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たとえば、このようなQ&A があります!



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均等論について
Q.特許製品の一部を変更すれば、特許権の侵害にはならないのでしょうか?
A.

特許権の侵害は、特許公報の特許請求の範囲に記載された構成要素のすべてを充足しているか否かで判断されます。従って、特許製品の一部を変更しても、特許請求の範囲に記載された構成要素を具備している場合には特許権の侵害になります。また、特許請求の範囲に記載された構成要素の一部が相違する場合であっても、均等侵害に該当することがあります。詳細は弁理士にご相談ください。なお、均等侵害については、Q「特許権侵害の判断において適用される均等論とは何ですか。」をご参照下さい。

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警告書について
Q.商標権侵害の警告書をうけた場合にはどのように対処すればよいでしょうか。
A.

最も安全な対処法は、できるだけ早期に専門の弁理士・弁護士に相談することです。

しかし、最終的には専門家の判断を仰ぐとしても、それまでに解決しておくとよい事項もあります。また、明らかに言いがかりである場合には専門家に相談するまでもない場合もあり得ます。ここでは弁理士・弁護士に相談する前の段階における対処について説明します。

1.警告書に対する回答期限を確認します。回答期限に法的意味があるわけではありません。しかし、相手方の心証を害さないためにも、回答期限を守るようにスケジュールを決定すべきです。警告書の内容を検討した結果、例え、相手方の主張に無理がある場合でも、放置したりせず、その旨を回答期限内に回答しておくべきでしょう。

2.侵害していると指摘された製品および商標を確認します。自社が製造・販売等をしている製品でなければ、そもそも商標権の侵害とはならないからです。ただし、すでに製造を中止している製品であっても、過去の侵害に対して損害賠償を請求されることはあり得るので、現在製造していないからといって安心はできません。

3.警告書に添付されている公報から、商標権の指定商品(または指定役務)と商標を確認します。そして、侵害と指摘された自社製品が、当該指定商品または当該指定商品に類似する商品であるか否かを確認します。例え、商標権にかかる商標が自社製品の商標と同一の商標であっても、自社製品が指定商品または指定商品に類似する商品に含まれなければ商標権の侵害とはならないからです。

4.商標権に係る商標と、自社製品に使用している商標とを比較してみて、似ているかどうか確認します。商標権の侵害に該当するためには、互いの商標が同一または類似する必要があります。まるっきり似ていない商標について警告される場合もあり得るので、一応の確認はしておくのがよいでしょう。ただし、この判断は容易ではないので、安易に結論を出さず、専門家に相談するべきです。なお、特許庁に判断してもらう(判定制度)ことも可能です。

5.自社製品の商標について特別の事情がないか確認します。例えば、自社製品に当該商標を使用したのが、商標権にかかる出願の出願日より前であるとか、自社製品について商標の使用許諾を受けているとか、当該商標権について無効理由を発見している等です。これらの事情についても、専門家に相談する際に、報告するとよいでしょう。

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Q.競合会社から特許権侵害の警告を内容証明郵便で受けた場合、どのように対処すればいいでしょうか。
A.

弁理士(特許事務所)に相談されるのが好ましいと考えますが、この場合、次の手順で対処方法を考える必要があります。

(1)相手方から内容証明郵便とは別便で特許公報が送られてくる場合もありますが、送られてこない場合もあります。後者の場合でも、警告書には特許番号が掲載されているはずですから、特許公報を取り寄せ、内容を確認する必要があります。

(2)特許公報だけでなく、特許原簿の謄本を取り寄せ、権利が有効に存続しているかどうか、権利者が通告人と一致しているかどうか等の確認を行います。特許公報や原簿謄本は、社団法人発明協会に依頼すれば、取り寄せることができます。

