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パテントセミナー2019 和歌山 報告書

日  時 令和元年11月16日(土)午後2時~4時30分
場  所 和歌山商工会議所
テーマ eコマースと知的財産権
講  師 弁理士 岡田 充浩 氏
受講者 11名
コメント  インターネット販売による模倣品被害の実態と、それに対する対策が本セミナーの内容であった。近年インターネットでの物品販売が非常に盛んになっており取引額は店頭販売を上回るほどである。またBtoCだけでなく、BtoBの取引や、個人間のCtoCの取引も盛んにおこなわれている。またインターネットでの取引は国境を容易に越えてグローバルに行われている。インターネット販売では商品はその写真が掲載されるのみで消費者が購入前に実物に触れることが無いので実物販売より模倣品が売れやすいと言える。セミナーの前半では特許庁の調査結果などを基に、わが国の特実意商の権利を有する企業のじつに60%以上が模倣品をネット販売されるという被害を受けていること、模倣品は海外通販サイトで販売される例が最多で、次いで国内通販サイトでの販売、国内及び海外でのオークションサイトでの販売と続くこと、模倣品の製造は中国、韓国、マレーシアの順に多く、模倣品が販売されている地域は中国、韓国、台湾の順に多いことなどが紹介された。
後半では講師のクライアント(A社)の実例とそれに講師がどう対応したかが紹介された。A社の商品の模倣品を購入した消費者からA社がクレームを受け、調査すると某通販サイトでその模倣品が販売されておりそこに掲載されている商品の写真はA社の真正品の写真であった。商標権や意匠権の侵害の警告書を送っても、相手が中国の小さい企業の場合は宛先不明などで届かない。対策としてはその通販サイトにその模倣品のサイトのURLを削除してもらうしかない。しかし、その通販サイトはそういった要請はネット上の入力フォームからしか受け付けず電話番号や対応窓口などは公開していない。また証拠も要求されURLの削除に2カ月もかかったとのこと。
ネット販売では被害の拡大の速度が速く、対策が遅れると模倣品の方が真正品よりはるかに多く売れるようになり、どちらが真正品か分からなくなるようなことも起こる。従って模倣品対策は迅速に行うことが必要で、そのためは絶えず模倣品が出ないかネット上をウオッチしておくことも大切とのこと。また特許よりも意匠権、商標権の方が侵害品の見分けが容易であり、お勧めであることなども述べられた。
聴衆は事前の申込数は14名で、当日の実出席者は11名と少なかったが皆最後まで熱心に聴講された。質疑応答は前半の後に1問受けたが、講演が若干時間を超過したため後半は時間が取れなかった。しかし、終了後多くの方が講師に質問されており、今回のテーマは受講者の方々にとって切実な問題であったようで、適切なテーマであったと思われた。

執筆者: 関西会知財普及・支援委員会 萩森 学






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