「三会による大学生を対象とした専門家講座」 報告書(関西大学)
「三会による大学生を対象とした専門家講座」 報告書
報告者:知財普及・支援委員会 石井 里依子
日 時 | 2024年11月30日(土)午前10時40分~午後2時30分 (2時限目:午前10時40分~12時10分、3時限目:午後1時~2時30分) |
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場 所 | 関西大学 千里山キャンパス |
主 催 | 日本公認会計士協会近畿会・大阪弁護士会・日本弁理士会関西会(三会) |
テーマ | 企業活動と経営戦略 ~事業戦略・研究開発戦略・知的財産戦略の三位一体戦略に関する事例研究~ |
講 師 | 公認会計士 岡田 健司 氏 弁 護 士 田中 修平 氏 弁 理 士 石井 里依子 氏 |
受 講 者 | 341名(2時限目:163名、3時限目:178名) |
内 容 |
本実務家講座は、三会協動事業における大学生向け講座として毎年継続して実施しているものであって、関西大学では以前より弁理士・古谷栄男会員が理系学生向けに行っている「知的財産権法」の授業の1コマを頂き特別講座として実施している。 講座では、知的財産の形成、活用、収益構造などについて、弁理士、公認会計士、弁護士の立場からそれぞれ解説を行い、具体例として、知財戦略に注力しているキヤノン株式会社の事例を取り上げた。 まず、弁理士の石井氏が、三会協働事業とその構成員である公認会計士、弁護士、及び弁理士の制度や現状について簡単に紹介した。 次に、公認会計士の岡田氏が、財務の観点から解説を行った。具体的には、同氏が、公認会計士の業務等について紹介した後、キヤノンの会社名の由来、沿革を説明したうえで、有価証券報告書の記載に基づき、同社の経営環境、収益を維持するための消耗品ビジネスのモデルや知的財産に関連するリスク等について、将来の就職活動や就職先で役に立ちそうな会計の基本的な知識の説明も織り交ぜながら解説した。 続いて、弁理士の石井氏が、知的財産の観点から解説を行った。具体的には、同氏が、特許制度の仕組みや、保護対象となる発明、特許権の効力・消尽などについて基本的な解説を行った後、キヤノンのインクタンク事件最高裁判決における特許権の内容、特許発明の本質的部分、特許製品と同一性を欠く特許製品の新たな製造の考え方などについて解説した。 最後に、弁護士の田中氏が、法務の観点から解説を行った。具体的には、同氏が、実体験を踏まえた弁護士の業務等について紹介した後、インクタンク事件の概要や訴訟の流れについて説明するとともに、原告の請求内容、原告・被告の主張、明文規定のない消尽の考え方、裁判所の判断などについて解説した。現状において法律、知財及び会計と事業活動とは密接な関係があり、法務・知財・財務に関する知識を持つことは将来の可能性を広げることであるとのメッセージを伝えて講義を締めくくった。 |