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セミナー報告書「令和5年度ワンデーセミナー」

日  時 令和6年1月31日(水)午後1時30分~4時45分
形  式 Zoomによるオンラインセミナー
テ ー マ 社会の変化に先手を打つ!知財活用の新しい視点と方法
~埋もれた技術をコア技術化するための考え方を知ろう~
講  師 第1講座 株式会社オシンテック 代表取締役 小田 真人 氏
第2講座 弁理士 松下 正 氏
第3講座 上記講師によるパネルディスカッション及び質疑応答
     パネリスト:株式会社オシンテック 代表取締役 小田 真人 氏
     弁理士 松下 正 氏
     ファシリテータ:弁理士・弁護士 三品 明生 氏
受講者 138名
内  容

 第1講座では、①環境や人権を軸としたグローバルイシューと②生成AI等の知能とによるゲームチェンジを見据えた攻めの「知財デザイン」についてご講義いただきました。①については、例えば「環境問題×国際政治と金融」の表題のもと、投資・融資の基準としてSDGsへの貢献などの「非財務」の評価が重要となり、金融や技術のゴールとしてサステナブルが意識されるようになることをお話しいただきました。②については、AIには未曾有のことや高抽象度の推論はできないことを挙げられ、AIに代替されないためには自分で判断することが重視されるようになること等をお話しいただきました。また、攻めの知財戦略に必要な目線として、ゲームチェンジが起これば価値の尺度が変わるので、新しい軸で知財を再点検・再評価することが重要であるとお話しいただきました。

 第2講座では、新しいビジネスを思い付いたときの特許戦略についてご講義いただきました。具体的な事例も交えてビジネスモデル特許について説明いただいたうえ、特許を取得するまでのハードルや特許を取得した場合の特許の位置づけ等についてお話しいただきました。また、特許出願を検討する際の重要事項として、「ビジネスモデルを磨く」ことを挙げられ、ビジネスモデルを磨くことでサービスの利便性自体も向上できることをお話しいただきました。さらに、第1講座の内容にも言及され、ビジネスモデルを磨くうえでは、今後の世の中の課題等を見据えておくことも重要であるとお話しいただきました。

 第3講座では、カーボンニュートラルだけではなく、温室効果ガス全般についてルールが変化することは「読める未来」であると議論いただきました。また、ルール変化の潮流は国際会議を見ていれば分かるため、これに対してどのように先手を打つかが重要となり、先手を打つことで特許等の戦略も立てやすくなるし、新しい時代にあわせて手持ちの技術の説明力を高めることもできるようになると議論いただきました。
 また、ビジネスモデル特許に関しては、2つの技術を使った新しいビジネスを発案しても、既存の2つの技術の権利侵害となることもあるため、事前に回避策について検討することも重要であることや、新規ビジネスを行う場合、どの程度まで侵害調査を行ってリスク回避を行うかも検討すべきであることを議論いただきました。
 また、生成AIについては、AIを使いこなす側にいることが大事であること等について議論いただきました。
 さらに、素晴らしい技術を持っている企業は未来を創っていく責任があるので、知財を活用して影響力を高めていって欲しいとのお言葉をいただきました。

以上
(執筆者:関西会 知財普及・支援委員会 池田 義典)

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