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パテントセミナー2017 大阪応用編 第5回 報告書

日  時 平成29年12月16日(土)午後2時~4時30分
場  所 TKPガーデンシティ大阪梅田
テーマ 日本とドイツにおける特許判例
講  師 弁護士・弁理士 阿部 隆徳 氏
受講生 55名
コメント  パテントセミナー2017年度の応用編第5回目は、弁護士・弁理士の阿部隆徳氏をお迎えして「日本とドイツにおける特許判例」というテーマでご講義いただきました。
 講義の前半は、日本における特許判例に関するもので、阿部弁護士・弁理士が実際にご担当された最高裁判所への上告受理申立て事件に関するものでした。
 この講義では、最高裁判所へ上告受理申立てを行うに際し、下級審における事実認定等をどのように昇華させれば、上告受理申立て理由である判例違反やその他の法令の解釈に関する重要な事項を含む理由へ展開させることができるか等について、実例に即してその論理立てや技術的テクニックなどを詳しく解説していただきました。
 特に進歩性の判断については、その予測できない顕著な効果を判断する為に、明細書には先行技術と直接的に対比できるように効果が記載されていなければならないとする説(対比記載必要説)と、そうでないとする説(対比記載不要説)とが存在することを学ぶことができましたし、明細書を書く上で、実務的に極めて重要な問題点が存在していることにも気付かされのではないかと思います。
 後半の講義は、ドイツにおける特許判例に関するもので、「ドイツ連邦最高裁・白色LEDの基本特許の有効性を肯定」事件に関するものでした。
 この事件は、ドイツ連邦最高裁判所が、下級審であるドイツ特許裁判所が判断した人証等に関する事実認定や進歩性の動機付けに関して重大な事実誤認があると判断した事例であり、具体的な事例を交えながらドイツにおける各裁判所の位置付けや特色、そしてこれらの裁判所において闘うために当事者や代理人へ求められる必要な知識等を学ぶことができました。
 今回の講義は、日本における最高裁判所の事件に基づくものと、海外(ドイツ)における特許裁判所および連邦最高裁判所の事件に基づくものという極めて高度な内容を含むものでありましたが、両事件とも阿部弁護士・弁理士が実際にご担当または実質的に関与された事件であるだけに、その内容と解説にはとても迫力があり、受講生の皆さまも大変興味深く意義のある講義となったのではないかと感じます。また「百円手形事件」のような過去の判例を採り挙げて最高裁判所の考え方を教示していただくなど、素人にもとても判り易い講義であったように思います。
 その結果、講義内容そのものが受講者の皆さまへ直ちに関係してくるものではなかったかもしれませんが、そこから学ぶ得る教訓は計り知れず、このような事例に積極的に踏み込み、そしてこのような視点を持つことが、強い知財を作るために、クレームを組み立て明細書を仕上げる上でも極めて重要なことであることを改めて認識していただけたのではないかと感じます。


執筆者: 赤岡 和夫


           


講師:阿部 隆徳


会場の様子

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