(3)特許公報に掲載された「特許請求の範囲」の記載が特許発明の技術的範囲(権利範囲)を示しておりますので、その範囲に、警告の対象となったものが含まれているかどうかを判断しなければなりません。含まれていないことが明らかな場合には、特許発明の技術的範囲に属さない理由を記載した回答書を作成し、相手方に送付することになるでしょう。しかしながら、技術的範囲に属する疑いが濃厚な場合は、(a)対象技術の実施を断念する、(b)特許発明に抵触しないように技術を変更する、(c)特許に無効理由がないかどうかを調査検討する等の選択肢が考えられます。ただし、技術的範囲に属するかどうかの判断は、特許庁に備えられている出願書類(包袋)を精査する必要もあり、弁理士に鑑定等を依頼されるのが好ましいと考えます。

(4)前記(a)及び(b)の場合、それ以後の差止請求は回避できますが、権利者から過去の侵害について損害賠償請求されることがありますので、その場合は弁護士を介して相手方と交渉することになるでしょう。多くの弁理士は弁護士と業務提携をしておりますので、弁理士に依頼されれば自ら弁護士を捜す手間を省略できます。

(5)なお、特許権を侵害していないにも関わらず、相手方が取引先等に警告書を送付する等、営業妨害をしているときは、不正競争であるとして、相手方にそのような行為を中止するよう要求することもできます。

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Q.他社から、自社製品がその会社の特許権を侵害しているとの内容の警告書が送付されてきました。そこで、その会社の特許発明と自社製品を比較して侵害の有無を判断しようと思っていますが、その判断基準について教えてください。
A.

他社の特許発明と自社製品とを比較する際の判断基準は、「自社製品が他社特許発明の技術的範囲に属するか否か」となります。そして、特許発明の技術的範囲は、その「特許請求の範囲」の記載に基づいて定められると規定されています(特許法第70条第1項)。
警告書には、相手方の特許発明の内容が記載された特許公報が添付又は特許番号が記載されている筈です。特許公報を入手し、「特許請求の範囲」の欄を参照して、請求項に記載されている特許発明が自社製品と一致しているかどうか検討する必要があります。そして、自社製品が、特許発明の構成要素を、すべて備えている場合に、自社製品は他社特許発明の技術的範囲に属する、即ち、侵害していると判断されます。
ただし、ここに示した例はあくまでも原則論です。そして、特許権の侵害の判断は非常に難しく、かつビジネス上重要な判断ですので、自己の判断のみに基づいて対応を決定するのではなく、専門の弁理士に相談するようにしてください。

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Q.自分の特許権を他人が無断で実施しているのを見つけました。どのような対抗手段がありますか。
A.

 他人の特許権を実施権(ライセンス)などの権利なしに事業として実施する行為は、特許権の侵害となります。対抗処置としては、訴訟を提起して、(1)侵害行為の停止を請求したり、(2)損害賠償を請求したりすることができます。訴訟の提起前に侵害者に警告書を送り、それでも解決しない場合に訴訟を提起することが一般的です。なお、言うまでもありませんが、警告書を送付する前に、本当に特許権が侵害されているか否かを十分確認する必要があります。

 警告書では、侵害された特許番号と侵害品名や侵害行為(製造、販売等)を特定して、侵害行為の停止を要求します。弁理士が作成した警告書が効果的です。警告だけでは法律的効果は生じませんが、その後の侵害行為に対して損害賠償の請求をしやすくなります。なお、警告に対して侵害者が応じる場合、侵害者が事業継続を希望し特許権の実施許諾を求めてくる場合もあります。

 損害賠償請求は、侵害を知ってから3年を経過したときは請求することができません。このような場合、不当利得返還請求を行うことができる場合があります。不当利得返還請求では、侵害によって受けた自分の損失を限度として利得の返還を請求することができます。ただし、10年を経過した分については時効により請求することができません。さらに、故意や過失によって業務上の信用が害されたときには、侵害された者の信用を回復する措置(例えば新聞への謝罪広告の掲載)を侵害者に要求することができます。

 なお、特許権の設定登録前(出願はしたけど権利化前)であっても、出願公開の後(公開特許公報の発行後)であれば、発明の内容を記載した書面(警告書)を侵害者に郵送等によって提示することで、特許権の設定登録後に、警告から設定登録までの期間の侵害行為に対して補償金を請求することができます。

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侵害の判断について
Q.ある商店の前を通りかかったところ、私の特許発明と同じような製品が販売されていました。じっくり見ると若干異なる点もあります。この製品が私の特許権を侵害しているかどうか、どのようにして判断をすればよいのでしょうか。
A.

