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たとえば、このようなQ&A があります!



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意匠権の効力・存続期間について
Q.我が社が意匠権を取得しているおもちゃの模倣品が海外から輸入されています。市場に出回るのをやめさせたいのですが、何か方法はあるでしょうか。
A.

 取得している意匠権を利用して、模倣品の流通を阻止するには、裁判所に訴訟を提起する(権利行使)、税関に輸入差止申立を行うといった方法が考えられますが、前提として、取得している意匠権に係るおもちゃの意匠と、模倣品に係るおもちゃの意匠とが同一又は類似する必要があります。
意匠とは、物品の形態(法律上は、物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合)を言いますので、意匠が同一又は類似するには、物品と形態とがそれぞれ同一又は類似している必要があります。
 例えば、形状が同じ赤鉛筆と青鉛筆であれば、物品は同一で形状も同一ですが色が違うため形態は類似となりますので、意匠としては類似ということになります。
 従って、海外から輸入されているおもちゃが模倣品ということであれば、意匠権を取得している意匠と物品とは同一又は類似していると思われますので、形態が同一又は類似していれば意匠権を利用して、模倣品の流通を阻止することが可能となります。
 まず、意匠権の行使は、模倣品を輸入している者、販売等している者に対し、上記した民事上、刑事上の手続きを取ることになりますが、一般的には、輸入や販売等の行為が意匠権を侵害するため中止を求める等といった内容で書面を作成し、内容証明郵便で送付することが多いです。
 内容証明郵便を送付しても中止しないようであれば、裁判所へ訴訟提起することになります。ただし、訴訟を提起する場合、弁護士費用等が発生し、それなりに時間と労力を要することになりますので、模倣品が輸入されて貴社が被る不利益等といった費用対効果を考慮して対応をご検討頂くのが良いと考えます。
 なお、税関への輸入差止申立は、原則費用が発生することはなく(代理人を利用される場合は、代理人費用が発生します)、水際で日本国内へ模倣品が入ってくることを止めることができますので、流通阻止という面では効果があると考えます。
※輸入差止申立は、税関に提出した輸入差止申立書が受理されると、日本各地の税関で申立てを行った物品(本ケースではおもちゃの模倣品)が発見され、侵害品であると判断されれば、原則として、国内への輸入が阻止される(差止めされる)制度です。詳しくは、税関のホームページでご確認下さい。

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Q.先ごろ、我が社の製品について、他社より、意匠権を侵害しているとの警告を受けました。意匠公報に図示されたものと同じでないように思えるのですが、それでも侵害となる場合もあるのでしょうか。
A.

 意匠権は、意匠公報に図示されている登録意匠と同じものだけでなく、その登録意匠に類似している意匠についても独占的に実施することができ、またこれらの類似している意匠を他社が実施することを禁止することができる権利ですから、貴社製品の意匠が、意匠公報に図示されている他社の登録意匠と同じでないとしても、類似であれば意匠権侵害となります。
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 しかし、意匠公報に図示されている登録意匠の意匠権のすべてが有効なものでなく、例えば2年目以降の登録料を納付していないこと等によって、既に意匠権が消滅していることもありますので、意匠権侵害の警告を受けた場合には、先ず特許庁の意匠登録原簿の謄本を取り寄せて、当該意匠権が有効に存続していることを確認する必要があります。
 意匠登録原簿の謄本によって、意匠権が有効に存続していることが確認できたときは、貴社製品と他社の意匠権の「意匠に係る物品」が同一又は類似のものであるかを検討し、非類似のものであれば意匠権侵害になりませんが、同一又は類似のものであったときは、貴社製品の意匠が意匠公報に図示されている他社の登録意匠に類似しているか否かを検討しなければなりません。
 その際、他社の登録意匠の出願日前に、日本国内又は外国において、他社の登録意匠と同一又は類似の意匠の物品が販売されていた事実や刊行物に掲載されていた事実は、他社の意匠権の及ぶ範囲を確定するために重要なことですから、これらの事実を調査して、その事実を示す資料を収集する必要があります。
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 上記の収集した資料によって、他社の登録意匠の出願日前に公知になっていた意匠が明らかになり、他社の登録意匠が登録無効事由を有していることやいかなる部分に新規の創作がなされているかも分かります。
 その上で、貴社製品の意匠と他社の登録意匠を対比して、両意匠の共通点と相違点を検討し、上記の公知になっている意匠にはない部分を意匠の主要部として、そこに共通している点が多く、全体としてその共通点が、見る者に注意をひく場合は一般的に類似と考えられ、そうでない場合は非類似と考えられます。
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 しかし、意匠が類似するか否かは物品によっても異なり、一概に判断し得るものではありませんから、弁理士の意見を求めるのがよいと思われます。
 また、登録意匠の類似範囲が明確でないときは、意匠の範囲について特許庁に判定を求めることができます(意匠法第25条第1項)ので、これによっても意匠が類似するか否かが明らかになります。
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 なお、平成11年1月1日に改正意匠法が施行され、改正前は物品全体としての意匠しか登録されませんでしたが、改正後は物品の一部分の形状や、形状と模様若しくは色彩又はこれらの結合よりなる意匠が「部分意匠」として登録されることになりましたので、物品の特徴的な部分に絞った意匠が「部分意匠」として登録されています。
 そのため、貴社製品の意匠が物品全体として、意匠公報に図示されている他社の登録意匠と同一又は類似でない場合でも、貴社製品の一部に、「部分意匠」として登録されている他社の登録意匠と同一又は類似の部分があれば、他の部分が相違していても意匠権侵害となりますので、注意が必要です。

