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セミナー報告書「令和5年度 第4回 知的財産権に関するセミナー in MOBIO-Café」

日  時 令和6年2月14日(水)午後3時30分~午後6時30分
場  所 クリエイション・コア東大阪南館2階 産学連携オフィス セミナールーム
主  催 日本弁理士会関西会、ものづくりビジネスセンター大阪(MOBIO)
テ ー マ 菊正宗の商品開発と知的財産活用の歩み
講  師 菊正宗酒造株式会社総合研究所 所長 高橋 俊成 氏 
弁理士 川瀬 直樹 氏
参加者 33名
講義内容

 高橋氏からは以下の清酒業界の現状、菊正宗様の2つの研究開発事例、そして知財に対する考え方についてご説明いただいた。川瀬弁理士からは菊正宗様の技術の特許出願ポートフォリオのご説明がなされた他、技術をノウハウとして保護する場合の一般的な留意点等についてご説明いただいた。

◆清酒業界の現状
清酒業界は、経営と技術・技能が分離しており知財に対する意識が低く、日本の伝統的な産業ゆえに技術を独占せずに共有するという気風が色濃く残っている業界であるとご説明されました。例えばアルコール発酵を担う酵母の育成技術については、技術開発した月桂冠株式会社が秘匿せずに特許を取得して実施許諾をすることで全国の酒造メーカーに活用されている状況ということです。

◆菊正宗様の2つの研究開発事例
1.菊正宗様は、清酒造りにおいて雑菌汚染を防止する働きを持つオリジナルの乳酸菌に注目し、そこから季節の変化に敏感な方や乾燥が気になる方の健康を内側からサポートする働きを見出し、乳酸菌を活かした健康食品をつくりたいという考えから、大学や研究機関などと連携し、良質の米を原料とした健康食品を開発され、その取り組みについてご説明いただいた。
2.菊正宗様は、果実のにおい成分を高生産する酵母変異株の育種も行い、低精米を用いても華やかな香りを有する低コストの清酒新製品を開発され、その取り組みについてもご説明いただいた。

◆知財に対する考え方
 微生物を対象とする技術に関しては特許出願するのかノウハウにするのかの選別が工業製品とは異なって難しいとのことで、学会発表によって公知にしたり、他社の権利化を防ぐために防衛出願をおこなっているケースもあるとのことです。また、菊正宗様は技術シーズを清酒又はそれ以外の食品や化粧品分野へ応用することを視野にいれて研究会開発をすすめているとのことです。

コメント(所感・事業成果等)

 今回のセミナー参加者は12名とそれほど多くない人数でしたが、質疑応答では3名の参加者からセミナー内容に即した質問があり、参加者の関心の高い内容であったものと思います。交流会では、セミナー参加者同士、講師及び関西会弁理士と参加者同士が和やかに歓談しました。交流会の参加者の多くは知財部を持たない企業の方でしたが知財の活用について高い関心を持たれていると感じました。

以上
(執筆者:関西会 知財普及・支援委員会 謝 博超)




【セミナー風景写真】

 

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