 自分の特許発明と相違点がある場合は、原則として特許権侵害になりませんが、相違点があっても例外的に特許発明と均等な物として特許権侵害となる場合があります。この場合に、特許権侵害となるか否かは、以下に示す5要件を用いて判断します。全ての要件を満たす場合に、特許権侵害となります。判断に迷わる場合は弁理士までご相談ください。

1. 特許発明において製品との相違部分が特許発明の本質的部分ではないこと(非本質的部分)
2. その相違部分をその製品におけるものと置き換えても、特許発明の目的を達成することができ、同じ作用効果を奏すること(置換可能性)
3. その製品の製造時点において、当業者がそのような置き換えを容易に想到できたものであること(侵害時の置換容易性)
4. その製品が、特許発明の特許出願時点における公知技術と同一ではなく、また当業者がその公知技術から出願時に容易に推考できたものではないこと(出願時公知技術からの容易推考困難性)
5. その製品が発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たる等の特段の事情もないこと(意識的除外)

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水際取締りについて
Q.商標権を侵害する商品が輸入されようとしています。何か対策を取ることができますか?
A.

輸入後、裁判所で差止及び損害賠償の訴訟をすることも可能ですが、税関に輸入差止の申請をすることも可能です。

すなわち、関税法69条の11第1項第9号では、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権等を侵害する物品の輸入差止を認めています。また、関税法69条の11第1項第10号では、不正競争防止法第2条第1項第1号~第3号に規定されている不正競争行為を組成する物品の輸入差止を認めています。弁理士は、これらの輸入差止の代理人になることができます。

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登録前の係争について
Q.ある発明について特許出願をしましたが特許権が発生する前に、出願した発明を利用した製品を他社が販売し始めました。何か対策を取ることができますか?
A.

特許権が発生していない以上、特許権に基づく差止請求(製品の販売等を差し止める)や損害賠償請求等の権利行使はできません。

しかし、特許権が発生していない場合であっても、認められる対抗手段があります。

この発明の特許出願について特許公開公報がすでに発行され、出願公開がされている場合は、当該他社に対して、一定の条件を満たした警告をしておくことも有効です。この警告によっても当該他社の販売行為等を差し止めることはできませんが、この発明の実施料に相当する金額の補償金を、特許権が発生した後に、請求することが可能となります。逆に言えば、この警告を行わないと一部例外を除いて当該補償金を請求することができません。

したがって、この警告を受けた場合、当該他社は自己の製品の販売を継続すると、「特許権が発生した後に、補償金を請求されるだけでなく、特許権侵害で訴えられるかもしれない」と考え、問題の製品の販売を中止してくれるかもしれません(特許法第65条参照)。

なお、この警告を行うためには、該当する特許出願が出願公開されていなければなりません。そこで、未だ該当する特許出願が出願公開されていないのであれば、特許庁に対して、早期に出願公開をするように出願公開の請求(特許法第64条の2)を行うこともできます。

また、特許権が発生していない場合の対抗手段として、例えば、不正競争防止法に規定されている差止請求(第4条)や損害賠償請求(第5条)は認められる場合があります。

不正競争防止法は、不正競争に対して権利行使を認める一方で、どのような行為が不正競争に該当するかが列挙されています(第2条第1項第1号~第15号)。例えば、特許出願した発明が製品の形態に関する発明である場合、当該他社の行為は、同条同項第3号に該当する可能性があります。すなわち、当該他社の行為が不正競争行為である場合には、当該他社の行為に対する対抗手段として、不正競争防止法に基づく差止請求や損害賠償請求をすることができます。