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Q.意匠の登録を受けるとどのような効力があるのですか。また意匠権の存続期間は何年ですか。
A.

(1)意匠権の効力
物品のデザインに関し新しい意匠を創作した場合には、特許庁に出願し、審査を受けることによって意匠権を取得することができます。
意匠権を取得すると、その意匠と同一のものはもちろん類似の意匠についても独占的に製造し販売することが認められます。他人が無断で登録意匠の製品を製造したり販売したりすることは法律によって禁止されています。これが意匠権の効力です。


● 差止請求権
意匠権を侵害した者に対しては、第1に、製造・販売を阻止することができます。これを差止請求権といいます。この差止請求権は、登録を受けた意匠と同じものだけでなく、類似のものにも認められます。意匠権は、物品のデザインに関するもので、物品の外観が権利の対象ですから、意匠権を取得しておけば、外観の似たものの製造・販売を阻止できる効力があるのです。
● 損害賠償請求権
第2に、他人が類似品を製造し販売したことにより損害を受けた場合に、その侵害賠償を請求することができます。差止請求権が認められることにより将来の侵害状態が阻止できますが、それだけでは不十分ですので、過去の侵害について損害賠償請求によって対処することができるのです。
● 意匠権侵害罪
故意に意匠権を直接侵害したものに対しては、以上のような民事上の措置が認められるだけでなく、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金、又はこれらの併科という罰則も適用されます。

(2)存続期間
意匠権の場合、存続期間は、意匠登録から20年(平成19年4月1日以降の出願について適用)です。出願から登録までの期間は計算に入りません。
意匠権の存続期間中は、登録意匠の製造販売を独占できます。

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Q.意匠権侵害とは何ですか?
A.

 意匠権侵害とは、登録意匠を製造・販売する正当な権利や理由のない者が、事業において、登録意匠に係る物品を製造・販売する行為をいいます。また、登録意匠と同一の意匠に加えて、登録意匠に類似する意匠に係る物品を製造・販売する行為も意匠権侵害となります。

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Q.自分が持っている意匠権に係る登録意匠と、他人が販売している商品に係る意匠が似ているかどうかはどのような点に注目して判断したらいいでしょうか?  
A.

 意匠法では、自分が持っている意匠権に係る登録意匠と同一の意匠だけでなく、それに類似する意匠を他人が実施した場合も意匠権の侵害となります。従って他人が販売している商品にかかる意匠が類似するか否かは、意匠権の侵害となるか否かを判断する上で非常に重要となります。

 ここでは、自分が持っている意匠権に係る登録意匠に係る物品と他人が販売している商品が同一又は類似であるとしてその形態が似ているかどうかについて説明します。なお、ここで説明するのはあくまでも一般論であり、実際には事案ごとに個別具体的に判断する必要があるのはいうまでもありません。
 また、意匠の類否判断については非常に高度な専門性が必要ですので、実際の具体的判断については弁理士にご依頼いただくことをお勧めします。ここではその前提で説明いたします。

