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たとえば、このようなQ&A があります!



: 全178件
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無審査登録制度について
Q.実用新案法の無審査登録制度とはなんですか。
A.

平成6年以降に実用新案登録出願された考案を対象とする現行の実用新案制度においては、方式審査及び一定の基礎的要件についてのみ審査を行い、実体審査(新規性・進歩性等に関する審査)を行うことなく、実用新案権の登録がなされます。基礎的要件とは、具体的には、
・物品の形状、構造、組み合わせに係るものであること
・公序良俗、公衆の衛生に反しないこと
・記載要件及び出願の単一性を満たすこと
・明細書及び図面に必要な事項が記載されており、その記載が明確であること
です。ライフサイクルの短い技術を早期に権利化して適切に保護するために、実体審査を行わないこととしました。なお、上記の基礎的要件を満たしていない出願については、補正命令がなされますので、内容によっては手続補正書を提出することにより対処することができる場合があります。

実用新案権の登録後、実用新案権者、実用新案登録請求の範囲及び図面の内容等が掲載された登録実用新案公報が発行されます。なお、第1年~第3年の登録料は、出願時に納付しなければなりません。

このように無審査で実用新案権の登録がなされるため、実用新案権者が侵害者に対して権利行使を行う場合には、一定の要件が課されています。(「実用新案権の効力・存続期間について」のQ&Aをご参照下さい。)

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技術評価書について
Q.実用新案技術評価書とはどのようなものですか。
A.

実用新案法では新規性・進歩性等に関する実体審査がなされないまま考案が登録されることから、本来的に実体的登録要件を備えない権利が行使され、第三者が不測の損害を受けるおそれがあります。
そこで、権利の有効性につき客観的な判断を下すための資料を権利者(実用新案権者)及び第三者に提供すべく、登録された考案の新規性や進歩性等の有無について特許庁審査官が評価する「実用新案技術評価書制度」が設けられました。

評価書の請求は、出願後であれば何人も請求することができます。また、請求回数に制限はありません。権利者は、実用新案技術評価書を提示して警告した後でなければ、侵害者に対して権利を行使することはできません。また、行使した権利が無効になった場合は、実用新案技術評価書が否定的でなかったときや弁理士の肯定的な鑑定書を得たとき等の相当な注意をもって権利行使をしたケースを除き、相手方に与えた損害を賠償する責任が権利者に生じます。

このように、権利者は侵害者に対して無条件に権利を行使するのではなく、実用新案技術評価書により権利の有効性について肯定的な判断を得た後に権利を行使することが重要です。また、他人の実用新案権を侵害するおそれのある第三者にとっても、ただ考案の実施をあきらめるのではなく、実用新案技術評価書により登録性について否定的な判断を得ることで、考案の自由な実施が可能となる場合があります。

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Q.登録性につき肯定的な実用新案技術評価書が作成された場合、これに対して第三者はどのように対処することができますか。
A.

登録性につき肯定的な実用新案技術評価書が作成された場合、実用新案登録請求の範囲に含まれる考案を実施している第三者は、かかる評価を覆す必要があります。ただし、実用新案技術評価書に対して、請求者及び第三者が意見を申し述べる機会は与えられていません。そこで、他の方法により、審査官や審判官に考案の登録性を否定する証拠を提示する方策を講じることが必要です。

考案の登録性を否定する証拠が、考案の新規性・進歩性を否定するための刊行物である場合は、その刊行物を添えて、再び実用新案技術評価書を請求すれば、当該刊行物に基づいて登録性につき否定的な見解が示されるはずです。一方、考案の登録性を否定する証拠が、いわゆる公知・公用の技術であれば、実用新案技術評価書の判断資料となりません。
このような場合は、実用新案の登録後に無効審判を請求し、実用新案権を消滅させる必要があります。

刊行物記載を理由として実用新案権を無効審判で無効にすることも可能です。しかし、第三者にとって、権利者の権利行使を阻止できれば十分な場合も多く、したがって、手続の簡易さや費用の低廉さの点から、できるだけ実用新案技術評価書を活用することが得策です。

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実用新案の効力・存続期間について
Q.実用新案権の効力・存続期間について説明して下さい。
A.

