会長あいさつ
令和7年度 日本弁理士会 関西会 会長 山本 宗雄
令和7年度の日本弁理士会関西会の会長を務めます、山本宗雄です。就任にあたり、ご挨拶を申し上げます。
新型コロナウイルス感染症によるコロナ禍は一昨年に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類に移行したことにより終息したように見えていますが、このコロナ禍が我々の活動に変化を与えました。例えば、ウェブの利用が促進され、会議なども実際に人と人が会ってする方式の他に、ウェブを利用したウェブ会議が広く行われ、両方の方式の併用も行われています。
コロナ禍を契機とした社会様式の大きな変化に加え、国家間の対立による資源高騰や物価の高騰が進み、企業にとっては、先がなかなか見通せない状況であります。
しかし、そのように変化する環境においては、ビジネスを大きく飛躍させるチャンスも生まれます。
日本が活気を取り戻すためにはイノベーションを次々と生み出し、牽引する沢山の人や企業が必要です。
リスクを取って新たな事業を進め成果を出しても、直ぐに他者にただ乗りされたのでは、リスクに見合った成果物を得ることができません。
そのようなことを防ぎ、先行者の優位性を一定期間維持させ、成長を支えるのに役立つのが特許制度や商標制度等の知的財産権制度です。
そして、それを支えるのが弁理士です。弁理士は、“知的財産に関する専門家”です。
優れた技術を開発した人も、知的財産権制度を活用して独占状態ないし先行者優位の状態を維持できなければ、たちまち他者が参入し模倣することにより優れた技術は瞬く間に一般化して優位を築けなくなります。
革新的な事業が始まるそのタイミングで、もし知的財産権制度に対する知識が無ければ、たとえその革新性に将来大きく成長する潜在的な価値があったとしても、事業として成長させることが困難です。
日本弁理士会は、全国の弁理士の指導、連絡及び監督をする機関であり、経済、産業の発展のために知的財産権制度の適正な運用を推進させる組織です。
日本弁理士会関西会は、日本弁理士会の地域組織の一つであり、関西地域の知的財産権制度の普及と改善を推進し、知的財産活動の支援をする組織です。
日本弁理士会関西会は、中小企業関係者や一般の方を対象とした知的財産のセミナーを継続的に開催して、知的財産権制度の昂揚、普及を推し進めています。
中小企業やベンチャー企業等に対して、弁理士を派遣して企業の発展を知的財産の面でサポートするために、日本弁理士会関西会単独であるいは近畿経済産業局およびINPIT―KANSAIと連携して知財戦略・知財経営についてのコンサルティング事業を行っています。
さらに、小学校、中学校、高校等を対象とする知的財産特別授業の実施を繰り返し、将来、イノベーションを起こす人を育てる教育の支援に力を入れています。
また、今年2025年の4月から10月にかけて、大阪・関西万博が開催されます。大阪・関西万博では、日本弁理士会は共創パートナーとして協力しています。大阪・関西万博を通じても、知的財産権制度の重要性を情報発信します。特に、2025年の10月上旬には、日本弁理士会が万博会場で知財に関連したイベントを開催する予定です。そのイベントに日本弁理士会関西会からも多くの人材を派遣して、大阪・関西万博に協力する予定です。
社会、ビジネス環境のこの大きな変動期に、関西の経済、産業を活性化させる人、企業を、知的財産権制度を活用して支えることにより、日本弁理士会関西会は社会に貢献していきます。