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平成17年7月21日 大阪地裁 平成16年(ワ)10541号
- 特許権侵害差止等請求事件 -

事件名
:鉄骨柱の傾き調整装置事件
キーワード
:特許権、出願経過禁反言
関連条文
:特許法70条、100条、102条
主文
:原告の請求をいずれも棄却する。


1.事案の概要
本件は,発明の名称を「鉄骨柱の傾き調整装置および鉄骨柱の傾き調整方法」とする特許権を有する原告が,被告製品は原告の有する同特許権に係る特許発明 (請求項1:鉄骨柱の傾き調整装置)の技術的範囲に属すると主張して,被告に対し,被告製品の製造・貸与の差止め及び廃棄を求めるとともに逸失利益の損害 賠償を請求している事案である。


2.争点
被告の製品は、本件発明の構成要件ABCDの中のCを充足するか。


3.判示事項
審査における拒絶理由通知に対する意見書において,本件発明の構成要件C(押圧手段における構成)と拒絶理由通知に係る公報記載の機構(構成)との差異の説明として,本件発明の構成要件Cと、公報記載の機構(構成)とは異なる構成である,と明確に述べたものである。
そして,これに基づいて本件発明が特許として成立したことが認められる。出願経過禁反言の法理に照らし,原告が本件訴訟において上記意見書と異なる主張をすることが許されると解すべき根拠はない。
被告製品における押圧手段の構造は,拒絶理由通知に係る公報記載の機構に該当するものであると認められ,このような機構は,上記説示のとおり本件発明の構成要件Cに含まれないものというべきである。
以上によれば、被告製品は本件発明の技術的範囲に属しないから,被告製品の製造及び貸与が本件特許権を侵害することを前提とする原告の請求は,いずれも理由がない。


4.執筆者のコメント
被告製品における押圧手段の構成の関係は、機能的には本件発明の構成要件Cの関係に相当するとの判断がなされたものの、出願経過禁反言により本件発明の構 成要件Cに含まれないとされており、禁反言により特許請求の範囲の用語が限定的に解釈された事例であると考えられる。


(執筆者 栗山  祐忠 )


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