新製品などを他人の模倣から護るための権利としては、その技術的価値を保護する特許権および実用新案権、デザイン的価値を保護する意匠権、その製品に付けた名前などを保護する商標権がありますが、このうち、特許権、実用新案権および意匠権は、その申請の時点で新規なものであることが必要です。
これは、これらの権利が新しい技術やデザインを公開することを条件として与えられるものだからです。
この点について、特許法は、特許出願前に日本国内又は外国において公然知られたものや公然実施をされたものなどは新規性を喪失しており、特許を受けることができないと規定しています。実用新案法や意匠法についても同様です。
ご質問の場合、新製品はすでに販売されており、上記の公然知られたもの、公然実施をされたものなります。したがって、新製品は、新規性を喪失しており、特許を受けることができないものに該当します。実用新案や意匠についても同様です。
但し、実用新案の場合は無審査ですので、出願すれば実用新案権は発生しますが、その権利を行使しようとしても、その実用新案を実施している者が請求するであろう無効審判により無効とされる可能性が高いと考えられます。
ただし、新製品が新規性を喪失した日から6カ月(注1)以内に出願し、且つ、所定の書面を提出すれば、発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けることができます。この場合、出願前に販売した新製品を根拠にして、出願が拒絶されたり、権利が無効になることはありません。
なお、新製品に付するマークやネーミング等の商標については、以上のような新規性が要求されませんので、これから出願しても商標権を取得できる可能性が有ります。
(注1)平成29年12月9日以降に公開され、平成30年6月9日以降に出願された場合は、1年以内となります(平成30年改正特許法第30条)。
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