パテントセミナー2022 第11回 報告書
日 時 | 令和4年12月10日(土)午前10時~11時40分 |
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テーマ | 第11回「オープン&クローズ戦略」 |
形 式 | Zoomによるオンラインセミナー |
講 師 | 弁理士 栗山 祐忠 氏 |
受講者 | 124名 |
内 容 |
パテントセミナー2022の第11回は、企業で知財マネージメントを担い「オープン&クローズ戦略」では深い経験をお持ちの栗山祐忠弁理士をお招きして、表題のテーマでご講義いただきました。 前半先ず、オープン&クローズ戦略とはなにかということについて説明されました。定義として特許実務上と事業戦略上の意味があり、この講義では事業戦略上の意味で説明されるとのことでした。以降は事例をご紹介され、ご自身の見解も交えてご説明されました。 最初の例はインテルでした。特許を条件付きで公開して仲間を作り、コア技術のCPU技術等に関してはクローズにして成功しているといった戦略を説明されました。同社とAMDとの係争ではクローズのし過ぎに起因する独占禁止法違反で提訴されるという難しさもお話しいただけました。次に、アップルのお話をされました。アップルもコンテンツ販売等ではオープン戦略で仲間を作り、独自の特徴の部分ではクローズ戦略をとってビジネスで成功しているとのことです。また、サムスンとの係争を例に完全なクローズは難しいという点をお話しされました。 後半では先ず、オープン&クローズ戦略を支える企業としてARMを紹介されました。次に知財功労賞で表彰されたこともあるダイキン工業の戦略を紹介されました。同社では特定冷媒関連の基本特許を無償解放するというオープン戦略で市場を拡大し、差別化技術はクローズ特許やブラックボックス化して自社がコントロールしているとのことです。最後に私見と前置きされて、オープンでは「仲間づくり」、クローズでは「徹底」がカギであること、オープン&クローズはどの企業にも向いているとは言えないことを示されて、その後、全体をまとめられました。 講義ではオープン&クローズを具体例に利点だけでなく難しい点も説明され、受講者にとって理解しやすく有益な内容だったと思います。 以上 (執筆者:関西会 知財普及・支援委員会 今井 寛二) |