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ちざい げんき きんき 事例紹介 知的財産の活用で、元気な関西の企業/団体を紹介します
分電盤用小形避雷器 特許:第4773701号
無電源サージカウンタ 特許:第5499269号
避雷器接触子接合構造 特許:第5339133号
権利者:音羽電機工業株式会社 

日本唯一の
雷対策専門メーカーとして
研究開発を推進し、
戦略的な知的財産管理にも
取り組んでいます。

創業以来、強大な自然エネルギー「雷」を探求し続けている音羽電機工業。日本で唯一の雷対策専門メーカーとして社会のニーズに応え、優れた製品の数々は多くの賞にも輝いています。今回は同社の「雷テクノロジセンター」を訪ね、各製品の特長や開発の背景、さらには知的財産権への取り組みなどについてお話しをお伺いしました。

音羽電機工業の取り組み

雷対策をシステムと考えてトータルに事業を展開

取材担当者
ネットワーク化された高度情報社会を迎えた今、落雷の影響による電子機器のトラブルが、企業活動の脅威として取り上げられていますね。
音羽電機工業
落雷は大きく2つに分類されます。ひとつは、建物や木などに直接落ちる「直撃雷」です。この直撃雷から建物を守るのが避雷針です。もうひとつは「誘導雷」といい、近くに落ちた雷が電線や電話線、地面などを伝って建物内に流れ込んでくるもので、ビルや家屋の電気設備が故障する原因となります。
雷の侵入経路
取材担当者
電気設備を誘導雷から守るにはどうすればいいのですか。
音羽電機工業
誘導雷による被害を防ぐのが、私たちが創業時から開発に取り組んでいる避雷器です。建物内の分電盤や配線盤のほか、電柱などに取り付け、電線などを通して流れ込んでくる異常な電気をバイパス回路でアース側に逃して、電気設備を守る役割をします。
ホーム分電盤に取り付けられた避雷器
電柱に取り付けられた避雷器
取材担当者
具体的にはどのような施設で使用されているのですか。
音羽電機工業
弊社の製品はビルや工場の電気設備における電源線部や、信号線部には取り付けられています。また、電力会社の配電設備、電鉄会社の車両や線路、通信会社の基地局、さらには国宝クラスの神社仏閣でもご使用いただいています。また、一般家庭内でも使えるコンセントタイプの避雷器も販売しています。
取材担当者
御社が手がける避雷器の一番の特長はどこにありますか。
音羽電機工業
少し難しい話になりますが、現在の避雷器には酸化亜鉛に数種類の添加物を混合して成形し、高温で焼結させた酸化亜鉛素子を使用しています。酸化亜鉛素子は雷のエネルギーを瞬時に効率よく処理できる機能を持っています。弊社ではこの酸化亜鉛素子の開発から取り組み、様々な工程を経て避雷器の製品化までを手がけています。このような一貫生産を行っている企業はほとんどありません。弊社では酸化亜鉛素子技術に関しては業界最先端を行くと自負しています。
取材担当者
その高い研究開発力と豊富な経験を活かし、雷対策のコンサルティングも行われているとお聞きしました。
音羽電機工業
はい。落雷によって設備機器に被害が生じた場合や重要な設備の設計の場合など、私どもに雷防護対策の相談に来られます。
取材担当者
建屋に避雷針を立てて、そこに避雷器を設置すれば済むという問題ではないんですね。
音羽電機工業
避雷針を設置したとしても、避雷針が受けた雷のエネルギーが再びアース側に戻って電気設備に流れてくる場合があります。そこで私どもは専門家の視点でそのルートを調査・分析して、必要な場所に必要な機能をもつ避雷器の設置を提案し、さらには工事からアフターフォローまで請け負っています。落雷被害に不安を抱かれている企業様は、業界を問わず弊社に相談していただきたいと思います。
取材担当者
本日お邪魔している「雷テクノロジセンター」についても、お話しをお聞かせいただけますか。
音羽電機工業
ここは、長年蓄積してきた技術をもとに自社設計した雷試験施設です。直撃雷電流試験設備、高電圧試験設備をはじめ、様々な試験機を揃え、さらには2階建ての模擬木造家屋を建てて家電製品への雷の影響も検証できるようにしています。特に22万Aの電流を発生させる直撃雷電流試験設備は世界最大クラスです。JISやIEC規格に適合した試験も可能で、弊社製品の評価試験だけでなく、ご要望に応じて各種試験も請け負っています。
高電圧試験設備の放電実験の様子
取材担当者
どのような依頼の受託試験があるのですか。
音羽電機工業
例えば、新製品の耐雷試験やお客様の製品付近で落雷した場合の被害の再現実験など、多種多様なケースに及びます。また、三菱重工様からの受託で航空機の落雷時における安全性の確認試験を行っています。
取材担当者
昨年、53年ぶりの国産旅客機として話題を集めたMRJですね。
音羽電機工業
はい、そうです。航空機自体に落雷することがあるため、航空機製造では耐雷対策も重要です。雷テクノロジセンターでは航空機専用試験棟と専門チームを設けて耐雷試験を実施し、MRJが雷雲時にも安全に運航できるように弊社社員も日々確認試験に取り組んでおります。
知的財産への取り組み

