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平成17年9月5日 大阪地裁 平成16(ワ)10153号
- 特許権侵害差止等請求事件 -

事件名
:盗難防止用ケース事件
キーワード
:特許の無効、特許無効審判
関連条文
:特許法第104条の3第1項、同第29条第1項第3号、同第29条第2項
主文
:原告の請求をいずれも棄却する。


1.事案の概要
本件は、レンタルビデオ店等で使用される「盗難防止用ケース」に関する特許権(特許第3238920号)を有する原告会社が、被告会社による製品の製造・販売が前記特許権の侵害にあたるとして、その製造・販売の差止め等及び損害賠償を請求した事案である。
問題となったのは、本件特許権のうち請求項1に係る本件発明1と請求項3に係る本件発明3であり、原告は、被告製品1及び2は本件発明3の技術的範囲に属 するとともに、被告製品1及び2の販売等は本件発明1に係る特許権の間接侵害となる、と主張した。一方、被告は、原告の主張を否認するとともに、本件発明 1及び3に係る特許の無効を主張した。


2.主な争点及び判決の要旨
主な争点は、本件特許は無効審判により新規性又は進歩性の欠如を理由に無効とされるべきものであるか否か、である。
裁判所は、原告の主張にも検討を加えたうえで、本件特許は、特許法第29条第1項第3号(本件発明1)又は同第29条第2項(本件発明3)に該当するものとして、特許無効審判により無効とされるべきものである、と判示した。


3.執筆者のコメント
平成17年4月1日施行(施行前に生じた事項にも適用される)の特許法第104条の3の規定が適用された判決である。
念のため本件特許の経過情報をIPDLで調べたところ、本件特許は、平成15年9月26日に訴外A社から請求された無効審判(一部無効)が平成16年4月 14日付で請求不成立となっており、その後被告から平成17年4月7日に別の無効審判(一部無効)が請求されている。この別の無効審判において、原告は平 成17年9月22日付で答弁書と訂正書を提出している。
特許庁での判断に先立って、裁判所が特許無効審判において無効にされるべきものであると判断した事例であり、特許法の予定するところとはいえ、判決後に出される(であろう)審決においてどのような認定ないし判断がなされるのかが注目される。


(執筆者 佐木  啓二 )


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