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商標(登録)表示について

Q商品の名前の右肩に「R」や「TM」がついていますが、これはどういう意味ですか。 
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 ®は、“Registered”の略で登録商標であるとの告知記号、TMは、“Trade Mark”の略で商標であるとの告知記号、SMは、“Service Mark”の略でサービスマークであるとの告知記号であり、いずれも米国発祥です。特には1946年に米国商標法(Ranham Act)が制定された時、その第29条に、表示を怠れば原則として損害賠償請求権を失う旨の規定を置いたことから、俄然世界の注目を浴び、一挙に世界に知られました。以来、半世紀以上経過した現在は世界で通用する登録告知記号となったといえます。例えば、漢字国である中国ですら商標法実施条例で®を商標登録告知記号と認めています。また、スペイン語国であるペルーでは、ペルーで未登録の商標に®を付せば制裁を科しています(Legislative Decree No.23)。

 なお、上記米国ランナム法(ランハム法は誤読)第29条は現在も存在しますが、表示が無いから「損害賠償を請求できない」とか「請求されないで済む」と考えるのは早計です。(R)、TM、SMなどの表示を付す・付さないは、わが国を含むどの国においても商標使用者の自由意思に委ねられており、付さないからといって罰則はないからです。例えば、わが国商標法第73条は「登録商標である旨の表示を付するように務めなければならない」と訓示していますが、違反しても罰則はありません。また、商標法施行規則第17条は、「登録商標第○○○号」、「国際登録第○○○号」のように表示すべしと定めていますが、圧倒的に®が使用されています。

 逆に未登録商標にを付した場合は、わが国の法令に規定がないので裁判で争点になるかもしれませんが、理論上、明白な虚偽表示です。従前存在しなかった新商品・新役務が次々に登場する昨今、何年か前に商標登録したハウスマークを新商品・新役務に使用すれば、指定商品・役務外の使用、即ち虚偽表示になりかねないので注意すべきです。ちなみに、わが国商標法第80条は、虚偽表示にについて刑事罰を科し、その量刑を3年以下の懲役又は300万円以下の罰金と定めています。

 ところで、わが国では商標権は特許庁に設定登録しないと発生しませんが、米国では商標を通常の国際又は州際商取引の場で使用すれば商標権が発生し(使用主義)、商標登録は商標権発生の要件ではありません。商標権は、その商標を米国領域内で最先に使用した者に帰属します(先使用主義)。このことを踏まえて、®表示・TM表示・SM表示の意義を理解しておくべきです。

 例を挙げて説明します。「JUMBO」という文字を付した「ソーセージ」を米国で最初に販売した人がいたとします。もしその使用態様が「JUMBO」であれば、「JUMBO」は連邦商標登録済であることを一般に告知することになります。連邦特許商標局は、商標登録するに当り審査を行うため、の表示は、「JUMBO」なる語が識別性要件(使用による識別力、即ちsecondary meaningの発生の判断を含む)の有無について審査したうえで登録が認められたことを意味します。したがって、商標権者は、「JUMBO」の語は「ソーセージがジャンボサイズである」ことの表示ではなく、「JUMBO印のソーセージ(出所標識)」の意に解すべきであると告知していると主張でき、被告が「『ジャンボサイズ』の意であると信じたのであって悪意は無かった」と抗弁することを許しません。

 では、TM表示・SM表示についてどうでしょうか。TMがTrade Markで,SMがService Markのことであることは、米国の取引者・需要者に容易に理解されますので、「JUMBOTM」の態様で使用しておれば、使用者は「JUMBO」の語を「ジャンボサイズのソーセージ」ではなく、「JUMBO印のソーセージ」即ち出所標識として使用している旨を告知していると主張できます。「JUMBO」のように本質的な識別性に疑義がある商標であって、連邦登録の審査を受けていない場合にTM表示は、被告が「『ジャンボサイズ』であるとの表示であると認識したから使用したのだ」と抗弁するのを封じるのに役立つでしょう。この裁判の帰趨は、米国におけるソーセージの需要者が「JUMBO」の語をどう認識するか次第です。

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