「ORIST技術交流セミナー・ビジネスマッチングブログ【BMB】 第39回勉強会」実施報告書
日 時 | 平成30年3月6日(火)午後3時~午後5時30分 |
---|---|
場 所 | マイドームおおさか 4階セミナー室 |
主 催 | 大阪府産業デザインセンター、(地独)大阪産業技術研究所 |
共 催 | 日本弁理士会近畿支部 |
テーマ | 「具体的事例で学ぼう!知っておきたい模倣デザイン対策」 |
講 師 | 松下 正 |
参加者 | 一般35名 |
内 容 |
講師自己紹介の後、開発者、デザイナーが直面しそうな4つのシーン別の模倣対策について、実例を挙げつつ判例に基づいた具体的な説明が行われた。 ◆ シーン1について 会社Xは、デザイン会社Yに頼んで、商品を発売したが、半年後、中国から模倣品が出てきた。会社Xは、デザイン会社Yに相談。デザイン会社Yは自社で作ったデザインなので、著作権で対応できると考え、専門家に相談した。さてどうなるのか? 概略:応用美術品の著作物性について、原則と例外の説明が行われた。その後に不正競争防止法(2-1-3)による保護の可能性について説明が行われた。新商品についての類似性の判断要件、新商品の3年の始期について等の説明が行われた。その後に意匠法による保護の説明(全体意匠、部分意匠、関連意匠)が行われた。 ◆ シーン2について 会社XはデザイナーYにイラストを依頼し、そのイラストをカタログの表紙に使用していた。会社Rから「自社のイラストと似ているので著作権侵害である」と警告がきた。たしかに、似ているようにも思えるが、どのくらい似ているとダメなのか? 概略:イラストレーターが、数名居られた。著作物の同一類似についての説明がされた。著作権の翻案に該当するか否かについて、実例を挙げ、判例に基づく説明が行われた。依拠性についても説明された。 ◆ シーン3について 会社Xは、新商品のブランド名を考え、社内デザイナーがこれをデザイン化し使用していた。ところが他社から商標権侵害警告が届いた!なぜなの?どうすればいい? 概略:著作権と商標権との違いについて説明後、商標権に関する知財紛争に巻き込まれたときの対処法について説明された。先使用権の説明の他、調査、権利化の大切さについて説明された。その後に、商標の類否判断、調査方法について説明された。 ◆ シーン4について 会社Xは、商品Mを10年くらい前から販売し、ユニークな形状として市場を独占。業界紙などでも取り上げられ、◯◯型といえばX社の商品といわれるまでになった。ところが最近、似たものがネット上で販売されるようになった。当初、意匠権の取得を考えたが出願はしていない。なんとかできないのか? 概略:開発に年数を要しており、特許、実用新案、意匠、不正競争防止法(2-1-3)では、護りきれない案件の場合、どうすればよいか?について、不正競争防止法(2-1-1、2-1-2)及び立体商標による保護手法について説明がされた。 ◆ セミナー終了後 セミナー終了後、質疑応答の時間が設けられ、講師から、追加の商標、著作物の類似判断の事例紹介がなされた。セミナー終了後とはいえ興味深い内容で、帰る人はいなかった。 |
(執筆者:近畿支部知財普及・支援委員会 大森 勇)