実用新案権の効力とは、「業として登録実用新案を実施する権利を占有する」ことをいいます。
したがって、権利者は自ら実用新案にかかる物品を製造したり、販売したりできますし、第三者に実施権を許諾することもできます。一方、第三者が正当な理由もなく、登録実用新案を実施する場合には、実用新案権の侵害になりますので、これらを排除するために差止請求や損害賠償請求等の権利行使ができます。
このような実用新案権の効力は、制限される場合があります。他人の権利と利用・抵触の関係にある場合や、専用実施権を設定した場合には、実用新案権者自らの実施が制限されます。また、他人の実施が試験・研究のための実施である場合や、他人が通常実施権を有している場合等は、実用新案権の効力は及ばず他人の実施を容認せざるを得ない場合があります。

実用新案権は無審査登録制度の下で発生しますので、第三者の不測の不利益を防止するため、権利行使に際し、特許権の権利行使に比べ条件が加わります。例えば、特許庁が作成した実用新案技術評価書を提示して警告した後でなければ、実用新案権に基づく権利行使をすることができません。また、損害賠償請求等に当たり、実用新案権の侵害者には過失が推定されませんので、権利者が侵害者の故意または過失を立証しなければなりません。さらに、相当の注意を払うことなく権利を行使したのちに、登録が無効になると、実用新案権の行使によって相手側に与えた損害を賠償する責任を負うことになります。権利者に充分な注意義務を課して、権利の濫用を防止するためです。

実用新案権の存続期間は、出願の日から10年で終了します。特許権の存続期間が20年であるのに対し10年としているのは、保護の対象となる製品のライフタイムが短縮化しており、これらを簡易に保護するためです。また、特許権の存続期間は延長されることがありますが、実用新案権のそれは延長されることがありません。存続期間が終了すると、実用新案権が消滅しますので、第三者は自由に実施することができるようになります。

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Q.他社の製品に実用新案登録の表示がある場合、何に注意すればよいですか?
A.

他社の製品のうち実用新案権に関係している部分を模倣することはできないことに注意しなければなりません。従って、まず実用新案登録の内容を確認する必要があります。

他社の製品に実用新案登録番号が書かれている場合には、その番号から関連する公報を入手することによって、実用新案登録の内容を確認することができます。公報は、特許庁が提供している特許情報プラットフォームのサイトから無料で入手することができます。

他社の製品に実用新案登録番号が書かれていない場合には、会社名などから、その会社が保有している実用新案権を検索し、関連する実用新案権を特定することができます。

実用新案技術評価書を請求することを考えてみてもよいかもしれません。権利の有効性について否定的な見解が得られた場合には、登録実用新案の自由な実施が可能となることがあるからです。(「実用新案技術評価書とはどのようなものですか。」のQ&Aをご参照下さい。)

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Q.侵害者に対する損害賠償請求においては特許権の方が実用新案権よりも高額な請求ができますか?
A.

特許権も実用新案権も他人の実施を排除する権利である点では同じですので、損害賠償請求できる額は異なりません。また、特許法と実用新案法のどちらにも、権利侵害による損害額の立証を容易にする規定がありますので、立証の点でも、特許権と実用新案権は異なりません。但し、実用新案権は存続期間が10年であり、特許権の20年より短いので、侵害者が侵害を行なっている間に存続期間が満了して、結果的に損害賠償請求額が少なくなることは考えられます。

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意匠法の保護対象について
Q.今般、当社は、多数の箱形ユニットを結合した2階建ての組立家屋を開発しました。この組立家屋は運搬や組立作業が簡単であるばかりか、外観のデザインも優れています。このような組立家屋についても、意匠法による保護を受けることができますか。
A.

 貴社の組立家屋のデザインは意匠登録の保護を受けることができます。貴社の意匠出願前に、他人が同じデザインの組立家屋を意匠登録出願しているとか、公知の意匠が存在している等の他の不登録要件がなければ、貴社の前記デザインは意匠登録されます。
(1)意匠法は意匠について、「物品(物品の部分も含む。)の形状、模様、色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。」と定義しています。従って、出願した意匠が、この定義に該当しない場合には、意匠を構成しないとして登録を受けられません。
上記意匠の定義を分説すると、(a)物品と認められること(物品性)、(b)物品自体の形状・模様・色彩又はこれらの結合であること(形態性)、(c)視覚を通じて(視覚性)、(d)美感を起こさせるもの(審美性)であることが、意匠の成立要件であり、これらの1つでも充足しないと、意匠の保護は受けることができません。特に、貴社の組立家屋のデザインの場合、(a)の物品性を充足するかが問題となります。したがって、ここでは物品性に絞って説明します。