・まず、意匠の類似判断の主体となるのは需要者・取引者です。
・次に、自分の登録意匠における形態を、その需要者・取引者が購入する際に通常行う観察方法で観察した上で、物品全体の形態と各部の形態がどうなっているかを認定します。
・次に、登録意匠において当該意匠の特徴(性質、用途、使用形態、従来の意匠にない新規な創作部分があるかどうか)を検討して、当該登録意匠の要部がどこかを把握します。例えば炊飯器においてその操作パネルに斬新なデザインを施して登録になった場合、その操作パネル部分が要部となり得ます。
・次に、他人が販売している商品を購入するなどしてその形態がどうなっているかを観察し、登録意匠との共通点および相違点を認定します。そして両意匠が先に把握した登録意匠の要部において共通しているか否かを中心にして観察し、両意匠が全体観察上美感を共通するか否かによって類否を判断します。例えば両意匠の相違点が特に要部において顕著であり明らかに美感の差があれば両意匠は類似しないことになり、その相違点が要部以外の目に見えない部分の微差であれば両意匠は類似すると考えられます。

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商標法の保護対象について
Q.どのようなものが商標登録の対象となりますか。 
A.

商標とは、自分の提供する商品又は役務(サービス)を他人のそれと区別するための目印として使用される標識のことで、商品に使用されるものを「商品商標」、役務に使用されるものを「役務商標(サービスマーク)」と言われています。

商品商標とは、例えば、薬、衣類、電気製品等の市場に流通する商品の目印として使用する商標であり、役務商標とは、例えば、銀行や宅配業者のように、役務(サービス)の提供を業とする者が、提供する役務の目印として使用する商標をいいます。

商標には、文字、図形、記号、立体的形状、色彩、また、これらを組み合わせたものがあります。また、音なども商標となり得ます(新しいタイプの商標)。

商標は、それを使用することによって次第に需要者に知られるようになり、○○印の製品は品質が良いとか、△△印の引っ越し業者はサービスが良いといった評価が生じ、これによってその商標を使用している者の「業務上の信用」が高まります。商標法はかかる商標を使用したことによって生じた「業務上の信用」を保護すると共に、需要者が、例えば、ABC印の商品を買うつもりがAbC印の商品を買ってしまうといった商品や役務が混同されることを防止し、自由競争社会における競業秩序の維持を図ると共に需要者の利益も保護することを目的としています。

 このように、商標法は、商標の上に化体した「業務上の信用」を保護し、需要者が商品や役務を混同することを防止するものですから、商標法によって保護される商標は、保護するに値するものでなければなりません。そのため、わが国の商標法は、審査主義を採り、商標法で保護するに値する商標であるか否かを審査し、審査にパスしたものだけを商標登録し、独占的に使用できる権利を与えることにしています。

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Q.サービスマークとは何ですか。
A.

 サービスマークは自己の提供するサービス(役務)について使用する標章で、平成3年の商標法改正によって商標登録されることになり、商標法で保護されることになりました。サービスマークは、自己のサービスを他人のサービスと識別する機能があり、サービスの品質を表示する機能もあるため、商品に使用される商標と同様に保護されることになっています。

 なお、平成19年4月1日から、役務には、小売及び卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供が含まれることとなりました。

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Q.平成27年4月1日から商標登録の対象となった新しいタイプの商標について教えてください。
A.

平成26年商標法改正により、平成27年4月1日から新たに商標登録の対象となった新しいタイプの商標は以下のとおりです。
①色彩のみからなる商標
 これまで「色彩」は文字、図形等と組み合わせた場合のみ商標の構成要素として認められていました。今次改正により、色彩のみを構成要素とする商標が新たに商標登録の対象となりました。一色のみならず、複数色の組み合わせも対象となります。
②音商標
 楽器、自然音、言語、これらの組み合わせからなる音が新たに商標の構成要素として認められ、商標登録の対象となりました。例えば企業CMのサウンドロゴなどがこれに該当します。
③動き商標
 文字、図形、立体的形状等に動きがある場合、一連の動きを含め、変化する商標として商標登録をすることが可能になりました。例えば企業CMのモーションロゴなどがこれに該当します。
④ホログラム商標
 ホログラムとは、ホログラフィ技術を用いて平面上に描かれた立体的画像のことで、見る角度によって映る姿が異なるものであり、一連の変化を含め、商標登録をすることが可能になりました。偽造防止のために貼付されるシールなどがこれに該当します。
⑤位置商標
 文字、図形等の構成要素が商品等の特定の位置に付されていることに特徴がある場合、その位置を特定して商標登録をすることが可能になりました。

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Q.商標と商号の違いについて教えて下さい。
A.

