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「三会による大学生を対象とした専門家講座」 報告書

日 時 2019年12月18日(水)午後1時30分~3時10分
場 所 大阪工業大学 大宮キャンパス
主 催 日本弁理士会関西会・日本公認会計士協会近畿会・大阪弁護士会(三会)
テーマ 財務・知財・法務から学ぶブランドの基本 ~ファッション業界の事例を参考に~
講 師 弁理士 中川 信治 氏
公認会計士 吉野 愼祐 氏
弁護士 赤松 俊治 氏
対 象 知的財産学部学生42名
内 容 今回の実務家講座は、2017年より同大学の学生に向けて実施している講座を引き続き開催するもので、知財関連授業の1コマにて、ブランドに係る知財の形成、活用、保護、収益構造などについて、公認会計士、弁理士、弁護士の立場から解説を行った。
 具体的には、ファッション業界の事例を取り上げ、ブランドについて①ビジネスモデル・ライフサイクルから見た考え方、②権利の取得、③権利の保護・対策について、弁理士、弁護士、公認会計士の三士業がそれぞれの観点からその概要を説明した。
 まず、公認会計士の吉野氏が、三士業の役割を簡単に説明したうえで、ビジネスにおける公認会計士の役割・仕事について解説した。次いで、財務諸表を概説するとともに、ファッションブランドを取り巻く経営環境を説明した。そして、営業とともにブランドも成長すること、他社ブランドを導入・展開するビジネスについてデサント、三陽商会などの具体例を挙げて説明があった。また、ブランド価値の維持についてアシックス・ナイキなどの具体例を挙げて会計士の視点から説明した。
 続いて、弁理士の中川氏が弁理士の役割を概説した後、商標と意匠を対比して説明し、ブランドについて解説を行った。次いで、500mLのペットボトル4種を示して外形で名称が分かるかを問い、分かる場合にはデザインがブランドになっていると解説した。また、高級ブランドとファストファッション業界の商標・意匠の具体例・登録数などを対比しながら各社のビジネス戦略と結びつけて説明した。さらに、商標権・意匠権の権利行使・保護戦略について説明した。
 3番目となる弁護士の赤松氏は、まず弁護士の業務を概説し、次いで民事訴訟・刑事訴訟の概要を説明した。また、弁護士とブランド保護の関与について説明した。具体的には、模倣品への法的対応の概要、商標保護の意義・重要性、ブランド価値が増大した場合の価値の維持・侵害排除について概説し、意匠法・不正競争防止法・著作権法による保護についても言及した。さらに、裁判例を示して不正競争防止法2条1項3号に関する裁判所の判断について説明した。また、税関での輸入差止について概要・手続きの流れ・輸入差止の具体例・内訳等にも言及した。
 最後に、ブランド価値を守るために、権利取得し、地道な対応をすべきと指摘した。まとめとして3士業が連携して知財保護に取り組んでいることに言及した。

報告者:知財普及・支援委員会 阿部寛志




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