以上のような対抗手段の他に、特許権を早期に成立させるための付随的手段として、特許庁に対して、特許出願の審査を開始させるための出願審査の請求(特許法第48条の3)を行ったり、あるいは、当該特許出願の審査を優先して行ってもらうための優先審査の請求(特許法第48条の6)を行ったりすることも有効です。

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契約・交渉について
Q.どのような場面でライセンス契約が必要であるかを教えてください。
A.

例えば、自社の製品が他社の特許権に抵触している場合、その製品は製造販売することができません。製造販売するには権利者とライセンス契約(特許実施許諾契約)を締結し、実施許諾を受ける必要があります。全く逆のケースで、他社製品が自社の特許権に抵触していて、特許発明を使わせても良いと考える場合にも、ライセンス契約を結びます。
抵触とは関係なく、他社から新たに技術(特許発明やノウハウ)を導入して新規事業を始めたい場合や、他社に自社技術を使ってもらいたい場合にも、ライセンス契約を結びます。

※特許権以外の知的財産権(意匠権、商標権、著作権など)についても、同様に権利対象の使用についてライセンス契約を結びます。

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Q.他社の特許発明を利用するためにライセンス契約を締結するにあたり、検討すべき事項について教えてください。
A.

1.事前検討事項
1)対象特許権の確認
ライセンスを受けるべき特許権が有効に存続しているのか(権利期間切れでないか)、他にもライセンスを受けるべき特許権はないか(改良発明など)を調査検討する必要があります。また外国でも実施したい場合は外国特許権の確認も必要となります。

2)ノウハウの必要性の確認
ノウハウは必要ないのか。言い換えれば特許発明を使用させてもらうだけで製品を製造販売できるかの確認が必要となります。

3)障害特許調査
ライセンスを受けても許諾製品が他社特許に抵触する場合があります。よって事前に障害事業の障害となりうる特許はないか調査する必要があります。

4)技術検証
他社から特許権の許諾だけではなく技術一式(特許発明、ノウハウ)を導入する場合は、技術性(完成度、適用可能性等)を事前に検証する必要があります。

5)財政状況の確認
特許権者や実施権者が破産した場合、契約義務が履行されなくなる可能性があります。よって相手方の財政状況の事前確認は重要です。

2.契約上の検討事項
1)製品定義
どのような特徴を持った製品が許諾対象となるのか確認し、契約に定義する必要があります。曖昧な製品定義はあらゆる製品(関係のない製品)についても実施料を払わされるおそれがあるからです。

2)実施権の内容
独占的実施権(専用実施権)とするのか、非独占的実施権(通常実施権)でも良いのかを検討する必要があります。非独占的実施権の場合は競合他社が出現する可能性がある点にも注意します。

3)実施地域(テリトリー)
実施できる地域は日本だけか。外国は必要ないのかを検討する必要があります。

4)実施料(ロイヤリティー)
許諾製品を販売する度に実施料を支払うランニング方式にするのか、一括で支払うランプサム方式にするのか。両方を組み合わせるのかを検討する必要があります。また実施料の額は幾らにすべきかの検討も必要になります。

5)特許保証
許諾製品を製造販売したら他社特許権に抵触してしまった場合の措置について、契約書で規定すべきです。他社特許権の無効化を特許権者に協力して貰う、製品の設計変更を協力して貰うなどです。またライセンス対象の特許権が第三者に侵害された場合の措置についても規定すべきです。

6)契約期間
何年間特許発明を実施したいか実施させたいかを規定すべきです。

7)秘密保持義務
ライセンス契約では技術のやり取りが行われるため、秘密保持義務条項を設ける必要があります。

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Q.秘密保持契約について教えてください。
A.

