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「三会協働知財支援プロジェクト 企業力向上セミナー」報告書

日 時 平成29年11月6日(月) 午後6時~8時30分
場 所 大阪産業創造館 4F イベントホール
主 催 日本弁理士会近畿支部・日本公認会計士協会近畿会・大阪弁護士会(三会)
テーマ 企業力向上セミナー~付加価値の発見とその活用法~
講 師 シルバーエッグ・テクノロジー株式会社 
代表取締役社長 トーマス・フォーリー氏(基調講演)

弁理士 華山浩伸氏(パネリスト)、公認会計士 和田林一毅氏(パネリスト)、
弁護士 藤原正樹氏(パネリスト)、弁護士・弁理士 辻村和彦氏(コーディネータ)

参加者 76名(中小企業・ベンチャー企業の経営者・従業員、銀行・VC等支援機関の方等)
担 当 日本弁理士会近畿支部 知財普及・支援委員会
内 容  「基調講演」
1998年に大阪でシルバーエッグ・テクノロジー株式会社を設立し、2016年に同社を東証マザーズ上場へと導いたトーマス・フォーリー氏に、同社を日本で創業し、IPOを経て現在に至る経緯についてお話し頂いた。
シルバーエッグ・テクノロジー社はレコメンド業界において第1線で活躍を続けている会社であり、同社のレコメンドサービス「アイジェント」は多くの大手中堅ECサイトで利用されている。今回の講演では、同社のレコメンドシステムの概要をご説明頂いた後、フォーリー氏がDEC社を経てジェンシム社で日本支社を立上げ、四面楚歌の状態から運営し、その後、日本での創業に至った経緯、当初のビジネスモデルが頓挫し、模索の末、現在のビジネススタイルに至った「前向きな挫折・有機的成長」の過程、同社がどのようにサービスの改善を継続し付加価値を創造して他社との差別化に活用しているのか、弁護士・会計士との付き合いがIPOに有利に働いたこと、IPOをした企業から見たIPOのメリットとデメリット等をご自身の経験に触れながら、ベンチャー起業家や第二創業の時期にある中小企業の経営者・従業員に向けて分かりやすくご説明頂いた。
知財についてはご自身の発明や自社の特許を紹介し、アイデアを説明した相手に特許を取得されてしまったエピソードに触れると共に、現行の特許制度は破綻していると感じる、との私見が披露され、ローレンス・レッシグ氏の『Creative commons』について言及された。
  また、フォーリー氏には講演を通じて、同社はまだ成長中であり今後もアドベンチャーが待っている、クライアントがGoogleやアマゾンを超えられるようサービスを提供したい、ベンチャー企業は日本の将来にとっても重要でありサポートして欲しい、というビジネスに対する思いを熱く聴衆に語って頂いた。その一方で、AIの持つ危険性やAIの発展に伴う人類社会の将来に関し、同氏の私見が示され、問題提起がなされた。
  なお、講演は英語で行われ、フォーリー氏の奥様であり、シルバーエッグ・テクノロジー社の初代社長であるフォーリー淳子氏に通訳をご担当頂いた。

  「パネルディスカッション」
  三会のパネリストより各士業の業務内容について紹介をした後、フォーリー氏の講演についてそれぞれが感想を述べた。華山弁理士からは第2創業の時期に特許を出願して現在のビジネスにつなげており、優れたビジネスモデルであるとの指摘があった。
  次に、スタートアップ時の士業の関与について議論した。和田林会計士からは、シルバー社のような開発型の企業は多額の初期投資が必要なのでVCによる出資を受けることが多く、VCにアピールできるビジネスプラン作成において会計士が支援できるとの指摘があった。藤原弁護士からは、他者から提供された契約書は相手側に有利なことが普通であり、それが将来的なビジネスの妨げとなりうるので、弁護士の確認を受けることが好ましい、との指摘があった。フォーリー氏からは、ベンチャー企業の後ろにVCがついている現状があり、屠殺場に行く家畜とならないよう、士業にはVCの側ではなく企業の側に立って支援して欲しいという、実感のこもった指摘があった。
  成長段階の企業に対する士業の関与として、藤原弁護士、和田林会計士から、上場を睨んだ管理体制について助言できることが指摘された。
  IPO段階の士業の関与に関連して、コーディネータの辻村氏がIPOのメリット・デメリットについて質問し、フォーリー氏より、メリットとしては、投資から自由になったこと、会社の評判、求人、資金調達に有利でビジネスを進めやすくなったことが挙げられた。一方、デメリットとして、人・コストのリソースが取られ大変だったこと、コンプライアンス維持にも人・コストが取られ、会社の機動力が損なわれることが指摘された。

以 上
(報告者:知財普及・支援委員会 阿部寛志)




(基調講演の様子)


(パネルディスカッションの様子)

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