(2)(物品性)意匠登録出願にあたって、必ずその意匠に係る物品を記載しなければなりません。この物品の概念については、通説は取引の対象となり得る有体物の動産に限ると解し、実務でも採用されています。従って、
1)土地及びその定着物である家屋などの不動産は、原則として意匠法上の物品とは認められません。しかし、組立家屋・電話ボックス・移動便所等のように、工業的に量産され販売時に動産として取り扱われるものは意匠法上の物品として運用されています。
2)有体物として一定の形態を具えていることを要しますから、電気、光、熱などの無体物や、気体や液体などでもそのもの固有の形態を有しないものは意匠法上の物品といえません。
3)粉状物・粒状物等の一単位の如く肉眼で形態が判断しにくいものや、それらの集合体でも特定の形態がないものは物品性がありません。
貴社の組立家屋は、上述の意匠の成立要件、特に(2)1)を充足し、かつ形態性と審美性も充足していますので、意匠法の保護を受けることができます。

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Q.どのようなものが意匠登録の対象となり、どのようなものが対象とならないのでしょうか?タイプフェースや携帯電話の液晶表示、アイコンなどはどうでしょうか?
A.

 意匠法上、工業上利用することができる意匠で、所定の登録要件を満たすものが意匠登録の対象となります。よって意匠登録を受けるためには意匠法上の意匠を構成するものであることが必須となります。

 ここで「意匠」とは、簡単に言えば物品の形態であって目で見た時に「美しいな」と感じるものをいいますが、物品と言えるためには有体物でかつ市場で流通する動産である必要があります。従って不動産/電気、光などの無体物/粉状物/ひとつの物品の一部分などは原則として物品と認められず意匠登録の対象とはなりません。ただしひとつの物品の一部分については、その部分についてのデザイン創作を保護すべきという観点から平成10年の法改正にて部分意匠として登録の対象となりました。また形態とはその物品自体の形状、模様、色彩又はそれらの組合せをいい、物品そのものが有する特徴、性質から生じる形態である必要があります。従って例えばハンカチという物品を販売展示目的で折りたたんでできた花の形態はハンカチという物品自体の形態とは認められず意匠登録の対象とはなりません。

 次にタイプフェースや携帯電話の液晶表示、アイコンなどが意匠登録の対象となるかどうかについてですが、原則としてタイプフェースやアイコン自体では物品を特定できないため意匠登録の対象とはなりません。しかし携帯電話の液晶表示についてはその液晶画面に表示されている画像が携帯電話という物品の形態であるため部分意匠として意匠登録の対象となりえます。実際に意匠登録が認められています(登録第1075910号)。

 さらに、平成19年4月1日から、物品がその機能を発揮できる状態にするための操作の用に供される画像で、物品に表示されるもの(例えばメニュー画面や初期画面)も、部分意匠として登録が受けられるようになりました。

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意匠の登録要件について
Q.このたび新製品を開発しました。この新製品のデザインについて意匠登録を受けたいと思いますが、意匠登録を受けるためにはどのような要件が必要ですか。
A.

 意匠登録を受けるには、新製品が概ね次の要件を満たす必要があります。
(1)意匠法上の意匠に該当することが必要です。詳しくは、小分類「意匠法の保護対象について」のQ&Aをご参照下さい。

(2)工業的に量産できることが必要です。一般にデパートや百貨店等で販売されている商品は、ほとんどの場合この要件を満たしますので通常はあまり気にする必要はありません。しかし、例えば、「貝殻」や「植物」等のように自然界に存在するもの自体や、製品の包装のように製品販売時に付加されるに過ぎない物品の形態、さらには量産目的で製作されていない絵画等の美術品は、いずれも工業的に量産されるものではありませんので意匠登録を受けることができません。

(3)新しい意匠であることが必要です。意匠登録を受けるためには、日本や外国を含めて従来知られていない新しい意匠でなければなりません。したがって、一般に知られた模様(例えば、水玉模様等)や形状(例えば、○や□等)を利用したに過ぎない意匠や、既に販売されている商品や新聞・パンフレット・意匠公報・インターネットなどで公表された物品等に掲載された商品と同じ形態若しくはそれに近い形態の意匠は意匠登録を受けることができません。また、一般に知られていない形態であっても、既に他人が意匠登録出願を行っている意匠と同一若しくはそれに近い形態の意匠については意匠登録を受けることができません。

(4)その他、社会一般に道徳感情を害するような意匠や、著名な他人の商品と誤認・混同を生じさせるような意匠も意匠登録を受けることができません。

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Q.登録を受けようとするとき、意匠が「類似である」か否かはどのように判断されますか。
A.

