パテントセミナー2022 第8回 報告書
日 時 | 令和4年11月26日(土)午後2時~3時40分 |
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テーマ | 第8回「産学連携の知的財産~大学の「知」の活用法」 |
形 式 | Zoomによるオンラインセミナー |
講 師 | 弁理士 今井 寛二 氏 |
受講者 | 100名 |
内 容 |
パテントセミナー2022第5回は、関西大学で大学発ベンチャー創出支援アドバイザーとして活動されている今井寛二弁理士をお招きして、産学連携の現状と、産学連携を進める際のポイントとして契約を取り上げて解説していただきました。 講義の前半は、「産学連携」の定義、歴史やシステムなど基礎的な解説から始まり、実施状況の推移をデータに基づいて解説したうえで、具体的に今井講師が所属される関西大学で実施された例について説明されました。大学の受け入れ態勢や社会実装の進め方など、深い経験に基づいた解説であり、受講者も非常に理解しやすかったのではないかと思います。さらに、補助や助成についても示されており、「産学連携」を検討している企業の受講者にとって道標となるような内容でした。 中盤以降は、「産学連携」においては関門というべき、「秘密保持契約」、「共同研究契約」および「特許共同出願契約」に関して、時系列順に各々の契約のどのような点が重要であるかについて実際の契約書を用いて解説されました。例えば、「秘密保持契約」では、「知的財産権の帰属」の条項は入れておくが、共同研究を行うか否かの検討段階において、新規な発明が生まれるような話はしないことや、「共同研究契約」を締結するまでにはそれまでに行った発明については特許出願を済ませておくこと、「特許共同出願契約」では、企業ではなじみがない「不実施補償」の条項が入ることについて、実際の経験談を交えて解説されたので、初学の受講者であっても容易に理解でき、気づきも多かったのではないかと思われます。特に最後のまとめで話された「企業と大学では時間の流れが違うと心得る」は、企業と大学とが共同研究を行う際に、すれ違いが生じる最大の要因となるのですが、実際交渉しているときには気づかない点を示されたので受講者にとって新たな気づきとなったのか、質疑応答では、この点に関する質問が多くありました。 以上 (執筆者:関西会 知財普及・支援委員会 上西 敏文) |