他者に秘密情報を開示する場合に、開示した情報を第三者に漏らさせないようにし、また、開示目的以外に使用させないようにする為の契約を言います。

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Q.不実施補償とは何でしょうか?
A.

特許権を複数の権利者で共有している場合、ある権利者は特許発明を実施するが、他の権利者は全く実施しない場合があります。例えば大学と企業が特許権を共有する場合です。このような場合には実施しない権利者にとっては特許権から何の利益を得ることが出来ないため、実施する権利者から一定の実施料を払ってもらう場合があります。これを契約法務上不実施補償と呼んでいます。

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Q.個人発明家が発明を会社へ売り込む方法を教えてください。
A.

 個人発明家の発明を企業に売り込むことは非常に難しく、なかなか企業側が話を聞いてくれないことが多いのが実情ですが、発明を紹介するお手紙などで企業にコンタクトをとることが一般的なようです。

 ただ、企業に発明を売り込む際には、発明について先に特許出願などの出願をしておくか、秘密保持契約を結んでから企業側に発明内容を開示してください。守秘義務のない企業に発明内容を出願前に開示してしまうとその発明は特許で保護できなくなるおそれがあるので気を付けてください。
 なお、特許出願してから企業に発明を売り込む場合であっても、出願内容は出願日から1年半が経過するまでは公開されませんので、出願内容を開示するタイミングについては十分に考慮してください。

 また、発明をうまく企業に売り込めた場合、発明についての出願や特許権などの権利を譲渡する、あるいは権利は保有したまま、ライセンスを企業に与えるなどの方法が想定されます。なお、出願や権利の譲渡、ライセンスは契約に基づいて行われますが、ライセンス内容や対価の支払い方法など契約内容について十分に吟味する必要があります。

 より詳しい話は、日本弁理士会関西会で開催しています”無料相談”に申し込んで弁理士に相談してみてください。巷では、発明を企業に知らせるために出願内容をサイトに掲載しませんかという勧誘がありますが、サイト掲載費用を請求されるものの成果がないことが多いようですので気を付けてください。

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産学共同について
Q.大学と企業とが共同研究を行う場合に知的財産の扱いはどうなりますか。
A.

 大学と企業とが共同研究を行うことによって得る知的財産権の多くは特許権ですので、以下では特許権を例にして説明します。

 大学と企業とが共同して得た研究成果に基づく特許権は共有とすることが多く、後々争いが生じないように、特許権の帰属先及び持分を両者間の契約で定めておくことが有用です。

 他に契約では、特許権の取得に必要な費用負担、外国出願に関する事項、共有者の一方が特許権の維持を希望しない場合、第三者への実施許諾などについても定めたりします。また、特許権が共有の場合は、特段の定めがない限り、両者が自由に発明(研究成果)を実施できます。大学は発明を自ら実施しないケースが多いため利益を上げることができません。そのため、契約の際に、大学が企業に対して不実施補償(他のQ&Aをご参照ください)を求めることがよくあります。

 また、大学にとっては、学会や論文で研究成果を発表することが重要であることから、研究成果の発表によって特許権の取得に支障が生じないように、研究成果の発表方法についても契約で定める必要があります。

 なお、大学側から学生が共同研究に加わる場合は、学生が大学の職務発明規定の対象外であるため、学生が発明者となった場合の知的財産の取り扱いについて大学に確認する必要があります(学生と個別に譲渡契約を結ぶようにしている大学があります)。また、企業にとっては、学生が競合他社に就職する可能性があることから、大学へ開示する情報などについて注意が必要です。

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外国出願について
Q.私は我が国への特許出願を既に行っていますが、同一内容の発明について、複数の外国に出願を行いたいと考えています。どのような方法を利用できるのか教えて下さい。
A.

