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意匠登録出願手続について

Qペンギンをモチーフとした文鎮の意匠を出願したいと考えています。この文鎮の意匠は、実物のペンギンのモチーフをほとんどそのまま意匠に係る物品に表したものではなく、くちばしや眼や全体の形態がかなり異なるように美的処理を施した点に特徴があります。この特徴点を、出願の際に審査官にアピールしたいのですが、何か良い方法はありませんか。
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1.出願の際に、自己の意匠の特徴を記載した「特徴記載書」を特許庁に提出することによって、出願意匠の特徴を審査官にアピールすることができます。この特徴記載制度は、意匠法の改正により平成11年1月1日の出願から利用できるようになった制度です。この特徴記載書の提出は、義務ではなく、出願人が選択できる任意手続きです。

2.特徴記載制度の趣旨
 意匠登録出願の際に提出する願書及び添付図面等だけで、意匠の特徴を充分に表現することは困難な場合があります。そのため、審査官・審判官による審査が遅延して権利付与が遅くなるなどの問題がありました。
 一方、出願人にとっては、例えば、自己の出願意匠は、公知意匠と異なる点を予め強調して拒絶理由を回避したいときや、自然物や有名な著作物等をモチーフとして利用していても創作容易な意匠ではないことを予め強調したい場合があります。
 そこで、出願人自ら意匠の創作の特徴を主張できる特徴記載制度を導入することによって、特許庁における審査・審判の迅速化を図るとともに、第三者には前記特徴記載書の内容を意匠公報に掲載することにより当該意匠に関する出願人の主観的意図を知らせるものです。

3.提出手続
(1)特徴記載書は、意見書の先出しとも考えられることから、願書を提出するとき、又は出願が審査、審判、再審に係属中はいつでも提出できます(意匠法施行規則6条1項参照)。
(2)特徴記載書は、所定の様式によらなければなりません(意匠法施行規則6条2項参照)。詳しくは、弁理士にお問い合わせください。
 なお、〔意匠の特徴〕及び〔説明図〕の記載は最新のものがそのまま意匠公報に掲載されます。

4.審査・審判での取り扱い
 特徴記載制度は、出願意匠に関する創作のポイントを出願人が主張することによって、前記2.に記載したような効果を達成しようとする便宜的な制度です。
(1)審査官・審判官は、意匠の特定、類否判断、拒絶の理由において、特徴記載書の記載内容を直接の根拠にすることはできません。審査、審判の資料とするか否かは審査官・審判官の自由裁量です。特徴記載書の記載内容に同意できないときでも、拒絶理由を発したりすることはできませんし、判断結果が意匠公報に掲載されることもありません。
しかしながら、審査官・審判官は、特徴記載書を見るでしょうから、特徴記載が的確なサーチ範囲を決定する参考情報となるため、審査、審判の迅速化が期待されます。また、登録された場合には、〔意匠の特徴〕および〔説明図〕の記載内容が意匠公報に掲載されるので、第三者に対して出願人の登録意匠の創作の意図をしらせる牽制効果は得られましょう。
(2)特徴記載書の記載は、登録意匠の範囲を定める基礎としない(意匠法施行規則6条3項参照)し、審査の対象ともなっていないので、意匠権の権利範囲について直接的に何ら影響を与えないものです。
しかしながら、出願人が自ら特徴記載書で特徴記載をしている以上、侵害訴訟等の場においては、その記載内容と矛盾する主張はできないと思われるため、禁反言(エストッペル)の法理が適用される虞があります。従って、この特徴記載書を提出すべきか否か、提出する場合はその記載内容を十二分に検討すべきです。

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