 商標は、自己の業務に係る商品又は役務に使用する標章(いわゆるマーク)のことで、文字、図形、記号、立体的形状やこれらを結合したもの又はこれらに色彩を施したものですから、商号のように平面的なものに限られていません。また、平成26年商標法改正により、音商標をはじめとする新しいタイプの商標も登録の対象となりました。商標は自己の商品や役務と他人の商品や役務を区別するために使用するものですから、このような商標は、商品や役務の出所を表示すると共に、その商標を使用して提供される商品や役務の品質を保証していることにもなるため、かかる機能を有する商標を保護するため商標法で商標として登録することにしているのです。商標を使用する者は、商標を使用する商品又は役務を指定して特許庁に出願することにより、一定の条件の下に、独占的に使用し、他人の使用を排除し得る効力を有する商標権を得ることができます。

 一方、商号は商人が営業上自己を表すための名称で、他の営業主体と区別するためのものです。商号の登記は、会社の場合は必ず行わなければなりませんが、個人商人の場合は必ず行う必要はありません。そして登記されている商号と同一又は類似の商号は、同一市町村内で(区のあるときは同一区内で)同一種の営業について登記することはできません。商号の使用者は一定の条件の下に、商法及び不正競争防止法によって保護されます。なお商号を商品や役務について、自他を区別するための標識として使用する場合は、商標登録されることによって、商標法による保護も受けられる可能性があります。

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Q.商標制度による地域ブランドの保護について教えてください。また、地理的表示とは何かを教えてください。
A.

 地域ブランドの保護制度(地域団体商標制度)とは、「地域名」と「商品名」から構成される商標が、保護される制度のことをいいます。
 地域の事業者が協力して、地域の特産品にブランドを付けて生産、販売などを行う場合、第三者に当該ブランドを勝手に使用されるのを防ぐために、商標権を取得することが有効です。そこで、このような地域ブランドについて、周知性などの一定の条件を満たすことで、商標登録が認められます。

 また、地理的表示とは、農林水産物・食品のうち、品質等の特性が産地と結び付いており、その結び付きを特定できるような名称(地理的表示)を登録することができる制度です。登録された地理的表示は、登録された産品自体等に使用できます。一方、品質の基準を満たしていない産品に地理的表示は使用できません。

 以上、地域団体商標制度と地理的表示保護制度では、保護の内容が異なりますので、地域ブランドの保護については、両制度のメリットをうまく組み合わせて保護を図ることが重要になります。

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Q.「国内のブランド農作物を外国に輸出しようとしたら、その国で既に、わが社以外の者が商標登録していた」などということが起きないように、予めどのようなことをしておくべきですか。
A.

 近年、外国において、日本国に関連のない第三者が、商標登録を行う、という事例を多く耳にするようになっています。
 このように、第三者によって商標登録されてしまった場合、正当な日本の事業者によって、商品が輸出された場合でも、当該国で商標権の侵害となる可能性があり、商品の輸出や販売ができないことが考えられます。
 そこで、これらの対策としては、先ず、外国でも先願主義(早い者勝ち)の制度を採用している国が多数なので、輸出の可能性がある外国については、なるべく早く、商標出願を行うことが重要です。
 また、一旦、商標登録され権利化されてしまうと、その後の無効審判等で、権利を無効にすることは、非常に困難です。そこで、第三者による不正な出願の有無について、定期的にウオッチングを行い、不正な出願に対してなるべく早い段階で情報提供や異議申立などの対応を行うことが重要です。

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Q.CMでよく耳にする音も商標登録の対象となりますか。
A.

 CMでよく耳にする音も、「音商標」として商標登録の対象になります。CMの始まりや終わりに流れる企業のサウンドロゴがその典型例です。楽器、自然音、機械音、言語、これらの組み合わせ、どのような音であっても対象となります。
 ただし、商標登録の対象にはなっても、実際に商標登録できるかどうかは、別問題です。たとえば単純すぎる音は、その音を聞いてもそれだけではどこが製造販売する製品か識別できない(これを「自他商品識別力に欠ける」といいます)という理由で、原則として出願が拒絶されます。例外的に、その音がよく知られ周知、著名になっている場合は、どこの製品か識別できるとして、商標登録できる場合があります。また、CMのバックに流れているような音は、サウンドロゴではなく単にバックミュージックに過ぎないとして、出願が拒絶される場合があります。

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Q.赤・青・緑の三色からなる旗も商標登録の対象となりますか。 
A.

