意匠法では、自分が持っている意匠権に係る登録意匠と同一の意匠だけでなく、それに類似する意匠を他人が実施した場合も意匠権の侵害となります。従って他人が販売している商品にかかる意匠が類似するか否かは、意匠権の侵害となるか否かを判断する上で非常に重要となります。
ここでは、自分が持っている意匠権に係る登録意匠に係る物品と他人が販売している商品が同一又は類似であるとしてその形態が似ているかどうかについて説明します。なお、ここで説明するのはあくまでも一般論であり、実際には事案ごとに個別具体的に判断する必要があるのはいうまでもありません。
また、意匠の類否判断については非常に高度な専門性が必要ですので、実際の具体的判断については弁理士にご依頼いただくことをお勧めします。ここではその前提で説明いたします。
・まず、意匠の類似判断の主体となるのは需要者・取引者です。
・次に、自分の登録意匠における形態を、その需要者・取引者が購入する際に通常行う観察方法で観察した上で、物品全体の形態と各部の形態がどうなっているかを認定します。
・次に、登録意匠において当該意匠の特徴(性質、用途、使用形態、従来の意匠にない新規な創作部分があるかどうか)を検討して、当該登録意匠の要部がどこかを把握します。例えば炊飯器においてその操作パネルに斬新なデザインを施して登録になった場合、その操作パネル部分が要部となり得ます。
・次に、他人が販売している商品を購入するなどしてその形態がどうなっているかを観察し、登録意匠との共通点および相違点を認定します。そして両意匠が先に把握した登録意匠の要部において共通しているか否かを中心にして観察し、両意匠が全体観察上美感を共通するか否かによって類否を判断します。例えば両意匠の相違点が特に要部において顕著であり明らかに美感の差があれば両意匠は類似しないことになり、その相違点が要部以外の目に見えない部分の微差であれば両意匠は類似すると考えられます。
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