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日本弁理士会知財ビジネスアカデミー大阪プレコース丸島ゼミ第5回報告書

開催日時 平成19年11月22日(木) 午後6時~午後9時55分
開催場所 日本弁理士会近畿支部 会議室
受講者数 20名
報    告 9月21日から隔週で開催されてきた当コースもとうとう最終回を迎えることとなりました。
ゼミ員のみなさんは、お仕事が終わった後に当コースに参加しておられ、さぞやお疲れのはずですが、モチベーションがあいかわらず高く目が生き生きとしており、丸島儀一先生が登場される前から会場はある種の熱気に包まれていました。
ゼミが始まると、ゼミ員のみなさんはいつも通りA~Dの4つにグループ分けされ、45分のグループワークに入りました。課題に対する考えをディスカッションしながら、グループとしての「提案」をホワイトボードにまとめて行きます。後に、グループごとのプレゼンとグループ間のディベートが控えているため、みなさん真剣です。
A、Bグループに与えられた課題は、「他社と結ぶ秘密保持契約で、他社より取得した情報に関し、[1]目的以外の使用禁止 [2]機密情報の開示及び漏洩禁止の2つの条項が入るのが一般的であるが、機密保持の履行の観点と、研究開発活動・知財活動に与える影響とを考え、負の効果を最小限にするために、上記2条項[1][2]をいかにすべきかを提案せよ。」。C、Dグループの課題は、「完成品メーカと部品メーカとの間の垂直型アライアンスの共同開発契約中に生まれた部品に関する共同発明について、完成品メーカ及び部品メーカがそれぞれ主張すべき事項について説明し、両者が合意できる方策を提案せよ。」でした。
A、Bグループのディベートでは、説得力の差でしょうか、それとも気迫の差でしょうか、Aグループが大差で勝利を収めました。C、Dグループのディベートは、激しいやりとりの結果、僅差でDグループに軍配が挙がりました。
それぞれのディベートの後で、丸島先生による解説講義がありました。A、Bグループの課題に関しては、「開示を受ける側は、そもそも、課題に列挙された[1][2]の2つの条項を契約に入れるべきではなく、相手方が情報を使われて困る部分・分野のみを特定し、それだけを避けてあげる形にした方がよい。」という丸島先生が初めて提唱された考え方(いわゆる丸島ドクトリン)が披露され、ゼミ員のみなさんの目から40枚のウロコがポロポロと落ちていった感がありました。
C、Dグループの課題に関しては、共同開発は自社だけで開発ができないからすることを意識して契約に臨むべきであること、具体的には、セットメーカなら部品メーカの持っている情報を取得できるような契約にすべきことなど、また、交渉とは妥協するためにするもので、妥協するためには全社的な経営戦略の中で動ける状態になければならず、そのための社内環境を予め整えておかなければならないことなどが解説されました。
丸島先生の熱意あふれる講義がテンポ良く展開されているうちに、最終回も予定の時間を大幅にオーバーし、会場撤収時刻の10時ギリギリでようやくお開きとなりました。
なお、最終回にもかかわらず、ディベートに破れたBグループ、Cグループの方には、何のためらいもなくレポート提出の宿題が科されました。最後まで、非常に密度の濃いゼミであったといえましょう。



運営委員: 竹原 懋

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