 「色彩のみからなる商標」は単一色のみならず複数色も組み合わせでも構いませんので、赤・青・緑の三色のみからなる商標も商標登録の対象となります。
 ただし、商標登録の対象にはなっても、実際に商標登録できるかどうかは、別問題です。色彩のみからなる商標(単一色、複数色の組み合わせいずれの場合も)は、その色を見れば、誰が製造販売する商品か、あるいは誰が提供するサービスかがわかる程度に有名でなければ登録されません。よって、赤・青・緑の三色からなる商標も登録の対象にはなりますが、それを見た需要者が特定人を想起するほど有名でなければ登録することは難しいでしょう。

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Q.当社では、ユニークな形状の香水の瓶を考えました。この瓶の形状については、すでに意匠を出願をしましたが、現在、商標も出願することを検討中です。この香水の瓶の形状について、商標登録することができるのか教えて下さい。  
A.

 結論からいえば、貴社の香水瓶の形状のみからなる立体商標は、自他商品識別機能を発揮しないとして拒絶される可能性が大です。
 商標法3条1項3号は、「商品の形状(包装の形状を含む。)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」は登録を受けることができないと定めています。これは、商品若しくは商品の包装容器の形状は、本来それ自体のもつ機能を効果的に発揮させたり、あるいは、その商品等の形状のもつ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的に商品の出所を表示し、自他商品識別標識として採択されるものではないからです。
 したがって、貴社の香水瓶のように、ユニークな形状や模様を備えていても、本来的には自他商品識別標識として機能するものではないと考えられるのです。

 一方、貴社の香水瓶が、使用により自他商品識別力を獲得している(商標法3条2項適用)と判断されれば、商標法3条1項3号は適用されません。しかしながら、商標法4条1項18号に基づいて拒絶される可能性があります。すなわち、自他商品識別機能を発揮する立体商標であっても、それが、香水瓶が当然に備える特徴である判断されれば、商標登録を受けることはできないのです。
(この場合の「香水瓶が当然に備える特徴」とは・・香水瓶の立体的形状が、香水瓶の性質から通常備える立体的形状のみからなるものであること、または、香水瓶の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなるものであることをいいます)

 ちなみに、現在、登録されている立体商標の例としては、商品や商品の包装の形状に自他商品識別力を有する文字・図形等が付加されているもの、「ペコちゃん人形」や「カーネルサンダースおじさん人形」等、店舗の目印となる看板等として用いられているものがあります。

 なお、貴社の香水瓶に関しては、意匠登録がされるまでは、一定条件下でデッドコピーから保護されます(不競法2条1項3号)。また、意匠登録後は、意匠権によって保護されますし、意匠権消滅後は、周知性等一定の条件下で保護され得ます(不競法2条1項1号、同2号)。

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商標の登録要件について
Q.登録を受けることができない商標とはどのような商標ですか。
A.

 登録を受けることができない商標としては、
・その商品・サービスについて一般的に用いられている名称のみからなる商標(例えば、商品「ワードプロセッサ」について「ワープロ」、サービス「ホテル等の宿泊施設の提供」について「観光ホテル」等の商標)
・商品の産地、品質、商品の形状等を表す商標(例えば、「東京」、「グッド」、「四角形」やサービス「宅配便」について「はやい」、等の商標)
・ありふれた氏又は名称のみからなる商標(例えば、「TANAKA」、「高橋株式会社」等の商標)
・簡単でありふれた図形、文字等のみからなる商標(例えば、「○」、「△」等の図形、ローマ字や数字等の1字又は2字からなるの商標)
・日本又は外国の国旗、菊花紋章、赤十字のマーク、国際連合その他の国際機関のマーク、都道府県・市町村のマーク等と同一又は類似の商標
等があります。

また、
・他人の登録商標と同一又は類似の商標であって同一又は類似の商品について使用するもの
・他人の有名な商標と同一又は類似の商標等、他人の商品や役務と混同を生ずるおそれのある商標等
も登録を受けることができません。

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Q.実際に使用するメインのマークの他に、いろいろなバリエーションも出願したいと思います。これらを一括して登録できますか。
A.

