米国特許基礎セミナー 報告書 第4回
日 時 | 平成23年4月15日(金)午後3時~5時30分 | ||
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会 場 | 日本弁理士会近畿支部 明治安田生命大阪梅田ビル25階(大阪市北区梅田3-3-20) |
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テーマ | 「103条(自明性)と昨今の米国特許事情」 | ||
講 師 | 米国ニューヨーク州弁護士 矢部 達雄 氏 | ||
コメント | 毎回好評の米国特許基礎セミナーの4回目として米国ニューヨーク州弁護士の矢部達雄先生に以下の内容についてご講演頂きました。 1.自明性に関して ・ 1952年の特許法103条は、現在の103条(a)項と同一文言である。 ・ 1966年のGraham判決で4つの基準が示された(特に、条文にはない副次的な証拠に注目)。 ・ 2007年のKSR判決でTSMテスト以外にも当事者にとっての一般的知識・常識が参酌されるようになった。同年10月に自明性の審査ガイドラインが制定され、特許査定率が低下した。 ・ 2010年9月に自明性の捕捉審査ガイドラインとして24件のCAFC事件の判事事項をまとめたものが加筆された。その中で外観上理解しやすいCrocsの説明が矢部先生により行われた。阻害要因、商業上の成功等によりCAFCは特許の有効性を認めた。 ・ 自明性拒絶に対する反論の紹介 スライド63~65に第1~第3反論のまとめ有り。 ・ In re Swanson 訴訟において特許の有効性が確認されたとしても、同じ先行技術文献で再審査にて無効にできる可能性有り(立証責任基準が異なるため)。 2.昨今の注目ポイント ・ Kappos新長官について 前長官とは違って知財の経験が豊富であるため好印象 ・ eBay判決について 特許に基づく差止請求権も民法上の4つの要件を満たすことが必要(パテントトロール対策) ・ In re Seagate判決 故意侵害が認められにくくなった。弁護士の鑑定の重要性低下? ・ Ariad判決 無効の反論として開示要件をつくのが主流となってきている。 その他USPTOデトロイト支庁開設予定など数多くの話題を提供して頂きました。 最終回も多くの参加者があり、4回シリーズの米国特許基礎セミナーは、経験豊富な矢部先生の巧みな話術により大盛況のうちに終えることができました。
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(書記:福本康二)