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パテントセミナー2013 第3回大阪パテントセミナー(応用編) 報告書

日  時 平成25年2月16日(土)14時~16時30分
場  所 日本弁理士会近畿支部
テーマ 最新侵害訴訟事情~クレーム解釈から~
講  師 弁護士・弁理士 岩坪 哲 氏
受講生 114名
コメント  パテントセミナー2013 大阪応用編第3回では、岩坪 哲弁護士・弁理士をお迎えして、「最新侵害訴訟事情~クレーム解釈から~」というタイトルの講義をしていただきました。
 講義は、近年の知的財産権に関する訴訟事件ではその認容率が低下している傾向にあり、その一因はクレームを国語的、限定的に狭い範囲で解釈するようになってきていることにもあるのではないかという興味深い問題提起から始まりました。そして、最近のクレーム解釈の傾向としては、文言、特にクレームの国語的意味に拘泥する傾向にあること、発明の詳細な説明から把握できる「技術的思想の範囲」に限定解釈する傾向にあること、出願経過を限定的に参酌する傾向にあること、そして裁判所は均等論に対しては消極的な態度になっていることについて説明があり、それぞれの事案に関係する判例について、その内容や問題点などを詳しく解説していただきました。
 特に副題に挙げられている「クレーム解釈」については、直近の判例のみならず、過去の判例も紐解いて、過去から現在に至るまでどのような判例がどのような変遷を経て積み上げられてきているのか、またその時の判事は誰であったのかなど、如何にも知財に深く関わってきたベテラン弁護士らしい内容の濃い講義内容であり、受講者にとっても興味の尽きることのない分かり易い講義となりました。特に、磁気媒体リーダー事件に代表される機能的クレームについては、一度クレームが機能的クレームと認定されてしまうと、機械品に関する発明であってもその機能を達成し得る実施例のみに限定されてしまう実情を知ることができました。
 その結果、クレーム・ドラフティングは、単に先行技術との対比において差別化するために構成要件を整理し、その構成要件に適する文言を選ぶのみでは足らず、今回のようなクレーム解釈に関係する判例を知りそれを理解し、そして独占権の基礎である“明細書による発明(技術的思想)の開示”を如何にクレームに反映させることが重要であるかを学ぶことができたように思います。
 また、2時間半の講義は、内容が濃かったこともありあっという間に終わってしまいましたが、岩坪弁護士の受講者の皆さまへ問いかけるようなお話し方は、聞き手の心を惹きつけ、受講者の皆さまの心に留まる有意義なものであったと思いました。




講師:岩坪 哲 氏


会場の様子

執筆者: 近畿支部知財制度普及委員会 三宅康雅


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