 バリエーションを構成する商標は、互いに外観、称呼、若しくは観念が類似しているのが普通です。商標法上、他人の登録商標と類似の商標について商標登録出願すると、出願を拒絶される場合があります。しかし、商標権者若しくは出願人が同じならば、商標が類似しているとの理由で拒絶されることはありません。従って、商標権者若しくは出願人が同一であることを前提にして、バリエーションの商標を一括して登録することができます。但し、バリエーションの中に、他人の商標と類似のものがあった場合、その商標については拒絶される可能性があります。

 このように、バリエーションの商標を一括して登録することは可能ですが、「一商標一出願の原則」により、バリエーションを構成する個々の商標について、それぞれ出願をしなければなりません。すなわち、バリエーションの数だけ商標登録出願をする必要が生じます。なお、バリエーションの商標について複数の商標登録出願をする場合に、これらを同日にする必要はありません。必要に応じて商標登録出願をし、バリエーションの商標を追加して商標登録していくことも可能です。

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Q.周知商標、著名商標とは何ですか。また、これらについては商標法でどのように保護されますか。
A.

 「周知商標」とは、複数の都道府県で知られている商標であり、「著名商標」とは全国的に著名な商標であるといわれています。海外において著名な商標も「著名商標」として扱われる場合が多いです。これら周知・著名商標には、それ自体に高い財産的価値があるとされていますので、このような商標は特に法的な保護が必要とされます。

 商標法上、自分の登録商標と同一類似の商標につき、他人が商標登録出願した場合であっても、指定商品若しくは指定役務が非類似であれば、その商標が自分の登録商標と同一類似であるとの理由ではその出願は拒絶されないのが原則です。しかし、自分の商標が周知・著名である場合、たとえ指定商品若しくは指定役務が非類似であったとしても、他人が自分の商標と同一類似の商標につき商標登録出願すると拒絶される場合があります。例えば、その商標を他人が非類似の商品若しくは役務に使用したとすると、需要者が出所の誤認混同をきたすと特許庁が判断をした場合です。このように、周知・著名商標の場合、これらと同一類似の商標について、他人が商標登録を受け難い制度となっています。

 積極的に同一類似の商標について他人の商標登録を防止する手段として防護標章登録があります。先に説明したとおり、自分の登録商標と同一類似の商標につき、他人が商標登録出願した場合であっても、指定商品若しくは指定役務が非類似であれば、その商標が自分の登録商標と同一類似であるとの理由でその出願は拒絶されないのが原則です。すなわち、非類似の商品、役務については、自分の商標が周知、著名であったとしても、自分の商標と同一の商標につき、他人が商標登録を受ける余地があります。これを防止するため、周知、著名商標に関しては、これと同一の標章につき、本来使用の予定の無い非類似の商品、役務を指定して防護標章登録を受けることができます。防護標章登録されると、同一の標章につき、それに係わる商品、役務を指定して、他人が商標登録を受けることができなくなります。

 また、自分の商標権が侵害された場合、権利を侵害した者に対して損害賠償請求をすることができますが、周知、著名商標はそれ自体に高い財産的価値がありますので、請求額もそれに応じて高額となります。ところで、商標権は、登録商標と同一類似の商標を、指定商品若しくは役務と同一類似の範囲で使用した場合が、その効力の及ぶ範囲です。周知、著名商標につき防護標章登録を受けると、他人が登録防護標章と同一の標章を、これに係わる指定商品若しくは役務と同一のものに使用する行為も商標権侵害となります。このように、権利行使の面でも、周知、著名商標は特別に保護されます。

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Q.同業者団体や生産地域における団体などが商標権を取得することはできますか。
A.

 同業者団体や生産地域が商標権を取得する制度として団体商標があります。原則として、商標登録はその商標を使用するものがこれを受けることができます。ところが団体商標の場合、商標登録を受ける団体以外に、その団体に属する構成員もその商標を使用することができます。団体商標制度を利用することで、ある生産地域の団体が、その地域の産品に独自ブランドを付して販売する際にそれらを登録商標しておくことで、その団体に属する構成員がその独自ブランドを使用することができることのみならず、他人の使用を防止することができます。但し、団体商標の商標登録を受けることができる団体には法律上の規定があり、公益社団法人、農業協同組合、事業共同組合、商工会議所、NPO法人等がその対象となります。一方、株式会社、法人格を有しない社団等は登録を受けることができません。

