セミナー報告書 「平成27年度中小企業向け知財支援セミナー」
下町ロケットからみる
特許取得・資金獲得・製品の魅せ方・中国等の海外進出での
知っておきたい知的財産視点のポイント
日 時 | 平成28年2月23日(火)午前10時~午後5時45分 |
---|---|
場 所 | 日本弁理士会近畿支部 会議室 |
主 催 | 日本弁理士会近畿支部 |
後 援 | 独立行政法人 中小企業基盤整備機構 近畿本部 |
対象者 | 一般、中小企業経営者 |
テーマ | 「会社を知財で盛り上げよう!~権利行使だけじゃない知財の使い方~」 |
講 師 | 第1講座 皆川 祐一 会員 第2講座 萩森 学 会員 第3講座 垣木 晴彦 会員 第4講座 石橋 広通 会員 |
参加者総数 | 77名 |
内 容 |
概 要: 1)第1講座(担当:皆川 祐一 会員) ・テーマ:「佃製作所とナカシマ工業及び帝国重工との間での知財のせめぎ合いなどに基づいて、特許出願などをどのように考えていくべきかについて」 ・講義形式・参加者数:70名 ・内容: 特許の基礎知識 1)特許出願までに考えるべきこと 知的財産専門の従事者がいない企業において、知的財産を担当する従業員が他の従業員から知財に関する相談を受けた場合に、考えるべきこと等が即座に頭に浮かぶよう、特許の基礎知識を噛み砕いて説明した。 ・講師コメント:当初(申し込み開始前)の想定に反して、知財部員の参加者が多かったため、内容が簡単すぎた。知財経験の少ない人には有意義であったと思う。 【セミナー風景写真】 ![]() ![]() 2)第2講座(担当:萩森 学 会員) ・テーマ「研究開発のための競争的資金の獲得の仕方」 ・講演形式 ・参加者数:64名 ・内容: 1)競争的資金とはどういうものか ・A-STEP 今回のセミナーの共通テーマである「下町ロケットからみる、知っておきたい知的財産視点のポイント」に則り、第2話のガウディプロジェクトが産学連携のプロジェクトであり、ハイリターンではあるがハイリスクなプロジェクトであるため、銀行の融資を得られず研究開発資金不足で頓挫しかけたエピソードから説き起こし、そうした場合の解決策として国の競争的資金があることから導入し、競争的資金の解説および獲得成功の秘訣について講師の経験を交え解説した。また、途中で聴衆の集中力を回復する意味で、ワークの時間を10分間取り、応募書類の一部を各自に考えてもらった。 【セミナー風景写真】 ![]() ![]() 3)第3講座(担当:垣木 晴彦 会員) ・テーマ「自社の強い想いに基づいて取引先に上手に製品を魅せて売上アップ!」 ・講演形式 ・参加者数:65名 ・内容: 1)ブランディングとは? ブランディングの基本と知的財産との関係の基本的なポイントをお話しすると共に、具体的な会社のブランディングの事例に基づいてブランディングのポイント及びどのように知的財産の活用がなされたかについて説明した。アンケート結果を見ると、知的財産担当でもこのブランディンクの視点が必要であることを認識して頂いた方もおられたので、この講義の意味はあったと思われる。 【セミナー風景写真】 ![]() ![]() 4)第4講座(担当:石橋 広通 会員) ・テーマ「グローバル化の前に知っておきたい中国とアジアの知的財産の現状」 ・講演形式 ・参加者数:64名 ・内容: 1)中国で起きた有名な事件 (1)使いまわしの技術を現地プラントに導入したところ、現地企業に特許侵害で訴えられた (2)自社ブランドが他人に勝手に商標登録された 2)中国における知的財産の実情 (1)中国の実用新案(実用新型専利) 3)アジアにおける知的財産制度の特徴 (1)特許出願件数とGDP 参加者のうち2~3割が仕事で中国と関わりがあるようであり、また知財関係者も多かった。講義はWEB公開情報をベースにした比較的オーソドックスな内容であったが、独特の切り口とプレゼンテーションが受けたのか、アンケート結果を見ると、「解りやすい」、「中国やアジアの知財の現状がよく分かった」といった感想が多く、概ね好評であった。 【セミナー風景写真】 ![]() ![]() |
総括コメント |
第1講座については、知財4法の基礎を着想の段階から、出願、審査、登録、権利行使まで、職務発明制度の改正などにも触れながら、分かり易く説明されていた。 第2講座については、夫々の競争的資金の特徴や応募のために必要な準備、アピールポイントについて実例をあげわかりやすく説明されていた。 第3講座については、講師ならではの切り口でブランディングによる商標保護の大切さ、弁理士の必要性について分かり易く説明されていた。 第4講座については、下町ロケットの事例を外国出願のケースに拡張してあてはめ、実用新案制度を使って国内権利を増産している、あなどれない中国知財事情と、MSE(修正実体審査制度)を用いて国際化を図っている、気をつけたいアジアの知財事情等について解り易く説明されていた。 最後に、4講座とも70名前後の参加者があり、募集に要した費用に対して集まっていただけた参加者の数は多かったように思われる。 |
(執筆者:知財普及・支援委員会 大森勇、田中信治)