「知財授業報告書」滋賀県野洲市立野洲中学校
日 時 | 平成23年11月17日(木) 10:55-11:45、1コマ |
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場 所 | 野洲市立野洲中学校 |
名 称 | 「知的財産特別授業」 |
内 容 | ICカードでキーレス&キャッシュレス ~コインロッカー「AiT」の知的財産権~ |
対 象 | 3学年1クラス20名 |
担当部署 | 日本弁理士会近畿支部 知財制度普及委員会 |
コメント | うららかな小春日和のなか、滋賀県の野洲中学校を訪問いたしました。近隣の人口が増えているのに伴い、校舎を増築されているところで、既に出来上がった校舎は、木材をふんだんに使い、採光にも工夫をこらした素敵な建物でした。 今回の授業の対象者は、「特別社会」という科目を選択されている生徒さん方でした。この「特別社会」という科目は、地理や歴史などの通常の必須科目とは別立てで設定されたもので、世間にどのような職業があるのかを学ばせる目的で、様々な分野から講師を招いて仕事の内容に関わる授業をしてもらっているそうです。近畿支部への授業の依頼も、その一環であるとのことでした。 弁理士がどのような仕事をしている人なのかを知ってもらうには、まず、知的財産権の制度や「発明」とはどのようなものなのかを理解してもらう必要があります。今回は、ゲーム世代の生徒達に馴染みそうなコンピュータを利用した発明を紹介してみようと、新コンテンツの中から「ICカードでキーレス&キャッシュレス~コインロッカー「AiT」の知的財産権~」を選択しました。 このコインロッカーは、鉄道用のICカード乗車券を利用して、コインの投入や鍵の開閉操作をすることなく、ワンタッチで料金の支払いや施錠/解錠ができるようにしたものです(ですので、正確にはコインロッカーではありませんね。)。授業では、従来型のコインロッカーにあった問題点(コインがないと利用できない、鍵が行方不明になるなど)を整理した後、ICカードとはどんなカードなのか、どのような仕組みで、料金のチャージや引き落とし、ロッカーの施錠や解錠が可能になるのかなどを、「コンピュータ同士の会話」を入れたりしながら説明しました。その後、このロッカーには、発明だけでなく、名前やデザインにも工夫があること、それぞれの工夫を守るために、特許、商標、意匠という知的財産権制度が利用されていること、その制度を支え、知的財産権を取得したり活用をしたりするのを助けたり、知的財産権に関するアドバイスをする仕事をしているのが弁理士なんですよ、という流れで授業を進めてゆきました。補足として、携帯電話や車などを例にあげて、技術やデザインはどんどん進歩し、新しい工夫が生まれる都度、それを保護するために知的財産権制度が利用されていることも説明しました。 授業の最後には、AiTに関する技術的なアイデア、商品名、デザインについて、いくつかの具体例をあげ、それぞれが特許・商標・意匠のいずれの制度で保護されるかを答えてもらうクイズをしました。授業の冒頭の「弁理士って知っている人?」という問いかけには手をあげることのなかった生徒達でしたが、このクイズには、かなり自信をもって手をあげてくれているようで、しかも、皆さん、「正解」していました。 高校に進学して電車通学をするようになったら、ICカード乗車券が利用される現場を目にする機会が増え、自分自身が利用することもあるでしょう。カードで改札機をタッチするときの「ピッ」という音を聞いて、今回の授業のことを思い出し、発明や知的財産権制度への関心を持ち続けてくれたらいいな・・・と、野洲中の校庭で吸った爽やかな空気を思い出しながら考えました。 |

興味津々の生徒達に講義を行う講師陣
(左写真左から 小石川 由紀乃、岸本 忠昭 各弁理士)
近畿支部知財授業担当 小石川 由紀乃