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ちざい げんき きんき 事例紹介 知的財産の活用で、元気な関西の企業/団体を紹介します
半導体光電気化学セルの製造方法 特許:第3795515号
ソラデー® 商標登録:第2329860号
権利者:株式会社シケン 

水だけで歯がツルツルになる
歯ブラシ「ソラデー」を
模倣品などから守るだけでなく、
商品の安心と信用を高める役割も
知的財産権が果たしています。

"歯磨き粉を使わなくても、歯が驚くほどツルツルになる!"。そんな従来の概念を打ち破る画期的な歯ブラシ「ソラデー」シリーズが、生活雑貨専門店やインターネットなどで話題を集めています。そこで、この歯ブラシを手がける株式会社シケンを訪ね、開発の経緯や技術的な仕組み、さらには知的財産権に対するお考えなどをお伺いしました。

「ソラデー」の開発背景

当時まだまだ知られていなかった光触媒作用を歯ブラシに応用

取材担当者
実は私は御社の「ソラデー3」で毎日歯を磨いています。はじめてこの歯ブラシを使ったとき、歯磨き粉を使わなくても水だけで歯がすっきりとして本当に驚きました。
シケン
ありがとうございます。
取材担当者
この歯ブラシを開発するきっかけをお聞かせいただけますか。
シケン
先代社長が歯科機材のメーカーに勤めていたとき、歯ブラシの開発にも携わっていました。当時、使いやすくて、歯垢の除去率のいい、そんな歯ブラシはできないものかと常に考えていたそうです。ある日、学生時代の友人と出会った際に、酸化チタンに光が当たることで汚れや臭気成分を分解する「光触媒作用」について聞いたそうです。
取材担当者
いつ頃のお話しですか。
シケン
今から40年近く前になると思います。まだ光触媒という技術がほとんど知られていない時代でした。この光触媒作用を応用した歯ブラシを勤め先に提案したところ、興味は抱いてもらえたけれど採用はされなかったそうです。そこで、この光触媒に可能性を見出した先代は起業を決心し、1981年に創業したのがこの会社です。
取材担当者
そのような経緯があったんですね。創業時のご様子はご存知ですか。
シケン
棒状にした酸化チタンを内蔵した全く新しい発想の歯ブラシでしたから、製造を協力していただくところを探すのが一番たいへんだったようです。製造過程においても失敗と苦労の連続だったと聞いています。それでも様々な方々の努力のおかげで、「ソラデー」シリーズの最初の商品の発売に至りました。
取材担当者
ちなみに「ソラデー」とは、どのような意味ですか。
シケン
Solar(ソーラー)とDental(デンタル)を組み合わせて名づけました。
取材担当者
造語によるネーミングなのですね。苦心の末に誕生した「ソラデー」ですが、はじめから市場に受け入れられたのでしょうか。
シケン
最初の商品はブラシ部分の交換ができなくて、毛先が開くと本体ごと捨てなくてはならなかったんです。価格は2,000円でしたから、消費者の方々にとってはかなり高価な歯ブラシという印象だったと思います。そこで次に、ブラシ部分を交換できる「ソラデー2」を開発・販売しました。
取材担当者
現在販売されているシリーズには、すべてソーラーパネルが付いていますね。
最初に開発・販売された「ソラデー」
シケン
はい。「ソラデー3」からソーラーパネルを搭載しています。
  

「ソラデー」の特長

酸化チタンとソーラーパネルを歯ブラシに内蔵

取材担当者
「ソラデー」シリーズの技術的な仕組みを教えていただけますか。
シケン
現在、私どもの主力は「ソラデー3」「ソラデーN4」「ソラデーリズム」の3商品です。すべてに共通しているのが、ネック部分に酸化チタンを内蔵し、持ち手にソーラーパネルを搭載していることです。
取材担当者
ソーラーパネルを搭載することで、光触媒作用はかなり高まるものなのですか。
シケン
はい。まず、水に濡れた酸化チタンに光が当たるとマイナス電子(e)が発生します。これが光触媒作用ですね。私どもではこの部分の製造方法で特許を取得しています。さらに、ソーラーパネルに光が当たることでマイナス電子が発生し、その電子が導線を伝って酸化チタンに移動します。つまり、酸化チタンとソーラーパネルからの電子がともに唾液などを介して口腔内の歯垢に働きかけ、歯垢をはがれやすくするわけです。
取材担当者
なるほど。酸化チタンとソーラーパネルからのダブルの電子による作用が働くわけですね。
シケン
そうなんです。このダブルの電子の作用により、いわゆる"むし歯菌"と呼ばれるS.ミュータンス菌の増殖を抑えること、歯垢を効果的に除去すること、歯を溶かす乳酸を分解することが確認されています。
取材担当者
「ソラデー3」と「ソラデーN4」の違いはなんですか。
シケン
「ソラデー3」の2倍の大きさのソーラーパネルを搭載したのが「ソラデーN4」です。これにより、より多くの光を取り込むことが可能になり、電子の量も増えて歯垢除去効果がさらに高まりました。
取材担当者
「ソラデーN4」の"N"にはどのような意味があるのですか。
シケン
「ソラデーN4」は細部にわたり、国内生産にこだわりました。NIPPONの技術だからこそ実現できたクオリティの象徴として"N"の文字を表記しています。
   
   
   