特許権取得とノウハウ秘匿の使い分け

取材担当者
各種避雷器などを開発・製造・販売される中で、知的財産戦略が重要な鍵を握ると思いますがどのように取り組まれていますか。
音羽電機工業
創業当時を知るものが社内に少なくなってきていますが、調べてみると昭和33年に「避雷器用紙蓄電器」で実用新案を得ています。知的財産権に対する意識は、すでにこの頃から高かったことがわかります。権利が消滅したものを除き、現在は特許66件、実用新案1件を保有しています。
取材担当者
海外では特許権を取得されていますか。
音羽電機工業
アメリカや、古くから雷対策に関連する市場が成熟しているヨーロッパに加え、中国や韓国でも展開しています。
取材担当者
社内の発明に対して、情報を開示してでも独占性と排他性を備えた特許権を取得するのか、それともノウハウとして秘密管理を行うのか、難しいところがあると思いますがどのように対応されていますか。
音羽電機工業
製品化されたものを他社の技術者が見て、発明内容が容易に推察されてしまうようなものは特許を得るようにしています。一方、処理方法、配合等に関しては秘匿しています。弊社独自の酸化亜鉛素子の製造技術に関しては企業秘密です。

取材担当者
では、意匠権についてはどのように取り組まれていますか。
音羽電機工業
意匠権は26件登録済みです。しかし、意匠権は特許権より権利範囲が狭いことが多いことが悩みです。
取材担当者
そのような場合、特許権と意匠権の両方を取得し、それぞれの権利の弱点を補い合うというアプローチもあります。一度、担当の弁理士に相談されてみてはいかがでしょうか。
ところでホームページを拝見させていただきましたが、商標権のほうでは「免雷」という名称で取得されていますね。
音羽電機工業
「免雷」は弊社の造語で、使いはじめて約7年が経ちます。意味合いとしては従来の機能と独自の機能を組み合わせた製品に使用しています。例えば弊社の避雷器を内蔵した分電盤を「免雷盤」と名付けています。また、「免雷の時代へ」というスローガンも展開し、マーケティングにも用いています。「免雷」以外にも、弊社のカレンダーなどに使用しているロゴマークをはじめ、37件の登録商標を保有しています。
取材担当者
カレンダーといえば、掲載されている雷の写真は公募によるものだそうですね。
音羽電機工業
弊社では毎年「雷写真コンテスト」を開催しています。入賞作品は賞金と引き換えに著作権などの権利を譲渡していただき、カレンダーのほかにもホームページや販促品などに使用しています。これもまた、弊社の貴重な知的財産になっております。
取材担当者
著作権についても充分に注意したうえで、写真を活用されているわけですね。
受賞実績

数々の受賞歴が物語る、信頼と実績

取材担当者
平成18年に経済産業省より「明日の日本を支える元気なモノ作り中小企業300社」に選ばれたほか、製品開発でも様々な賞を獲得されています。近年ではどのような製品が受賞されているのか、大変興味深いので教えていただけますか。
音羽電機工業
代表的なものをいくつか挙げますと、まず平成24年度に「分電盤用小形避雷器」が大阪ものづくり発明大賞を受賞しています。従来なら避雷器が3個必要なところを1個で済むように開発した製品で、分電盤内での取り付けの省スペース化と経済化を図った技術を認めていただきました。
取材担当者
現場ニーズに応える製品づくりが高く評価されたわけですね。
音羽電機工業
平成25年度には「避雷器接触子接合構造」が大阪チャレンジ発明賞を受賞しています。この発明は避雷器の接合部構造を変更し、電流が流れることにより、接触子の接触圧を増大させるようしたことで、電流を円滑に流せるようにしました。
避雷器接触子接合構造を採用した避雷器
取材担当者
なるほど。
音羽電機工業
平成27年度には「無電源サージカウンタ」が中小企業庁長官奨励賞を受賞しました。これは落雷時に発生する雷サージという電流の流入回数を計数する製品です。これまでは電源を必要としたのですが、雷によって停電するとカウントができなくなってしまいます。また、乾電池式にすると電池交換の保守作業が必要です。ではどうすればいいかというと、無電源で長期間に亘り回数情報を保持させるには機械的構造のカウンタが有効です。しかし、雷サージは電流の流れる時間がほんの一瞬の現象であるため、一般的な構造ではカウントできません。そこで弊社では雷サージのエネルギーを使ってカウントできるように工夫を重ねました。
その結果、電源を必要とせず、どこでも簡単に、極めて長期間に亘り、雷サージの流入回数を記録できるようになりました。
右:分電盤用小形避雷器
左:無電源サージカウンタ
取材担当者
なぜ、雷サージの流入回数を記録する必要があるのですか。
音羽電機工業
まず、雷サージの流入経路を知ることが、雷対策の第一歩だからです。また、避雷器の効果度を把握したいというお客様のご要望もあります。その点、これを取り付けておけば、雷サージが流入しても被害が起こらなかったことを目で確認して、避雷器の有効性を実感することができます。
取材担当者
無電源サージカウンタが、御社の避雷器の品質を証明する役割も果たしているわけですね。
取材担当者
今後、知的財産戦略を推進していくうえで、弁理士にはどのようなことに期待されますか。
音羽電機工業
弊社は今年5月に70周年を迎えます。雷対策のトップメーカーとして今後も製品開発に努めてまいりますので、弁理士の方には私どもの視線に立って知的財産権の側面からサポートしてほしいと思います。
取材担当者
弁理士は代理権というものを持って仕事に取り組んでおります。私どもはひとつの案件にたずさわる以上は会社の一員であるような立場にたち、様々な意見を交わしながらお互いが納得のいくようにしなければならないと考えておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。

音羽電機工業株式会社
昭和21年、京都市東山区にて創業。現在は兵庫県尼崎市に本社を置き、「雷一筋」に事業を展開。各種避雷器、各種デバイス製品及び、電子応用機器の開発・製造・販売から、雷防護対策のコンサルティング、電気工事一式まで雷対策に関わる事業を一貫して手がけ、社会や地域に広く貢献しています。


2016年3月29日掲載