パテントセミナー2013 滋賀パテントセミナー午前の部 報告書
日 時 | 平成25年3月2日(土)10時~12時30分 | ||
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場 所 | コラボしが21 3階大会議室 | ||
テーマ | 当初明細書の記載事項に関する判例について ~審査基準と関連判例のご紹介~ |
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講 師 | 弁理士 松成 靖典氏 | ||
受講生 | 70名 | ||
コメント | 本日の午前の部は、企業内弁理士として、また滋賀地区会弁理士として活躍されている松成靖典先生に、「当初明細書の記載事項に関する判例について ~審査基準と関連判例のご紹介~」というテーマでご講演いただきました。 特許明細書を作成するときに重要なことは技術的事項をどの程度記載するかということであり、このことが、後の審査においてサポート要件を満たしているか、新規事項の追加となるかという問題になります。特に、特許請求の範囲を補正する際に、その補正内容が出願当初の明細書に開示されているかということで勝負が決まります。午前の部においては、このような問題を審査基準及び判例を参考にしながら説明していただきました。 まず、審査基準を中心に、補正内容が当初明細書に記載された範囲内のものかどうかということについて、事例を挙げて具体的に説明していただきました。例えば、「ばね」を上位概念としての「弾性体」に補正する場合はどうか、また明細書に「弾性体」として「ばね」しか開示されていないものを「弾性体」として「積層繊維層」を追加できるかどうかなどをわかりやすく説明していただきました。 次いで、判例(「バッテリーによる給電回路」事件、「人口乳首」事件、「ソルダーレジスト」事件及び「経口投与吸着剤」事件)を中心に、審査の過程において行った補正内容が新規事項に該当するか、サポート要件を満たしているかを裁判所の判断に基づいて説明していただきました。更に、新規事項の追加に関し、欧州(EPC)及び中国ではどのように判断されているかも併せて説明していただきました。 滋賀パテントセミナーは実務的内容を中心とした講演内容となっており、企業の設計開発技術者、知財担当者の受講者も多く、受講者からも好評であり(アンケート結果参照)、受講者数も70名を超えていました(申込み者数:100名以上)。講演終了後の質問も多く、受講者にとって有意義な講演であったと思います。
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執筆者:近畿支部知的財産制度普及委員 岸本 忠昭