外国に出願するには次の2つの方法があります。

(1)第1の方法は、各国に直接出願する方法です。通常、この場合には、パリ条約(平成14年8月現在の加盟国は165ヵ国であり、主要な国はほとんど同条約に加盟しています)という産業財産権の保護に関する国際条約を利用することになり、同条約の加盟国である日本国の国民であれば、出願対象国の国民と同様の保護を受けることができます。また、同条約には、優先権制度と呼ばれる制度が設けられており、我が国に特許出願を行ってから1年以内(優先期間内)に外国出願を行えば、その外国出願は、我が国での出願日を基準にして特許性(新規性、進歩性等)の判断がなされるという利益が得られます。しかしながら、各国に直接出願するには、各国の定める様式等の要件を充足しなければならず、特にその国の公用語での出願を求める国が多いため(ただし、米国やドイツのように公用語以外での出願を認め、後に翻訳文を提出すればよい国もある)、1年の優先期間内に外国出願を完了することが困難な場合も生じます。

(2)そこで、第2の方法として、PCTと略称される特許協力条約(加盟国は約100ヵ国であり、主要な国はほとんど同条約に加盟しています)に基づく国際出願を行い、複数の国に直接出願したのと同様の効果を得ることができます。PCTは、上記パリ条約の枠内における特別取極めであり、優先権制度による利益も享受することが可能であることに加え、形式的要件について各加盟国を統一しているため、国際出願として適式と認められれば、正規の出願として国際出願日が認定され、その国際出願日が各指定国での実際の出願日として扱われます。したがって、異なる国ごとに異なる形式的要件に煩わされることを回避することができます。また、国際出願は所定の受理官庁に対してその受理官庁が定める言語で行えばよいことになっており、しかも我が国特許庁は受理官庁として日本語での国際出願を受理しているため、1年の優先期間満了の間際でも翻訳の必要がなく、優先権の利益を享受しつつ国際出願することが容易に行うことができます。さらに、PCTは、国際調査制度及び国際予備審査制度を設けており、これらの制度を活用することにより、発明の特許性をある程度予測することが可能となります。

ただし、国際出願は、各指定国に通用する共通の国際特許を付与するための制度ではないため、一定の期間内(一部の国を除いて優先期間よりは18ヵ月以上長い期間内)に国際出願を各指定国につなげるための手続を行わなければなりません。したがって、各国に直接出願するか、PCTを利用するかは、費用的余裕、国数、時間的余裕、出願の目的等を考慮して判断する必要があります。

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Q.パリ優先権とはなんですか?
A.

パリ優先権とは、工業所有権の保護に関するパリ条約の同盟国(第1国)において、特許、実用新案、意匠、商標の出願をした者又はその承継人が、所定の期間(特許及び実用新案:12箇月、意匠及び商標:6箇月)中に、当該第1国の出願に基づいて他の同盟国(第2国)に対して出願を行った場合に、当該第2国において新規性、進歩性の判断などについて、第1国出願時に出願したものとして取り扱われる権利です。出願は、先に特許庁に手続きをした者に権利が与えられる先願主義が採用されていますが、第1国で出願後に他の同盟国で権利取得を図る場合に、翻訳や出願手続きに時間を要し、他者に先を越されてしまうことが考えられます。パリ優先権を主張することで、このような不利益を解消することができます。

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Q.PCT出願とは、どのような出願ですか?
A.

 PCT出願は、特許協力条約(PCT:Patent Cooperation Treaty)に基づく国際出願であり、日本国特許庁等の指定官庁に対して出願手続きを行うことにより、条約加盟国全てに同時に出願をしたのと同じ効果が得られます。出願手続きは、1つの言語で作成した出願書類(日本特許庁を指定官庁とする場合は、日本語で作成した出願書類)を提出するだけで済みます。

 但し、PCT出願だけでは特許権を取得することはできません。PCT出願を行った後に、特許権の取得を希望する条約加盟国の国内手続きへ移行し、その国の審査を通過する必要があります。国内手続きの移行期限は、条約加盟国により異なりますが、優先日から30ヵ月を移行期限とする国が多いです。

