秘密意匠制度とは、出願人の請求により意匠登録の日から3年を限度として登録意匠の内容を公報に掲載せず、秘密にしておくというものです(意匠法第14条1項)。
1.秘密意匠の請求
この制度の適用を希望する出願人は、以下の点に注意して秘密意匠制度の適用を受けたい旨請求する必要があります(意匠法第14条2項)。
1. 意匠出願と同時、又は第1年分の登録料納付と同時に秘密意匠の請求を行うこと。
2. 請求書には、出願人の氏名(名称)及び住所、並びに、対象の意匠を秘密にすることを請求する期間(最長3年)を記載すること。
なお、この請求の後でも、出願人(意匠権者)は、秘密にしておく期間の延長又は短縮を請求することができます(意匠法第14条3項)。
2.秘密意匠の公開
秘密意匠は、以下の場合に公開されます。
1. 秘密期間中
意匠権者の承諾があったとき、裁判所からの請求があったとき等一定の場合には例外的に特定の者に対して秘密意匠の内容が示されます(意匠法第14条4項)。
2. 秘密期間経過後
通常の意匠と同様に公報に掲載されます(意匠法第20条4項)。
3.秘密意匠制度の利用に際しての注意点
秘密意匠制度を利用すれば、独占権を得ながら、一定期間、その内容を競業他者に対して秘密にしておくことができます。しかし、いいことばかりではありません。つまり、秘密期間中の秘密意匠に係る意匠権侵害訴訟では、侵害者がその意匠権の存在を知っていたことを意匠権者等が証明しなければならないのです。これは、秘密意匠は秘密期間中、意匠公報に掲載されないため、侵害者に過失があったと推定されないためです(意匠法第40条但書き)。
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