 意匠審査において二つの意匠が「類似である」か否か(類否)の判断は、(1)両意匠の意匠に係る物品及び(2)両意匠の形態の二つのステップを経て行われます。
意匠とは「物品」及びその「形態」によって構成されます。形態とは、形状や模様、色彩、これらの結合を指します。そこで先ず、(1)の「(意匠に係る)物品」とは出願人が願書に記載する事項であり、審査官はその物品の用途(使用目的、使用状態等)及び機能を基に物品の類否を判断します。これらの共通性がない場合は、意匠が類似しないと判断されます。
 次に、(2)の「形態」について、審査官は二つの意匠の形態における共通点及び差異点を認定し、これらが意匠全体の美感に対してどの程度の影響を与えるかなどを評価し、総合的に判断します。例えば、模様付きの包装用箱において、箱の縦横高さの比率(基本的構成態様)が異なっていても、特徴的な模様が共通していれば、両意匠は基本的構成態様における差異を超えて類似することがあります。
 こうして(1)の物品が類似(または同一)である上に、(2)の形態が類似であるときは両意匠が類似であると判断されます。
 なお、こうした判断の主体は需要者(取引者を含む)であり、物品の取引、流通の実態に応じた適切な者とされていて、意匠の創作者の主観的な視点を排し、需要者(同)が観察した場合の客観的な印象をもって判断するとされています。このように、登録意匠の範囲に関する平成18年の改正意匠法(意匠法第24条第2項)が、特許庁の意匠審査基準に反映されています。

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意匠登録出願手続について
Q.ペンギンをモチーフとした文鎮の意匠を出願したいと考えています。この文鎮の意匠は、実物のペンギンのモチーフをほとんどそのまま意匠に係る物品に表したものではなく、くちばしや眼や全体の形態がかなり異なるように美的処理を施した点に特徴があります。この特徴点を、出願の際に審査官にアピールしたいのですが、何か良い方法はありませんか。
A.

1.出願の際に、自己の意匠の特徴を記載した「特徴記載書」を特許庁に提出することによって、出願意匠の特徴を審査官にアピールすることができます。この特徴記載制度は、意匠法の改正により平成11年1月1日の出願から利用できるようになった制度です。この特徴記載書の提出は、義務ではなく、出願人が選択できる任意手続きです。

2.特徴記載制度の趣旨
 意匠登録出願の際に提出する願書及び添付図面等だけで、意匠の特徴を充分に表現することは困難な場合があります。そのため、審査官・審判官による審査が遅延して権利付与が遅くなるなどの問題がありました。
 一方、出願人にとっては、例えば、自己の出願意匠は、公知意匠と異なる点を予め強調して拒絶理由を回避したいときや、自然物や有名な著作物等をモチーフとして利用していても創作容易な意匠ではないことを予め強調したい場合があります。
 そこで、出願人自ら意匠の創作の特徴を主張できる特徴記載制度を導入することによって、特許庁における審査・審判の迅速化を図るとともに、第三者には前記特徴記載書の内容を意匠公報に掲載することにより当該意匠に関する出願人の主観的意図を知らせるものです。

3.提出手続
(1)特徴記載書は、意見書の先出しとも考えられることから、願書を提出するとき、又は出願が審査、審判、再審に係属中はいつでも提出できます(意匠法施行規則6条1項参照)。
(2)特徴記載書は、所定の様式によらなければなりません(意匠法施行規則6条2項参照)。詳しくは、弁理士にお問い合わせください。
 なお、〔意匠の特徴〕及び〔説明図〕の記載は最新のものがそのまま意匠公報に掲載されます。

