近畿支部意見交換会(第9回フラビアの会)報告
開催日時 | 平成20年10月27日 午後6時30分~8時30分 |
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開催場所 | 大阪市中央公会堂 |
出席者数 | 35名 |
平成20年10月27日(月)、本年度1回目のフラビアの会が開催されました。今回のフラビアの会の開催場所は、前回1月のフラビアの会でも利用して大変好評でありました中央公会堂です。
今回のテーマは、「事務所弁理士と企業弁理士」。昨今、弁理士数の増加に伴い、企業に勤務する弁理士の数が増えています。一方で、事務所弁理士は、従来にないほど、激しい競争の波にもまれています。今回のフラビアの会では、この両者が弁理士という士業について活発な意見を交換する場となりました。
午後6時半になると、河野支部長の挨拶で会が始まりました。続いて、今回のメインの催しである小谷悦司会員によるミニ講演が開かれました。ミニ講演では、小谷会員により、今回のテーマに沿ったお話しを頂きました。ミニ講演の詳細については、別の報告をご参照下さい。
ミニ講演の後、立食パーティのスタートです。森下委員の乾杯に始まり、それぞれが好きなビール、焼酎、お酒を飲みながら、テーマに沿った議論を行いました。
乾杯の後、しばらくは楽しく歓談タイム、という流れを予想していましたが、小谷会員のミニ講演で投げかけられたテーマによって、出席者には活発な意見交換を行う雰囲気が流れていました。早速マイクを回しての意見交換が始まりました。
最初、テーマの中心となったのは、弁理士報酬についての見解です。事務所弁理士、企業弁理士、双方から現在の弁理士報酬について意見が出されました。事務所弁理士側からは、やはり昨今の報酬の低下に対する懸念を指摘する声があがりました。一方の、企業弁理士側からも、報酬の低下がかなり進んでいるとの認識があるとの意見がありました。両者にとって、これ以上の報酬の低下は望ましくなく、仕事の質に見合った適正な報酬体系を構築していく必要があるというのが共通した意見でありました。
その他、これからの事務所弁理士に問われる資質、企業弁理士に求められる能力などについて意見交換が行われました。企業弁理士は、企業の法務に属しているとの認識をもっと持つべきであるとの提言は印象的でありました。
2時間余りの時間があっという間に感じられるほど、活発な意見交換が行われ、今回の近畿支部意見交換会も、とても有意義な会となりました。中央公会堂は、19日に開通したばかりの京阪電鉄中之島線のなにわ橋駅のすぐ近くであり、中ノ島線を初めて利用した方も多かったのではないでしょうか。

第9回近畿支部意見交換会(フラビアの会)の様子
■ミニ公演報告
[時間]午後6時40分から20分程度
[講師]小谷悦司会員
[テーマ]事務所弁理士と企業弁理士
[報告]近畿支部意見交換会(フラビアの会)では、会ごとにテーマを設定して、参加者にそのテーマに沿って意見交換をしていただいてきました。今回は、意見交換がより活発なものとなるよう、参加者の意見交換に先立ち、会のテーマに沿って20分程度のミニ講演を実施しました。
ミニ講演の講師として、「弁理士業務の将来展望ワーキンググループ」に参加されている小谷悦司会員をお招きしてお話しいただきました。テーマは今回のフラビアの会のテーマに沿ったテーマということで「事務所弁理士と企業弁理士」です。
講演では、弁理士を取り巻く状況、事務所弁理士および企業弁理士のそれぞれに求められる資質、今後の展望などを中心にお話しいただきました。
弁理士を取り巻く状況としては、企業の国内出願件数が減少しているにもかかわらず、弁理士数が急増しています。一方、企業のグローバル化にともない外国出願件数については増加しています。また、弁理士数の急増にともない、企業弁理士の数が増えています。
このような状況を踏まえ、国内出願のみならず外国出願にも対応可能な明細書の作成や企業のグローバル化に対応可能な見識など、事務所弁理士に対する企業のニーズが多様化している。また、知財の専門家である弁理士が企業内において増加したのに伴い、企業側からの仕事の質に対する要求が厳しくなっている。事務所弁理士は、このような多様化するニーズおよび質に対する要求に対応する必要があり、特許事務所はこれらに対応できる人材を確保する必要があるとの見解を示されました。そして、このようなニーズおよび質に対する要求に対応できた事務所弁理士(特許事務所)と対応できなかった事務所弁理士(特許事務所)との間で二極化が進むのではないかとの展望を示されました。
企業弁理士については、知財マネジメントや開発テーマの事業化などの国内出願以外の業務を行う能力が求められるであろうという見解を示されました。また、企業の法務に属している法律家であるとの認識をもっと持つべきでなないかとの提言をされました。
さらに、弁理士数の急増にともなう弁理士報酬の低下について懸念を示され、これ以上の報酬の低下は事務所および企業の双方にとって好ましくないのではとの見解を示されました。この点については、企業弁理士の側からも、これ以上の報酬の低下は好ましくなく、仕事の質に見合った報酬体系を構築していく必要があるとの意見が出ていました。
20分程度の短時間の講演ではありましたが、弁理士を取り巻く状況、求められる資質、今後の展望等について的確に指摘され、とても有意義な講演でした。また、講演が契機となり、その後の意見交換が非常に活発なものとなったと思われます。

ミニ講演の様子