 ところで、商標登録を受けるには、その商標が自他識別力を有することが必要とされます。従って、例えばある地域の独自ブランドとして(その地域名+商品の普通名称)で構成されるものを用い、これを商標として商標登録出願をしても、自他識別力が無いものとして商標登録がされません。例外的に、一定期間使用されることにより特定の団体の産品等を表示するものとして自他識別力を有すると認められた場合には商標登録がされます。しかし、この例外規定の適用は厳格であり、独自ブランドとして(その地域名+商品の普通名称)のようなものを用い、これを登録商標とすることは困難です。

 このような(地域名+商品の普通名称)で構成されるような、いわゆる地域ブランドについて商標登録を受けるための制度として、地域団体商標制度があります。上記の団体商標制度を利用して商標登録を受けるためには、その商標につき全国的な知名度を獲得することが必要とされていますが、地域団体商標制度によれば、複数都道府県に及ぶほどに周知であればよいとされているので商標登録を受けることが容易になります。地域団体商標の類型として、①(地域名+商品(役務)の普通名称)、②(地域名+商品(役務)の慣用名称)、及び(①または②+産地等を表示する際に付される文字として慣用されている文字)、例えば、○○みかん、○○焼、本場○○織、が挙げられています。地域団体商標制度により、○○蒲鉾、△△温泉、□□の塩のような商標が既に登録されています。
 なお、平成26年8月1日から、商工会、商工会議所、NPO法人(特定非営利活動法人)、これらに相当する外国の法人も、地域団体商標の出願をすることができるようになりました。

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Q.地域団体商標とは何ですか。また、地域団体商標が登録されるためには、どんな条件が必要ですか。 
A.

 地域団体商標とは、例えば、「和歌山ラーメン(登録第5004520号)」などのように、地域名(和歌山)と商品名(ラーメン)の文字から構成されている商標のことです。通常は、地域名と商品名を組み合わせただけでは商標登録されにくいのですが、所定の条件を満たせば商標登録されます。
 地域団体商標が登録されるための条件としては、
・地域の事業協同組合、農業協同組合、商工会、商工会議所、NPO法人(特定非営利活動法人)等の団体による出願であること
・「地域の名称+商品の普通名称」を普通に用いられる方法で表示する文字のみからなる商標等であること
・一定の地理的範囲で有名になっていること
などが挙げられます。
 地域名と商品名からなる商標が、地域ブランド育成の早い段階に商標登録を受けられるので、この地域団体商標に関する制度は、地域ブランドを法的に保護していく手段として活用されています。

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商標の類否判断について
Q.商標の類否判断について教えて下さい。
A.

 特許庁商標課は、「商標審査基準」を公表しており、特許庁の審査官はこの基準に沿って出願商標が他人の先行商標と類似するかどうかの判断を行います。その基準は以下のようになっています。

「商標の類否の判断は、商標の有する外観、称呼及び観念のそれぞれの判断要素を総合的に考察しなければならない。」
「商標の類否の判断は、商標が使用される商品又は役務の主たる需要者層(例えば、専門家、老人、子供、婦人等の違い)その他商品又は役務の取引の実情を考慮し、需要者の通常有する注意力を基準として判断しなければならない。」

  原則として、両商標が外観(見た目)・称呼(呼び名)及び観念(意味合い)のいずれか一つの要素において紛らわしければ、類似と判断されます

称呼類似の例
「アスパ」と「アスペ」、「アトミン/Atomin」と「ATAMIN/アタミン」

観念類似の例
「太陽」と「SUN/サン」、「APPLE」と「りんご/林檎」

また、商標の構成全体での類否判断を原則としますが、二以上の要素が結合したような商標の場合には、その商標の一部分をもって類否判断する場合がありま す。また、両商標を並べて比べるのではなく、時と所を異にして両商標を見た場合に需要者が混同するかどうかが基準になります。

その他、「商標審査基準」には商標の類否について、具体的な例を挙げて記載されていますので、詳しくはそちらをご覧下さい。(特許庁ホームページ:資料室(基準・便覧・ガイドライン)→基準・便覧・ガイドライン→商標審査基準→九、第4条第1項第11号(先願に係る他人の登録商標))

なお、特許庁では「商標審査基準」に従い、原則として画一的な判断がなされますが、使用商標が他人の登録商標と類似し商標権侵害に該当するかどうかを判断 する裁判所においては、実際の取引の実情などを考慮の上、個別具体的に、両商標が付された商品又は役務の出所について、需要者が混同のおそれを生じるかど うかの観点から商標の類否が判断されます。

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