 PCT出願を行うと、出願した発明と同一又は類似の発明が過去に存在していたか否かを調べる国際調査が行われ、出願した発明に対して進歩性の有無などについて審査官の見解を得ることができます。条約加盟国の国内手続きには移行費用が必要になります。PCT出願は、国内手続きへの移行費用が発生する前に、国際調査の結果や審査官の見解が得られるから、見解に基づいて移行の要否、移行国を選別できるなどのメリットがあります。

 なお、条約加盟国へ移行した後の実体審査で新たな文献が見つかることもあり、また新たな文献が見つからない場合でも条約加盟国によって審査ルールが異なるため、審査官の見解が「進歩性有」であったとしても、条約加盟国で「進歩性有」と判断されるとは限りません。

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知的財産権と産業財産権について
Q.知的財産権と産業財産権とは同じものですか。
A.

知的財産権(知的所有権ともいう)には、産業財産権と産業財産権以外の著作権等が含まれるため、知的財産権と産業財産権とは同じではなく、知的財産権の方が産業財産権よりも広い概念です。

知的財産権とは、世界知的所有権機関設立条約第2条によれば、文芸、美術及び学術の著作物、実演家の実演、科学的発見、意匠、商標、サービスマーク、及び商号その他の商業上の表示、不正競争に対する保護に関する権利並びに産業、学術、文芸又は美術の分野における知的活動から生じるすべての権利をいうと定義されています。

そして、知的財産権は、人間の精神的創作活動の結果生じた創作物に関する権利と、営業上の信用が化体した標識に関する権利とに分けることができます。創作活動の結果生じた創作物に関する権利としては、特許権、実用新案権、意匠権、半導体集積回路配置利用権、植物新品種保護権及び著作権があります。営業上の標識に関する権利としては、商標権、商号権等があります。

一方、我が国も加盟している産業財産権保護に関する同盟条約(パリ条約)第1条第2項には「産業財産権の保護は、特許、実用新案、意匠、商標、サービスマーク、商号、原産地表示又は原産地名称及び不正競争の防止に関するものとする」と規定されています。ここからは、産業財産権とは、正確には工業のみならず、産業全般の知的財産に関する権利ということになります。但し、産業財産権という語が、特許権、実用新案権、意匠権及び商標権のみを示すものとして用いられる場合があります。これはこれらの権利が特許庁によって取り扱われてきたことに由来しています。

そして、産業財産権は、具体的には特許法、実用新案法、意匠法、商標法、パリ条約、商法、及び不正競争防止法によって各々保護されています。

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知的所有権登録について
Q.弁理士でない知人から有償で明細書を書いて特許出願してあげるという誘いをうけましたが、大丈夫なのでしょうか。
A.

弁理士又は弁理士法人でない者が、報酬を得て明細書の作成等の代理を行うことはできません。弁理士法第75条(平成13年1月6日施行)では、弁理士又は弁理士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、産業財産権に関する特許庁における手続などについての代理を業とすることができない、と定めています。弁理士は、産業財産権に関する事務を業として代理することができる唯一の国家資格保有者です。思わぬ不利益を蒙らないために、特許問題は必ず弁理士に相談するようにして下さい。

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Q.ある人から知的所有権登録(著作権登録)の案内を受けましたが、権利を主張するためには登録しておいたほうがいいのでしょうか。
A.

知的所有権登録(著作権登録)を民間団体に申請しても、基本的には、何の法的効力も得られません。特許庁や特許事務所に支払う費用よりも格安であるとして営業しているようですが、効力がないものに費用をかけることは、まったくの無駄です。

また、発明のアイデア、ネーミングが著作権で保護されるというのは誤りです。

したがって発明などのアイデアについての法的な保護を望まれる場合には、特許庁への特許出願又は実用新案登録をする必要があり、商品のネーミングについては商標登録をする必要があります。

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