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パテントセミナー2024 第2回 報告書


日  時 令和6年11月2日(土)午後2時~3時40分
場  所 日本弁理士会関西事務所
テ ー マ 第2回「ダイキン工業の知財取組み~クリエイティブな知的財産部を目指して~」
講  師 弁理士 安部 剛夫 氏 
受 講 者 63名
内  容

 パテントセミナー2024年の第2回は、ダイキン工業株式会社の知財財産部長である安部剛夫弁理士をお招きして、「ダイキン工業の知財取組み~クリエイティブな知的財産部を目指して~」というテーマでご講演頂きました。

 講義前半では、企業概要や、事業内容、製品の紹介、経営理念、売上・利益の推移、海外事業比率の推移といった内部環境について説明されました。例えば空調機器については、例えばアメリカではダクト式全館空調が好まれ、日本ではダクトレスシステムが好まれるなど、地域(国)ごとでかなり異なることも説明されました。地域(国)ごとに異なる空調機器のシステムが好まれることから、世界において拠点ごとに開発及び生産を担うように組織していることも説明されました。また、平均して毎年1000件程度の特許出願を行っていることも説明されました。

 講義後半では、CGコードの改訂、カーボンニュートラルへの挑戦、ラディカルイノベーション・オープンイノベーション、AIの進化といった外部環境について説明されました。CGコードの改訂の説明では、日本での知財・無形資産の価値は欧米に比べて著しく低いことを、企業価値に占める無形資産割合の日米比較を示す資料を提示して説明され、将来的に知財部に求められる機能を拡大させる必要があることを説明されました。AIの進化の説明では、現状のAIの機能により、異なる言語の壁が低くなり、異なる言語の文献を含む先行技術調査がし易くなったことなどを説明され、今後の進化によってはさらに出来ることが増えることから、AIの進化について注視をしていくことを説明されました。

 また、外部環境の説明の後、知的財産部の目的、目指すマインド、目指している組織形態、実際に行った知財活動、大学との連携、ベンチャーとの連携について説明されました。実際に行った知財活動の説明では、例えば模倣品対策の事例と環境技術のオープン・クローズ戦略の一例を説明されました。模倣品対策は、モグラ叩きのような状態だが、対策を行うことで模倣品被害を減らすことができていることを説明されました。また、環境技術の環境技術のオープン・クローズ戦略の例では、冷媒R-32の使用を世界的に拡大させ地球温暖化を抑制するために冷媒R-32空調関連特許の無償開放を行ったことを説明され、結果として市場が拡大し、企業利益にも寄与したことを説明されました。

 講義の後の質疑応答では、大学との協創において欧米の大学と日本の大学とで利益配分や出願形態で違いがあるか、ベンチャー企業との協創を行っているが、ベンチャー企業とはどのようなきっかけで接点をもったか、特許出願件数がこの10年で右肩上がりに見えるが、その理由は?冷媒R-32空調関連特許の無償開放を行ったが、知財部が提案したのか?人基軸となるが研修にはどれだけ時間をかけているのか?など多数の質問があり、すべての質問について丁寧に回答されていました。


以上

(執筆者:関西会 知財普及・支援委員会 白尾嘉則)






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