著作権法では、著作物に対して、その権利者(著作権者)に無断で、次のような行為した場合は、《原則》として著作権の侵害であるとされています。(概念が分かりにくい語句については、直後にその概念に含まれる典型的な例を挙げています。)
・複製:著作物をコピーすること。
・公衆への上演・演奏
・公衆への上映
・公衆送信,公衆への伝達:〔公衆送信〕著作物を放送したり、インターネットで配信したりすること。〔公衆への伝達〕テレビ(受像器)を使ってテレビ番組を流すこと。
・公衆への口述
・公衆への展示
・映画著作物の頒布:他人に売却したり、貸し与えたりすること。
・映画著作物以外の公衆への譲渡:売却したりすること。
・映画著作物以外の公衆への貸与:貸し与えること。
・翻訳・翻案:日本語の小説をもとに、英語翻訳、漫画化、TVドラマ化すること、またイラストのキャラクターをもとに、着ぐるみを制作すること、など。
多くの概念で「公衆への」とある理由は、例えば「口述」だと、小説を一人で音読したり、親が子どもに絵本を読み聞かせるなどの行為が侵害行為から除かれるようにするためです。また映画著作物の「頒布」という概念が、映画以外の著作物では「譲渡」と「貸与」に分かれているのは著作権法の歴史的経緯によるものです。
ただし、著作権法には上記のような《原則》の行為を無断で行っても著作権侵害にならない《例外》の状況が、数多く、かつ細かく規定されています。
例えば、個人的・家庭的に楽しむ目的で、著作物の無断複製を行うことはできますが、市販の映画のDVDなどのコピーガードを外してのコピーまでは認められません。さらに学校の授業で使う補助教材として著作物を無断複製することできますが、配布する生徒の数を大きく超えた枚数のコピーまでは認められません。また飲食店では、お客様のためにテレビ局に無断で家庭用テレビを使ってテレビ番組を流す(公衆へ伝達する)ことはできますが、録画した番組を流したり、業務用のプロジェクターなどを使ったりすることまでは認められません。
このように、他人の著作物を無断で利用できる例外状況は非常に複雑です。もしあなたが他人の著作物を利用する事業を始めようと考えているならば、その利用が著作権者に無断で行えるかどうかを予め弁理士などの専門家に確認されることをお勧めします。
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