(1)上位概念化および下位概念化
・ある概念Aに、別のある概念Bが包含される場合、概念Aは概念Bの上位概念であり、概念Bは概念Aの下位概念です。出願当初の明細書に記載された上位概念の下位概念であるからといって、その補正が認められるわけではありません。
例:「導電板」としか記載されていない場合に、上位概念としての「導電板」を下位概念としての「銅板」とする補正は新規事項の追加となり、認められません。
・補正後の発明が出願当初のものより上位概念であるからといって、その補正が認められないわけではありません。出願当初の下位概念以外の事項をも総合して検討した結果、上位概念が自明に導き出せる場合には、その上位概念を記載する補正は、認められます。
(2)マーカッシュクレーム形式の請求項
化学物質が多数の選択肢群の組み合わせの形で記載されている場合に、その選択肢の範囲内で特定の選択肢の組み合わせを請求項に追加する補正や、ある選択肢を削除した結果特定の選択肢の組み合わせが残る場合、その補正は認められない場合があります。
例:置換基Xの選択肢としてアルキル、アルケニル、アミノ、アラルキル、ハロゲン、シクロアルキルが記載され、置換基Yの選択肢としてアルキル、フェニル、アルコキシが記載され、X=アルキル、Y=フェニルの組み合わせに相当する化合物に関する記載がない場合に、X=アルキル、Y=フェニルと限定する補正は、新規事項の追加となる。
(3)数値限定
・明細書中に、「望ましくは24~25℃」と明示的に数値で記載されている場合に、その数値による限定(数値限定)を請求項に記載する補正は、認められます。
・24℃と25℃の実施例が記載されている場合に、「24~25℃」とする補正は、認められません。ただし、課題・効果等の記載からみて、24℃、25℃が上限、下限の境界値であることが認められるときは、その補正は認められます。
(4)除くクレーム
「除くクレーム」とは、「請求項に記載した事項の記載表現を残したままで、請求項に係る発明に包含される一部の事項のみをその請求項に記載した事項から除外することを明示した請求項」と定義されています。「除くクレーム」とする補正は、除外した後の「除くクレーム」が新たな技術的事項を導入するものではない場合には、新規事項の追加には該当せず、認められます。
例:「…アルキル基…」との記載を、エチル基に係る先行技術を除くことを目的として、「…アルキル基(エチル基は除く)…」とする補正は認められます。
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