4.審査・審判での取り扱い
 特徴記載制度は、出願意匠に関する創作のポイントを出願人が主張することによって、前記2.に記載したような効果を達成しようとする便宜的な制度です。
(1)審査官・審判官は、意匠の特定、類否判断、拒絶の理由において、特徴記載書の記載内容を直接の根拠にすることはできません。審査、審判の資料とするか否かは審査官・審判官の自由裁量です。特徴記載書の記載内容に同意できないときでも、拒絶理由を発したりすることはできませんし、判断結果が意匠公報に掲載されることもありません。
しかしながら、審査官・審判官は、特徴記載書を見るでしょうから、特徴記載が的確なサーチ範囲を決定する参考情報となるため、審査、審判の迅速化が期待されます。また、登録された場合には、〔意匠の特徴〕および〔説明図〕の記載内容が意匠公報に掲載されるので、第三者に対して出願人の登録意匠の創作の意図をしらせる牽制効果は得られましょう。
(2)特徴記載書の記載は、登録意匠の範囲を定める基礎としない(意匠法施行規則6条3項参照)し、審査の対象ともなっていないので、意匠権の権利範囲について直接的に何ら影響を与えないものです。
しかしながら、出願人が自ら特徴記載書で特徴記載をしている以上、侵害訴訟等の場においては、その記載内容と矛盾する主張はできないと思われるため、禁反言(エストッペル)の法理が適用される虞があります。従って、この特徴記載書を提出すべきか否か、提出する場合はその記載内容を十二分に検討すべきです。

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Q.意匠登録出願前に、そのデザインの商品を既に販売してしまったのですが、登録を受けることはできますか。
A.

 意匠登録出願前に、販売、新聞発表等を行った場合、原則として新規性がなくなり、意匠登録を受けることができなくなってしまいます。ただし、特許法と同様に意匠法においても6カ月以内(注1)であれば例外の適用を受け、意匠登録を受けられる場合があります(特許法第30条、意匠法第4条)。以下の場合に例外の適用を受けることができます。

(1)意匠登録を受けるものの意に反して公知になった場合
例えば、詐欺、脅迫等によりその商品のデザインが公知となってしまったような場合です。

(2)意匠登録を受ける権利を有するものの行為に起因して公知になった場合
例えば、そのデザインの商品を販売、展示したような場合です。試験、学術発表をした場合も当然含まれます。
 なお、この例外適用を受ける場合は、出願時にその旨を記載した書面(願書に記載することでもよい)を提出し、出願の日から30日以内に証明書を提出する必要があります。

(注1)平成29年12月9日以降に公開され、平成30年6月9日以降に出願された場合は、1年以内となります(平成30年改正意匠法第4条)。

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Q.「組物の意匠」の登録を受けられる場合があると聞きましたので、具体的にどのような意匠かを教えてください。
A.

 どのようなシステムデザインでも組物として登録されるというわけではなく、経済産業省令に定められる56物品に限られています。

具体的には、美容用具セット、電気歯ブラシセット、コーヒーセット、ディナーセット、応接家具セット、ゴルフクラブセット、オーディオ機器セット、テレビ受信機セット、光ディスク再生機セット、電子計算機セット、自動販売機セット、門柱、門扉及びフェンスセットなどがあります。

 なお、組物の意匠も、登録を認められるためには、通常の意匠登録出願の場合と同様に新規性、創作非容易性等の登録要件を満たすことが必要です。

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Q.組物の意匠登録出願をする場合、他に注意すべき点がありますか。
A.

 システム全体を組物として意匠登録出願するとともに、システムデザインを構成する各物品についても、個別に出願するのが望ましいです。第三者があなたのシステムデザインを構成する1物品によく似たデザインの物品を販売している場合、組物(システムデザイン)の意匠は、システムデザイン全体として似ているか否かを問題にします。従って、第三者がシステムデザインとしてではなく、これを構成する1の物品を販売している場合は、権利侵害であるとしてその販売を差し止めることはできません。

 例えば、パソコンシステムについての組物の意匠権を有している場合、第三者がこのシステムのディスプレイと全く同じデザインのディスプレイを模倣して製造販売していても、差し止めることはできません。

 従って、システムデザイン全体ではなく、各物品を個別に出願しておくのが望ましいということになります。

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Q.お互いに類似する意匠についての「関連意匠制度」とはどのような制度ですか。
A.

