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「令和元年度 三会協働知財支援プロジェクト 企業力向上セミナー」報告書


日 時 令和元年12月2日(月)午後6時~8時10分
場 所 大阪弁護士会館 2階201、202
主 催 大阪弁護士会・日本弁理士会関西会・日本公認会計士協会近畿会(三会)
後 援 近畿経済産業局、(独)中小企業基盤整備機構 近畿本部、大阪商工会議所、(独)工業所有権情報・研修館近畿統括本部
テーマ スタートアップにおけるデータと法務・知財戦略 in 大阪
講 師 弁護士 齊藤 友紀 氏(基調講演、パネリスト)
(株式会社メルカリ社長室、スポーツビジネス(協業戦略)担当)
弁護士・弁理士 内田 誠 会員(コーディネータ、パネリスト)
弁理士 河野 英仁 会員(パネリスト)
公認会計士 藤原 祥孝 氏(パネリスト)
受講者 78名
内 容 「基調講演」
 経済産業省「AI・データ契約ガイドライン検討会」委員、同省「データ利活用検討会」委員である齊藤友紀氏に、データの定義、重要性、データ取引、データ取引をめぐる組織・制度のデザインについてお話頂いた。
 データが重要性を増している背景として、膨大なデータの発生によりこれまで難しかった多様な情報を抽出できるようになっている点、大規模な計算環境が構築されたことにより膨大なデータを高速で処理できるようになっている点、アルゴリズムの発展により機械学習が進歩している点等についてご説明いただいた。
 データの法的な性質は無体物であり所有権の対象とならないことや、データ取引においては、利用のケースに応じて契約が必要である場合と不要である場合があること、データ取引における契約の限界について説明があった。
 データ取引においては契約後も流出リスク等は残るため、対応としてビジネスモデルを保護する特許権を取得する方法も挙げられた。

「パネルディスカッション」
 三会のパネリスト・コーディネータより自己紹介をした後、中小企業・ベンチャー企業でのデータに関する活動等について、各士業の観点からディスカッションを行った。また、齊藤友紀氏にもパネリストとしてご参加いただいた。ディスカッション形式としては、内田弁護士が、事前に用意した質問事項や、会場からリアルタイムで募集する質問事項を各パネリストに問いかけ、各パネリストが専門家ならではの意見を述べる形式とした。
 齊藤友紀氏からは、スタートアップ企業の経営として、データを用いたビジネスの出口戦略の重要性、ビジネス自体を保護することの重要性、データの価値の理解の重要性について説明があった。
 河野弁理士からは、スタートアップ企業における知財活動に関し、ビジネスモデル特許になる技術とそうでないものとの違いや、知財戦略として早期審査や、出願中の表示を行うこと等について説明があった。また、スタートアップ企業を支援する弁理士側としては、積極的なヒアリングを実施することが重要であるとの説明があった。
 藤原会計士からは、スタートアップ企業における資金繰りに関し、経営者がお金に対する認識が甘い点や、金融機関との付き合いの経験が少ない点等が挙げられるとの説明があった。また、知財の費用計上に関しての説明があった。

以 上
(報告者:知財普及・支援委員会 中井 正樹)








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