特許や実用新案においては、新規性、進歩性あるいは先願主義といった観点から先行技術の調査が極めて重要です。しかし、日本ひいては世界の各国で日々出願される特許等は膨大な数に達しこの発明等の公開公報や特許公報類も膨大な数となり、なんらかの分類指標がないと公報類を利用した技術調査を行うことは困難です。
そこで、特許調査の便宜を図るため、当初は各国が独自に設定した技術内容による特許分類を利用していましたが、これでは各国間の公報の利用が不便でした。
かかる分類指標を国際的に統一すべく設けられたのが、国際特許分類(IPC;International Patent Classification)です。国際特許分類は、ストラスブール協定(1975年10月7日発効)に基づき設けられた国際的な特許分類で、1968年に第1版が発行されて以来、5年毎に改訂され、現在は第8版が使用されています。
分類記号はセクション、クラス、サブクラス、メイングループ、サブグループの順に細分化されていくように構成されています。
最も大きい分類であるセクションは、以下の8つに分かれています。
A:生活必需品 B:処理操作、運輸 C:化学、冶金 D:繊維、紙
E:固定構造物 F:機械工学、照明、加熱、武器、爆破 G:物理学 H:電気
国際特許分類は、特許公報のフロントページで、””Int. Cl.””という項目に記載されています。農作業具を例にしますと、例えば以下のような国際特許分類が特許公報に掲載されています。
A01B 1/00
ここでセクションAは、上述したように「生活必需品」の分類、クラスを加えたA01は「農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業」に関するものであることを表し、さらにサブクラスを加えたA01Bは「農業または林業における土作業:農業機械または器具の部品,細部または附属具一般」を表し、グループ1/00は「手作業具」となっています。このように、大きな分類から細かい分類へと階層的になっています。分類の詳細は、特許庁のサイトの「国際特許分類(IPC)について」をご覧下さい。
このように、技術の進展に伴い定期的に改訂され各技術分野で細分化された国際特許分類を、例えば日本の特許庁が提供している特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)のような検索システムで検索のキーワードとして用いれば、必要な技術分野における技術調査が効率的に実施できます。
なお、日本においては、この国際特許分類とともにFIやFタームといった日本独自の特許分類も併用し、調査の精度をより一層高くできるようになされています。
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