 平成11年1月1日から関連意匠制度が導入されました。

関連意匠制度の下では、複数の類似する意匠を登録するためには、いずれかを本意匠とし、それ以外の意匠を関連意匠として出願します。関連意匠の出願日は、本意匠の出願日以後であって、本意匠の意匠公報の発行の日前でなければなりません。関連意匠は必ず本意匠に類似していなければならず、他の関連意匠にだけ類似する意匠は関連意匠として登録されません。

 関連意匠は登録されると、本意匠から独立した登録意匠として独自の権利範囲を有します。また、関連意匠の意匠権は、本意匠の意匠権が無効審判や放棄等により消滅しても、その影響を受けて消滅することはありません。ただし、関連意匠の意匠権の存続期間は本意匠の意匠権の存続期間と同じです。また、関連意匠の意匠権の移転、専用実施権の設定については本意匠の意匠権とともに行う必要があります。

 なお、類似する複数の意匠を出願する場合、本意匠の選択を誤ると関連意匠を登録できなくなることがありますので、本意匠の選択には注意して下さい。

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Q.新製品ついていろいろなバリエーションの意匠を創作しましたが、権利化についてどのような点に注意したらよいでしょうか。
A.

 新製品についていろいろなバリエーションの意匠を創作したとのことですが、権利化については、次のような点に注意してください。
 まず、創作された意匠が、意匠法上の意匠を構成していること、工業上利用できる意匠であって、新規性および創作性を有し、不登録事由に該当しない意匠であることを前提にします。

1.関連意匠制度を利用する上での注意点
関連意匠出願制度の下では、いろいろなバリエーションのうち、一の意匠を本意匠として選択し、本意匠に類似する意匠を関連意匠とします。その際どの意匠を本意匠とするかが問題です。たとえば、A、B、C、Dの意匠について、AはBに類似し、BはCに類似するが、AはCに類似しない場合、Aを本意匠とするとBを関連意匠とすることができますが、Cを関連意匠とすることができなくなります。そこで、Bを本意匠とすると、AもCも関連意匠となります。また、DはA、Bに非類似であるが、Cに類似する場合、「関連意匠にのみ類似する意匠は意匠登録を受けることができない」という規定があるため、Dは関連意匠であるCにのみ類似するので意匠登録を受けることができません。関連意匠の出願日は、本意匠の出願日以後であって、本意匠の意匠公報の発行の日前でなければなりません。
 なお、組物の意匠の場合も、関連意匠が認められます。

2.部分意匠制度を利用する上での注意点
 いろいろなバリエーションの意匠の要部が共通している場合、新設されたこの制度を利用して、部分意匠として出願するとよいでしょう。部分意匠として出願する場合は、物品全体の中に占める位置、向き、大きさ、範囲、比率などを勘案して意匠登録を受けようとする部分を決定して下さい。
部分意匠についても前述の関連意匠が認められます。しかし、組物の意匠については部分意匠が認められません。

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Q.システムデザインを創作しましたがどのようにすれば良いでしょうか。
A.

 パソコンセット、オーディオシステム、または応接セット等の複数物品の組み合わせからなるシステムデザインを創作した場合は、組物の意匠制度を利用して、組物の意匠登録出願をすることができます。

 組物の意匠制度は同時に使用される2以上の物品であって経済産業省令で定めるもの(これを組物といいます)を構成する物品にかかる意匠は、組物全体として統一があるときは、一意匠として出願でき、登録が認められる制度をいいます。

 例えば、パソコンシステムでは、通常ディスプレイ、本体、プリンタ、マウス、キーボード等は個別に意匠登録出願をする必要がありますが、全体としてのデザインに統一感があると認められる場合は、これらをひとまとめにして出願し登録を受けることが可能となります。

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Q.秘密意匠制度というものがあるそうですが、どのような制度ですか。
A.

 秘密意匠制度とは、出願人の請求により意匠登録の日から3年を限度として登録意匠の内容を公報に掲載せず、秘密にしておくというものです(意匠法第14条1項)。

1.秘密意匠の請求
この制度の適用を希望する出願人は、以下の点に注意して秘密意匠制度の適用を受けたい旨請求する必要があります(意匠法第14条2項)。


1. 意匠出願と同時、又は第1年分の登録料納付と同時に秘密意匠の請求を行うこと。
2. 請求書には、出願人の氏名(名称)及び住所、並びに、対象の意匠を秘密にすることを請求する期間(最長3年)を記載すること。
なお、この請求の後でも、出願人(意匠権者)は、秘密にしておく期間の延長又は短縮を請求することができます(意匠法第14条3項)。