取材担当者
大学歯学部や歯科大学などと共同実験・研究を行われているそうですね。
シケン
はい。これまでに70件の学会・論文発表を行ってきました。
取材担当者
具体的にはどのような実験・研究をされているのですか。
シケン
歯垢除去に関することをはじめ、様々な基礎・臨床試験を行っています。例えば、「ソラデー」をお使いいただいているお客様の声で一番多いのが、歯がツルツルになることと、そのツルツルした状態が長続きすることです。これは先ほど申しました、"むし歯菌"と呼ばれるS.ミュータンス菌の増殖を抑えるからなんですね。
取材担当者
確かに「ソラデー」で磨いたあとは、時間が経っても歯がツルツルしているように感じますね。
シケン
そこでもっと詳しく調べてみようということで、岡山大学歯学部と共同実験を行いました。歯とほとんど同じ成分を持つアパタイトペレットを「ソラデー」で磨いて、それをS.ミュータンス菌液の中に12時間漬けた後、状態を調べてみたんです。すると、50回以上磨くと菌の付着をほとんど抑制していることがわかりました。一般の歯ブラシで磨いた場合は菌がびっしりと繁殖していたので、その効果の凄さを改めて実感しました。
実験方法/「ソラデー」とプラセボ歯ブラシ(一般歯ブラシ)にてアパタイトペレットを
50回ブラッシングし、それらのペレットをS.ミュータンス菌(むし歯菌)を含んだ培地に
入れ、37℃で12時間培養。

取材担当者
私が感じていた使用感が、実験データできっちりと証明されたわけですね。
シケン
ただ、大人の歯は32本あり、一本一本50回磨くのはたいへんだということで、電動タイプの「ソラデーリズム」を開発しました。「ソラデーリズム」は1分間で約18,000回も音波振動するので、50回以上のブラッシングを容易に行うことができます。
取材担当者
歯を磨く際に腕が疲れやすいご高齢者やお子様でも、「ソラデーリズム」なら楽しくブラッシングができそうですね。

知的財産権に対する姿勢

特許を通して独自性と信頼性をアピールしていきたい

取材担当者
御社では1983年に最初の特許を取得されていますが、知的財産権に関するお考えをお聞かせください。
シケン
知的財産権の取得につきましては、もちろん商品を守るためというのもありますが、私どもとしては「ソラデー」を使っていただくお客様に安心と信用を提供する意味合いも大きいですね。商品には絶対の自信を持っていますので、特許・商標登録の取得や実験・研究を行うことで信頼を裏付けできればと考えています。
取材担当者
新商品を開発・販売するにあたり、弁理士にはどの時点から相談・依頼されているのですか。
シケン
最終的な出願手続きだけでなく、商品開発の段階から特許化できる技術について相談に乗っていただいています。弊社内には特許に特化した部門はありませんので、弁理士の先生にお願いしている部分はかなり多いです。
取材担当者
弁理士とのやり取りで困ったことはないですか。
シケン
特許関連には難しい専門用語が多く、私たちも意識を高めて勉強しなければいけないと思っています。
取材担当者
もちろん、発明者様と弁理士との間で共有できる知識を持つほうが会話もはかどり、権利取得に向けてもスムーズに進みますが、そこは我々弁理士側もなるべく専門用語を使わずに会話を行うことができる努力が必要であると常々考えています。
シケン
出願後に特許庁から拒絶理由通知が届くことって、よくあることなのですか。
取材担当者
特許庁から"拒絶"という言葉が入った通知がくると驚かれる場合がありますが、特に珍しいことではありません。特許庁と一緒になって、よりよい権利範囲を見定めて権利を取得するためのプロセスだとお考えいただければいいと思います。
シケン
わかりました。
取材担当者
「ソラデー」は日本以外でも販売展開をされているそうですが、海外で特許は取得されていますか。
シケン
世界15の国と地域で特許を取得しています。
取材担当者
模倣品が出回ったりはしていないですか。
シケン
かなり以前にイタリアでありましたが、そのときはヨーロッパの代理店を通して特許侵害の主張(警告)を行うことで解決しました。
取材担当者
海外における知財戦略も、ぜひ弁理士にご相談いただければと思います。最後に今後の商品展開についてお聞かせください。
シケン
実はいま、新商品の発売を控えています。すでにテスト販売を終えてご好評をいただいており、期待していただければと思います。今後も決して価格競争を行うのではなく、品質一筋で勝負していきたいですね。
取材担当者
ほかに比較するものがない唯一無二の歯ブラシとしてのよさを、さらにアピールしていくということですね。
シケン
光触媒作用を応用した歯ブラシとしての独自性を保持できているのは、特許のおかげだと思っています。創業から約40年が経ちましたが、特許を取得していなかったら数多くの模倣品が絶対出ているはずですしね。これからも弁理士の先生方には、いろいろとご協力をお願いいたします。
取材担当者
こちらこそ、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。

株式会社シケン
1981年、大阪市天王寺区に株式会社歯健として創業。同年に世界ではじめて光触媒作用を応用した歯ブラシ「ソラデー」を開発。以来、"人々の歯の健康を守り、人々の生活を豊かにする"という揺るぎない信念のもと、シケンにしかできない製品づくりを続け、「ソラデー」シリーズは累計1,570万本以上の出荷を記録するヒット商品として、日本はもちろん世界各国で愛用されています。2014年「第一回 日本弁理士会知的財産活用表彰」にて奨励賞受賞。


2018年2月5日掲載

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