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日本弁理士会知財ビジネスアカデミー大阪プレコース丸島ゼミ第3回報告書

開催日時 平成19年10月26日(金) 午後6時~午後9時45分
開催場所 日本弁理士会近畿支部 会議室
受講者数 20名
報    告 平成19年10月26日(金)、「企業における知財戦略支援ゼミ(丸島ゼミ)」第3回が開催されました。
まず、ゼミリーダーの岩井将晃先生による号令の後、受講者のグループ分けが発表されました。次に、丸島儀一先生が前回の課題のレポートについて評釈をされました。その後、井上一先生から今回の課題が発表され、ゼミも3回目ということもあり、受講生は速やかにグループワークへ移行しました。
課題は「事業に勝つための守りと攻めの特許について定義し、併せて、A・B班は守りの特許戦略について、C・D班は攻めの特許戦略について、企業の知財部責任者の立場で説明せよ」というものでした。
各受講生は今回の課題について活発に意見を交換し、各班に用意されたホワイトボードは瞬く間にマーカーペンの字で埋め尽くされました。グループワークの時間として設定された45分は、受講生にとっては非常に短い時間に感じられたことでしょう。
まず、A・B班の発表及びディベートが行われました。B班は、守りの特許とは現状を維持するためのもの、攻めの特許とは事業を拡大するためのものと定義し、守りの特許戦略として、周辺特許の取得の重要性を主張しました。これに対して、A班は、守りの特許とは成長期、成熟期の勝ちを維持するためもの、攻めの特許とは新規事業を立ちあげるためのものと定義し、保有する特許がどの段階にあるかを把握した上で守りの特許戦略を組み立てるべきと主張しました。A・B班の対決はA班が勝利しました。
休憩の後、C・D班の発表及びディベートが行われました。C班は、攻めの特許とは他者を市場から排除するためのもの、守りの特許とは他者に排除されないようにするためのもと定義し、攻めの特許戦略として、十分な市場調査を行った上で差止め等の排他的手段を積極的に行うべきと主張しました。これに対して、D班は、攻めの特許とは独占的使用を維持するためのもの、守りの特許とはクロスライセンスの対象とするものと定義しました。C・D班の対決は僅差でC班が勝利しました。
続いて、各班の発表に対する丸島先生の講評がありました。丸島先生が仰るには、攻めの特許とは、自らの弱点を補うためのものであり、ライセンス交渉の対象としても良い特許である。そして、守りの特許とは、事業の根幹を成す、いかなる手段を用いても絶対に守り通さねばならない特許であり、ライセンス交渉の対象としてはならないものである。知財部責任者としては、何が攻めの特許であるか、何が守りの特許であるかを予め把握しておかなければならず、紛争が生じてから手を打っているようでは遅すぎる。知財戦略は常に先手必勝であり、守るために攻めるという意識を持つことが重要である。丸島先生は、攻め及び守りの特許について、ご自身の経験を踏まえて、説得力ある講義を展開されました。結局、講評と講義は休みを挟むことなく続けて行われました。講義終了の時間が近づき、井上先生が「終了」の合図を送った後も、丸島先生がマイクを手放すまでにはかなりの時間を要しました。
最後に、負けた班に対するペナルティの課題、次回のテーマ等が発表され、第3回の講義が終わりました。



運営委員:板谷 真之

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