2.秘密意匠の公開
秘密意匠は、以下の場合に公開されます。

1. 秘密期間中
意匠権者の承諾があったとき、裁判所からの請求があったとき等一定の場合には例外的に特定の者に対して秘密意匠の内容が示されます(意匠法第14条4項)。
2. 秘密期間経過後
通常の意匠と同様に公報に掲載されます(意匠法第20条4項)。
3.秘密意匠制度の利用に際しての注意点
秘密意匠制度を利用すれば、独占権を得ながら、一定期間、その内容を競業他者に対して秘密にしておくことができます。しかし、いいことばかりではありません。つまり、秘密期間中の秘密意匠に係る意匠権侵害訴訟では、侵害者がその意匠権の存在を知っていたことを意匠権者等が証明しなければならないのです。これは、秘密意匠は秘密期間中、意匠公報に掲載されないため、侵害者に過失があったと推定されないためです(意匠法第40条但書き)。

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Q.物品の「部分」についての意匠登録は受けられますか。
A.

 部分意匠制度は、平成11年1月1日から導入された制度です。

従来、物品の一部分に外観的な特徴がある場合でも、物品全体の形態としてしか登録できませんでしたが、この部分意匠制度の導入により、物品の一部分の形状や形状と模様だけの結合でも登録できるようになりました。

例えば、従来は、コーヒーカップの把持部分に特徴がある場合でも、コーヒーカップ全体の形状を登録しなければなりませんでした。しかし、この部分意匠制度の導入により、そのコーヒーカップの把持部分の形態についてだけでも登録できることになりました。このように、物品の特徴的な部分に絞って登録しておくと、登録された特徴部分と同一又は類似の形態のものであれば他の部分の形態が異なっていても、第三者によるその意匠の実施を排除することができます。つまり従来は部分同士が同一又は類似であっても全体として似ていなければ侵害とはなりませんでしたが、本制度の導入により、部分同士が同一又は類似であれば原則として侵害となるため、「部分意匠」の登録をする方が「全体意匠」の登録をするよりも、広い権利が得られることになります。

 なお、「部分意匠」を出願する際には、登録したい特徴部分のみを実線で描き、他の部分は破線等で表すことによって登録したい範囲を明確にすることとされています。

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意匠の国際登録制度について
Q.意匠の国際登録制度(2015.5.13~)について説明してください。
A.

 意匠の国際制度とは、我が国で2015年5月13日にジュネーブ改正協定が発効し、各国別に行っていた出願手続きを一元化して、WIPO国際事務局への1つの出願手続きにより、協定に加盟している国の内、指定した国にそれぞれ出願した場合と同等の効果を得ることができる意匠の国際出願及び国際登録システムです。
 所定様式の書面若しくはE-Filing(インターネットによるオンライン出願)によって、WIPO国際事務局に対して出願を行うだけで良いため、各国別への出願が不要となる点で手続き的にメリットがあり、基本的に現地代理人を介さずに出願を行える点でコスト的にもメリットがあります。
 国際出願を行うとWIPO国際事務局によって方式審査が行われ、出願書類に不備がなければ国際登録され、国際出願日が国際登録日となります。国際登録日から原則6ヵ月が経過すると、WIPOのウェブサイト(Hague Express)において出願した内容が公表され(国際公表)、その後、指定した各国で方式審査(書面等の形式審査)、実体審査(新規性等の審査)が行われます。
 実体審査がない国の場合、国際公表から6ヵ月以内に拒絶通報(我が国でいう拒絶理由)がなければ、国際登録日から指定した国で登録の効果が発生します。実体審査がある国の場合、国際公表から12ヵ月以内に拒絶通報がなければ、国際登録日から指定した締約国において登録の効果が発生します(実際には、国際公表後に実体審査が開始され、12ヵ月以内に拒絶通報があると指定した国の官庁に対して反論を行い、拒絶が解消すれば登録されて権利が発生することになります。)。
 登録後は5年ごとの更新で、指定した国が許容する存続期間(日本であれば登録から20年、アメリカであれば登録から15年)、権利を維持することができます。
 ただし、世界共通の意匠権が発生するわけではありませんので、権利の効力範囲等については、各国の法律に基づくことになる点は注意して下さい。

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