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パテントセミナー2009 第5回大阪(応用編)の報告

日  時 平成21年3月14日(土) 午後1時30分~午後4時
場  所 TKP大阪淀屋橋ビジネスセンター
テーマ 中国知的財産権に関する留意点
~権利取得、権利行使、ライセンスを中心として~
講  師 弁理士 黒瀬 雅志
受講生 74名
コメント 本年度のパテントセミナーの最後を飾る講演は、東京から弁理士の黒瀬雅志先生をお迎えして、「中国知的財産権に関する留意点」についてお話していただきました。
黒瀬先生は、毎年中国現地においてセミナーを開催されておられ、また、日本でも、東京、高松、福岡等各地でこのようなセミナーの講師をされているそうです。大阪では、久しぶりの講演であると話されていました。
講演の内容は、中国の特許権・意匠権・商標権の取得上の注意事項や無効審判への対応を始め、模倣品に対する権利行使上の注意事項、裁判を起こしたときの問題点、商標の類似判断、ライセンス問題、さらには中国国家知的財産戦略に至るまで多岐にわたるものでした。休憩の時間も惜しんで、盛りだくさんな内容を2時間30分間一気にお話しいただきました。
先生のお話は、最新の中国の法改正を研究された上での問題点、実際に先生が実務として現に体験されている内容を踏まえたもので、聴講者にとっての最新のニュースが盛り込まれた意義深いものでした。
印象に残ったお話としては、特許の無効審判においては、中国語の誤訳に基づく記載不備を理由とされること、それにもかかわらず誤訳の訂正は非常に困難なこと、商標権は取得した権利者が強く、先使用権という考えがないこと、中国の裁判所は三権分立ではなく人民代表大会の下に設けられので、任命権や給与を握られ、裁判委員会制度もあるのでどうしても地方保護主義に陥りやすいこと、知財戦略は中国の3つの重点施策の1つであるが、その中にある「権利の濫用の防止」という考えは他の先進国の権利を制限する方向に動く懸念があること等々が挙げられます。先生のご講義は、具体的な内容に踏み込んだものであり、実務者にとっても非常に参考になるものでした。
セミナーが終了してからも、先生に質問をしたり、名刺交換をされたりする方が多くおられました。先生の知識の深さとご経験の多様さを垣間見ることができたセミナーでした。


講師: 黒瀬 雅志 氏


会場の様子

執筆者: 近畿支部知財制度普及委員会 仲谷 實男

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