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意匠法の保護対象について

Q今般、当社は、多数の箱形ユニットを結合した2階建ての組立家屋を開発しました。この組立家屋は運搬や組立作業が簡単であるばかりか、外観のデザインも優れています。このような組立家屋についても、意匠法による保護を受けることができますか。
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 貴社の組立家屋のデザインは意匠登録の保護を受けることができます。貴社の意匠出願前に、他人が同じデザインの組立家屋を意匠登録出願しているとか、公知の意匠が存在している等の他の不登録要件がなければ、貴社の前記デザインは意匠登録されます。
(1)意匠法は意匠について、「物品(物品の部分も含む。)の形状、模様、色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。」と定義しています。従って、出願した意匠が、この定義に該当しない場合には、意匠を構成しないとして登録を受けられません。
上記意匠の定義を分説すると、(a)物品と認められること(物品性)、(b)物品自体の形状・模様・色彩又はこれらの結合であること(形態性)、(c)視覚を通じて(視覚性)、(d)美感を起こさせるもの(審美性)であることが、意匠の成立要件であり、これらの1つでも充足しないと、意匠の保護は受けることができません。特に、貴社の組立家屋のデザインの場合、(a)の物品性を充足するかが問題となります。したがって、ここでは物品性に絞って説明します。

(2)(物品性)意匠登録出願にあたって、必ずその意匠に係る物品を記載しなければなりません。この物品の概念については、通説は取引の対象となり得る有体物の動産に限ると解し、実務でも採用されています。従って、
1)土地及びその定着物である家屋などの不動産は、原則として意匠法上の物品とは認められません。しかし、組立家屋・電話ボックス・移動便所等のように、工業的に量産され販売時に動産として取り扱われるものは意匠法上の物品として運用されています。
2)有体物として一定の形態を具えていることを要しますから、電気、光、熱などの無体物や、気体や液体などでもそのもの固有の形態を有しないものは意匠法上の物品といえません。
3)粉状物・粒状物等の一単位の如く肉眼で形態が判断しにくいものや、それらの集合体でも特定の形態がないものは物品性がありません。
貴社の組立家屋は、上述の意匠の成立要件、特に(2)1)を充足し、かつ形態性と審美性も充足していますので、意匠法の保護を受けることができます。

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