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パテントセミナー2024 第9回 報告書


日  時 令和6年11月30日(土)午前10時~11時40分
場  所 Zoomによるオンラインセミナー
テ ー マ 第9回「AI特許権利化の勘所」
講  師 弁理士 河野 英仁 氏 
受 講 者 96名
内  容

①AI特許に関する統計と動向、②先進企業のLLM特許とビジネス事例を通じて権利化のコツをつかむ、③生成AIソリューションに対する特許化戦略、④質疑応答、の4構成で講義いただいた。

①では、AI関連発明は2017年頃から出願件数が急増し、米国特許商標庁や日本特許庁では、AI支援発明に対する発明者の地位に関するガイダンスやAI関連技術に関する審査基準等の公表が順次行われていると解説された。また、AI関連技術は先行文献が少ないため特許査定率は約80%(日本)と非常に高く、技術の進歩は非常に早いため早期出願が非常に重要であるとの見解を述べられた。さらに、近年はナレッジデータベース等現場、ビジネス上に存在するあらゆる複合データを活用した生成AIの特許出願が増加しており、特に中国のシェアが非常に高いと解説された。

②では、LLM(大規模言語モデル)を活用した発明事例として、「MicrosoftPowerPoint」の自動作成、放射線検査レポートの自動作成、内視鏡手術支援、ロボットの自然言語制御、「MicrosoftWord」の編集履歴管理、臨床試験基準の自動生成AI、トラブルシューティングチャットボッド、オンラインゲーム監視システム、広告動画生成に関する発明を紹介された。また、MicrosoftのAI特許戦略は、ⅰ)OpenAIとの独占プロバイダ契約、ⅱ)自社生成AIの基本特許出願、ⅲ)「PowerPoint」等自社製品への生成AI適用特許、ⅳ)製薬業、製造業等の顧客向け生成AI諸ソリューション特許へと展開していることを解説された。

③では、生成AIソリューションに対する特許化戦略として、ⅰ)技術・サービス領域特有の要素を組み込むこと、ⅱ)様々なデータとAIの組合せを考慮することがポイントであり、ⅰ)については自社の技術領域、製品領域、サービス領域特有の要素を組み込むことで進歩性が肯定され特許取得が可能となる、ⅱ)については言語、画像、稼働データ、化学構造式、タンパク質配列、制御データ等の現場、ビジネス上に存在するあらゆるデータのAI活用を考えるべきとの見解を述べられた。

講義後の質疑応答では、最新AI技術に追随するには論文や技術情報にアンテナを張り情報収集する、中小企業はITベンダーに権利を取られないようアイデアがあれば特定領域で早期に特許出願すべき、先行特許調査は新規性判断程度に止め詳細な調査は審査官に任せて早期に特許出願すべき、といった見解を述べられた。


以上

(執筆者:関西会 知財普及・支援委員会 白尾 嘉則)

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