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パテントセミナー2023 第10回 報告書


日 時 令和5年12月2日(土)午後14時~15時40分
テーマ 第10回「酒類の地理的表示GI ~地域にとっては共有の知的財産~」
形 式 Zoomによるオンラインセミナー
講 師 弁理士 川瀬 直樹 氏
受講者 43名
内 容  はじめに、地理的表示制度とはTRIPs協定に基づく制度であり、地理的表示は知的所有権の1つであることが説明された。地理的表示は、商品の原産地に深く結びついているものであることから、「地域の共有財産」であることが強調された。また、日本国においては、農林水産物・飲食品等を保護するいわゆるGIと、酒類を保護とする酒類のGIの2つが規定されていることが説明された。農林水産物等のGIおよび酒類のGIについて、根拠となる法律、登録する際の申請主体、要件、効力など様々な項目を比較しながら、それぞれの特徴が説明された。なお、農林水産物等のGIの管轄官庁は農林水産省である一方、酒類のGIの管轄官庁は国税庁である。酒類のGIは、産地の事業団体等から国税庁へ申立てが行われ、正しい産地であること、一定の基準を満たした品質であることなどのいくつかの要件を満たした場合に、国税庁長官によって指定される。酒類のGIは、産地名を独占的に名乗ることができるが、その点の不正使用については、行政(国税庁)が取り締まる。酒類のGIの具体例として、「灘五郷」、「はりま」、「滋賀」、「大阪」および「和歌山梅酒」が示された。「灘五郷」、「はりま」および「滋賀」は清酒、「大阪」はぶどう酒、「和歌山梅酒」は梅酒についての地理的表示である。最後に、地理的表示と類似する制度として地域団体商標について説明がなされ、GIおよび地域団体商標の両方で地域の名称を保護することにより、より強固なブランド構築が可能である点が説明された。質問は、14件(司会者からの質問を除くと10件)であった。地域団体商標との相違点などについての複数の質問があり、そのうち3件については、正確性を期すため後日改めて回答することが伝えられた。

以上
(執筆者:関西会 知財普及・支援委員会 川島 祥一)

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