釈と、(2)「意識的除外」の範囲を取り上げられました。そして、「発明の本質的部分」について、現在は、技術思想説(技術的思想の同一性で「発明の本質的部分」を判断すべきという考え方)に基づいて、「発明の本質的部分」を解釈するのが主流になっており、この説に基づいて解釈すると、均等の第一要件が認められ易いという点を解説されました。また、「意識的除外」の範囲についての論点に関しては、「出願時に故意・過失により記載しなかった場合」は、意識的除外とする判例が多いという解説をされました。
 また、「近時の均等論裁判例」についての講義では、「ゴルフクラブヘッド事件」と「地下構造物用丸型蓋(マンホール)事件」について丁寧な解説をされた後で、知財高裁の裁判例は、いずれも、クレームに記載された具体的文言より抽象度を一つ上げて「本質的部分」を解釈しており(上記の技術思想説に即しており)、「均等は認められやすくなった」ことが窺えるという見解を述べられました。ただし、下級審では、未だクレームに記載された文言を重視して「本質的部分」を解釈しているものが多いとも述べられました。また、「生海苔の異物分離除去装置事件」、「ゴルフクラブヘッド事件」では、特許請求の範囲を少し工夫(上位概念化)すれば、均等論を持ち出すまでもなく、文言侵害に含めることができたようにも思えるので、出願時の特許請求の範囲の緻密な検討が必要であるという見解を述べられました。
 五郎丸先生の講義は、充分な準備に基づいた分かり易い内容であり、初心者から上級者まで幅広い受講者にとって、大変有益であったと思います。




講師:五郎丸 正巳 氏


会場の様子

執筆者: 近畿支部知財制度普及委員会 水田 愼一


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